いや、なつかしい街なのだ、京都は。
特に大阪からだと電車一本で行ける気楽さもあり、学生時代からよく通ったものだ。ま、ちょいと事情もあって、北山は植物園あたりは鴨川のほとりを歩いたり河原町通りをずっと三条辺りまで南下したり。
あるいはY坂神社(仮名)からコーヒーの老舗・Iノダコーヒー(仮名)やら本当によく歩いたものだ。そんなせいもあって、僕にとって京都は「歩いて楽しい街」なのである。
「ジャズ探訪記」では初めての京都編、思いがけず想い出の道をたどることになったんでした。
阪急四条河原町から、あるいは京阪三条駅から、高瀬川の東を三条からほんの少し上がったら(この言い方が京都ですね)もうすぐに着いてしまう。店頭の欄間(と言うのかなあ)に兎をデザインしたステンドグラスのある和菓子屋さんなんかも懐かしい佇まいである。そう、今回お邪魔するのは、音楽好きにはもうほとんど説明の必要もない老舗のライブスポット「RAG」なのだ。
昔々この道を歩いていたとき、ビルのエレベーターのところで見かけた「えらく目つきの悪いオッチャン」はドラムを運んでいて、後からよく考えてみたらその人は東原力哉さんだったなんてこともあったなあ(力哉さんゴメンナサイ)。力哉さんもそのとき、RAGに出演予定だったに違いないのだけど。そう、ずっと以前から、RAGは一流ミュージシャンのライブが数多く聴ける店だったのだ。
さて、エレベーターに乗ってそのビルの5階がRAGである。京都によく来ていた僕も、実はこのドアを開けるのは今回が初めて。数々の名演奏が繰り広げられたお店はウワサに聞いたお店はいったいどんな空間なのか…?
まず目にはいるのはたくさんのテーブルと奥のライブステージ。黒い壁にテーブルの色が映えてクールながらも暖かい印象だ。ああここで、たくさんのミュージシャンが演奏してきたんだなあ。
「こんにちわ」とにこやかに迎えてくださったのはオーナーの須田晃夫さん。
いや、実にさわやかな人というか…。
ホラ、音楽関係の人ってどこかこう、「こだわりがある」というか、ま、有り体に言えば屈折してる感じのある人も多いじゃないですか。ところが須田さんはまったくそんな印象のない人なんでした。お聞きすると、なんと全日本の高校代表としても活躍したという元・ラガーマン。なるほど、音楽一辺倒ではなく、実に体育会系(?)の方なんでした。