TALKING JAZZ 関西若手ミュージシャンが語る、ジャズへの熱い想い。

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[vol.6] 座談会「ベースについて」。斎藤敬司郎×佐々木善暁×中村裕希

プロジェクト「YOUNG BLOOD」に集まった関西若手ジャズミュージシャンたちがジャズについて熱く語る「TALKNG JAZZ」、第6回目のテーマは「ベースについて」。コントラバスの低音が魅力でジャズがお好きな方も多いのではないでしょうか。今回は斎藤敬司郎さん、佐々木善暁さん、中村裕希さんというベーシストの方々に、ジャズの魅力からベースならでは練習方法までお伺いしました。

  • 斎藤敬司郎
  • 佐々木善暁
  • 中村裕希

自由にスイングしたり弓で弾いたりと、とても自由に演奏されていて、こんなに楽しい音楽があるのか!と衝撃的でした。

——「ジャズに目覚めたきっかけ」について教えてください。

斎藤
「ジャズというか、コントラバスを初めて見たのが大学の軽音楽部のときだったんですね。先輩がロカビリーをやっていて、そのときに初めてウッドベースを触らせてもらいました。まず本当に外見が格好良くて、それでウッドベースやりたいなと思ったんです。でもウッドベースならクラシックかジャズかどちらかで、その時の僕はまだクラシックの良さが全然分かっていなかったんで、じゃあジャズ聴いてみようかなと思ったんじゃなかったかと思います」
佐々木
「ジャズどうでした?」
斎藤
「当時はジャズ聴いてる自分がハイソサエティとか思ってたんじゃないですかね(笑)。でも、まあ何も知らないですから、適当にCD買うことになるんですけど、その中にたまたまオスカー・ピーターソンが混ざってたんですよ。あれは本当に偶然にも買えて良かったと思いますね。そういうのを聴いてるうちに格好良いなと思うようになりましたね。だからもう本当に楽器から入ったという感じです」
中村
「ジャケ買いは同じですね。僕は高校のときにラテンバンド部だったんですよ」
斎藤
「レアな部活ですね」
中村
「そう、ビッグバンド部でも吹奏楽部でもないっていう(笑)。まあ吹奏楽部にリズム隊がいるっていうような部活動でしたけど、そこに指導に来てくれてた先生がコンボの人で、それでジャズに興味を持つようになったんです。で、同じように僕もTSUTAYAに行きまして、中身もまったく分からず買ったのが有名なソニー・クラークのクール・ストラッティンだったんですよ。カルテットで初めて聴くにはちょうど良かったですね」
佐々木
「僕は大学は音楽学科に在籍していて、音楽工学という音響のコースだったんです。その頃はピアノと声楽をやっていて、バリバリのクラシック畑でした。クラシックというのは一個音を間違えるだけで落とされるような世界なんですね。で、あるピアノの試験のときに、ふと僕が弾くのも周りが弾くのも同じ気がしちゃったんですよ。他の人が上手に弾けるんだったら僕が弾く必要はないんじゃないかと。その頃ちょうどバンドでエレキベースもやってたんですけど、そこで魚谷のぶまささんのライブを観る機会があったんですよ。そうしたら、ピアニストの隣で自由にスイングしたり弓で弾いたりと、とても自由に演奏されていて、こんなに楽しい音楽があるのか!と衝撃的でした。それがきっかけでジャズにどんどんハマっていきました。だから本格的にジャズに目覚めたのは大学卒業してからですね」

実はグルーブを作るのはベースが重要な役割を果たしているので、それが面白いですよね。

——「それぞれの楽器の魅力」について語ってください。

斎藤
「やっぱりサウンドじゃないですかね。あの音はコントラバスならではだと思いますんで。あと僕はやっぱり外見が格好良いというのも外せませんね(笑)」
中村
「そうですよね、一番の低音が出せるっていうのは本当に魅力的。あとリズムを出すのはドラムの仕事だけど、実はグルーブを作るのはベースが重要な役割を果たしているので、それが面白いですよね。要だからずっと弾いていられるのも嬉しいですし」
佐々木
「ベースは本当に要ですよね。ピアニストがCのコードを弾いても、僕らが違う音を出せば違ったコード感になる。僕らがドの音を弾いて初めてCになるんですよ、それが面白い。だからやっぱり音楽をコントロールしている役割を持っている楽器だと思います。あと、スタンリー・クラークのインタビューを雑誌で読んだんですけど、サックスやピアノやドラムという楽器は長年役割が変わってないんですよ。そのなかでベースだけが、ここ何年かでいろんな役割をするようになったと。ベースでテーマを弾くこともあるし、ボディを叩いてパーカッションとしての演奏もできるし、弓で弾いたりとかね。だから、これからもすごく可能性のある楽器なんだぜ!というようなことを言っていて、まさしくその通りだなと印象に残ってます。もちろんオーソドックスなプレイも大事なんですけど、自由なプレイができるのも魅力ですね」

頭で考えることではなくて、身体が勝手に反応してできるのが一番ですからね。

——「ステージの上で心掛けていること」を教えてください。

佐々木
「僕はやっぱり『魅せる』ということを一番に考えてますね。あとジャズは特に会話なので、一曲、二曲、三曲…とやっていくうちにどんどんお互いのことが分かってきて、探り合いみたいになるのは本当に楽しいですよね」
斎藤
「ですよね、ジャズの醍醐味だと思います」
佐々木
「そう、でも楽しいんですけど、僕はこう見えてすごく小心者なんですよ(笑)。楽譜とかあらかじめ決まってればいいんですけど、セッションだと黙ってた方がいいときもあるし、弾いた方がいいときもあるわけで、その辺が本当に難しくて。そうなると機関車に石炭をめっちゃ入れてるみたいな感じにテンパっちゃうので(笑)極力平常心でいられるように…とは思ってますね」
斎藤
「あ、僕も演奏中は何も考えないようにしています。基本は、曲が進行している間に、その場で一番ふさわしい音を瞬時に出せるようにしたいと思ってるんですけど、それって頭で考えることではなくて、身体が勝手に反応してできるのが一番ですからね。だからなるべくそうしようとは思ってますけど…まあ無の境地にはまだまだ達してません(笑)」
中村
「いや、本当にそうだと思います。演奏中、自分らの中で一番大事なのはマッチしているかどうかってことだと思います」

次ページへ続く)

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