第14回 神戸新開地ジャズヴォーカルクイーンコンテストは、神戸アートビレッジセンターのKAVCホールに会場を移し、神戸新開地音楽祭の一環として開催されました。今年は全国から118組の応募があり、予選を勝ち抜いた10組が出演。14年という歴史を重ね、神戸とシアトルの友好音楽イベントの枠を超え、女性ジャズヴォーカリストの登竜門として、これまでに多くの女性ジャズヴォーカリストを輩出してきました。
14回目を迎えた今年はジャズヴォーカリストの一人として活躍する、第1回グランプリのジャネットさんが司会を務め、審査員には服部克久さん、小曽根実さん、黒岩静枝さん、道満雅彦さん、西谷尚雄さん、三浦紘朗さんの6人が揃いました。
「パフォーマンスは、音程、発音、歌唱力に加え、英語は意味が通じるように歌うことが大切です。お客さんの拍手や声援も審査につながります」と、服部審査委員長のあいさつでコンテストはスタートしました。
今年から一次審査には課題曲が設けられ、厳しい審査をくぐり抜けた、実力派揃いの歌姫たちの渾身のステージは、詰めかけた250人のジャズファンを魅了。彼女たちの歌声を通してジャズの神髄にふれることができました。
ゲストライブは「ジャズ・アレイ」で受賞記念ライブを行った、昨年のグランプリの石田裕子さん、シアトルで開催されたジャズヴォーカリストオーディション優勝者、リア・ナターレさん、高校生の部の優勝者、ソフィアスミスさんの3人によるパフォーマンスを披露しました。
そして、グランプリの発表。今年も審査は難航し、1位から4位までの間の得点差が20点という接戦の中、存在感のある堂々としたステージを披露し、発表のとき、「最後まで名前を呼ばないで」と祈っていたという、宮藤晃妃さんがグランプリを獲得。グランプリ受賞者には、シアトルのジャズライブハウス「ジャズ・アレイ」のステージが用意されています。また、将来有望なヴォーカリストに贈られる、富士通テン賞には、18歳の岩野未侑さんが選ばれました。
「来年は記念大会となり、また、この場所で楽しい雰囲気を味わいたい」と、新開地ミュージックストリート実行委員会委員長の高四代さんのあいさつで幕を閉じました。
なお、コンテストの模様は、当日、午後8時よりラジオ関西で特別番組として放送されました。
ステージでは緊張しましたが、歌い始めるとふだん通りに歌うことができ、楽しいしあわせな時間を過ごすことができました。歌をやることにすごく応援してくれている両親に感謝したいと思います。受賞を機にこれからもずっと歌い続けたいと思います。
2013年5月11日に開催された「第14回 神戸新開地ジャズヴォーカルクイーンコンテスト」で富士通テン賞を受賞した岩野未侑さん。現在は徳島の大学に通いながら地元のライブハウスを中心に活動を続けています。「1週間前から緊張していました」と、初めてのレコーディングに臨み、18歳で出場したコンテストという大舞台を振り返っていただきました。
——コンテストに応募したきっかけを教えてください。
- 母がコンテストを教えてくれたのがきっかけです。ジャズを歌い始めてまだ間もなくて、経験もなかったので応募しても出られないだろうなと思っていましたが、応募してみよう、チャレンジしてみよう、というのがきっかけでした。まさか、本選に出られるとは思いませんでした。
——出場が決まって当日までどのように過ごされましたか?
- デモテープで送った曲を歌おうと思っていたので、繰り返し聴くようにして、今まで以上に意識するようにしました。1曲目の「smile」はジャズを勧められて初めて歌った曲なので、レパートリーの中でいちばん歌い込んだ曲でした。2曲目の「Moody's Mood For Love」は、この歌を頑張って歌うことができたらコンテストに関係なく自分の中で、新しい何かが達成できるかもしれないと思い、少し難しい曲にチャレンジしました。
——今、改めてステージを振り返ってみてどうですか?
- 他の出演者の方のリハーサルを聴いて「すごいなぁ」という思いで見ていました。でも、みなさんがいろいろ話しかけてくれて、歌のアドバイスもしていただいて、緊張もほぐれました。ステージに上がる前は逃げ出してしまいたいくらい緊張していましたが、歌い始めるとしあわせな気分で楽しく歌うことができました。
——富士通テン賞を受賞されましたが、ご自身の中で変化はありましたか?
- 大舞台を経験したことで度胸がついたかもしれません。今、こうやって初めてレコーディングさせていただいて、その後のライブ活動でもとても勉強になり、いい経験になったステージでした。コンテストに出られたことが特別なことだったので、今でも奇跡のような気がします。
——ジャズの出会いを教えてください。
- 地元のライブハウスのヴォーカル教室に通いながらポップスを歌っていました。当時から将来はプロの歌手になりたいという思いが強かったのですが、高校2年生のとき、ライブハウスのオーナーから「声質がジャズに合っている」と言われてジャズを聴くようになりました。そのときは歌いたい曲とか、ジャンルとか、漠然としていたので「合っている」と言われたので、もしかしたら自分の魅力を出せるのではないかと思ってジャズを歌い始めました。
——将来はどんなシンガーになりたいですか?
- コンテストに出られたこと、そして、富士通テン賞を受賞できたことは、なかなか経験できないステージだったので、この経験を生かしてこれからもずっと歌い続けたいと思います。どんなところでも音楽を楽しむことができて、聴く人の心に伝わるような歌を歌えるようなシンガーになりたいです。
- 01. 鈴木あるの[大阪府羽曳野市]
- 02. 宮藤晃妃[京都府京都市]
- 03. 塚本香[静岡県静岡市]
- 04. 山本圭美[千葉県佐倉市]
- 05. satoko[大阪府大阪市]
- 06. 塚崎優子[兵庫県神戸市]
- 07. 岩野未侑[徳島県鳴門市]
- 08. 山口葵[福岡県福岡市]
- 09. 三輪明子[千葉県市原市]
- 10. 櫻井みどり[東京都北区]
バックの演奏がすばらしく、後ろから盛り上げてくれるので、そのテンションで歌うことができました。そして、横断幕までつくって応援してくれたたくさんの方に感謝の気持ちでいっぱいです。自分だけの力ではグランプリは獲ることはできなかったと思います。