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スタジオfの録音レポート

no.38
トリコティズム
Tricotism

今回は4/16にCDリリース、6/1~全国発売も開始されたTricotismさんにお話を伺いました。

まずは、今回の録音で使用された楽器について伺っています。

高田亮介さん(型番 sadowsky SS-15)
●選定理由、入手に至るまでの経緯と、その楽器に対する思い入れなどを教えて頂けますか?
『楽器屋さんにて、何気なく物色していたところにsadowskyのArchtopギターが目にとまりました。全く買う気などサラサラなかった僕に訴えかけたこの楽器のポテンシャルといったら言葉にできないですね笑。試奏した後に欲しい色がなかったのでオーダーしてから半年後に手に入れる事となりました。フルアコは何本か持っているのですがジャンルによって使い分けています。この子はエフェクターのノリ方もイイし非常にオールマイティな、優等生といった感じでしょうか。』
●好きなところ(もし嫌なところもあれば・・・)は?
『全部ですね。色もカタチも弾きやすいところも。何よりとても軽いというところでしょうか。一般的なフルアコと違ってボディは薄めなのですがアンプに通したらとてもふくよかで芳醇なサウンドを出してくれます。』
●メンテナンス方、日頃の練習方などどのようにされていますでしょうか?
『幸い同級生に優れたリペアマンがいるので困ったらその彼にお任せしています。自分でお手入れできる範囲は自分で。ギター磨いてる時ってすごく幸せな気持ちになるんですよね。練習についてですがライブなどで忙しい日でも毎日しっかりと練習時間は確保していますね。自分の中での課題というか、苦手克服こそが上達の近道なので日々精進しております。』
●今後手に入れたい楽器、理想の楽器はどんなものですか?(もし具体的な対象があればそれについてもお願いします。)
『全くギターとは関係ないのですが去年バンジョーを買いました。ルーツミュージック全般が好きなのですがカントリーやブルーグラスも興味がありまして。次はマンドリンかなと思っています』
●ご自身の楽器や演奏において、お客様に届けたい音、聴いてほしいポイントはどんなものでしょうか?
『トリコティズムの場合だとなるべく生音に近い音を届けたいので一時期コンデンサーマイクを取り付けた時もありました。レコーディングは今まで経験した覚えのない最高な環境を提供して下さいましたので現時点の目標はCDにパッケージされたサウンドをライブで再現する事ですね!』
●その他今お使いになっている楽器にまつわるエピソードなどありましたらお教え下さい。
『一時期ギターのヘッド裏に付けていたステッカーを剥がした時に塗装まで剥げたました笑 ごめんよサド吉!(sadowsky SS-15につけた名前)』



●加藤哲平さん
『古い楽器で製作から130年ぐらい経っているらしく、ラベルが剥がれて無くなっていて製作者は不明でチェコから来たそうです。 いつもお世話になっているコントラバス工房さんで「これ弾いてみて」と渡され、10秒で心を決めました(笑)アッパーバウツ(楽器の肩の部分)が広く、弦長は普通ですが大きく感じます。弾きやすい形ではありませんが、音を聴くとそんな事はどうでもよくなりました。 気に入っているところは、ヘビー級パンチの様な低音に、オールド特有の乾いた倍音がパリッと食い込む男前な音で、音の立ち上がりもすごく速いです。ストレスなく音楽に集中させてくれて、常に色々な事を教えてくれる良い楽器です。この楽器と出会ってから、コントラバスとしての歴史を守って未来へ繋いでいく事も、重要な使命だなと感じる様になりました。メンテナンスについては、手汗をよくかくので弦が傷まないように、練習やライブ中に関わらず弦をこまめに拭いています。たまにボディを掃除しながら異常が無いか確認。何も起こらなければ数ヶ月に1回工房さんで点検してもらってます。 近頃の練習は、主に効率の良いフォーム、姿勢の研究、確認、修正の繰り返しです。あと車移動が多いので、車内では集中して色んな音楽を聴いて覚えたり、メトロノームをかけてリズムトレーニングしたりします。逆に、楽器を持っていると意識出来ない事も沢山あるので、楽器の練習にはなりませんが音楽をやる上でとても効果的です。 楽器にまつわるエピソードで、この楽器をついに手に入れた日、工房から持って帰ろうとケースに入れようとしたその時、ふらっと1人の男性がいらっしゃって「あ、その楽器!」と…なんと、これまでこの楽器を弾いておられた方で、たまたまいらっしゃった様で少しお話させて貰えて、何か運命的なものを感じました。』



●中本まゆこさん
『イタリアの製作家 Ricardo Grisales(リカルド・ グリザレス)さんの楽器を弾いてます。哲平くんの楽器とは対象的で、艶、色気があって伸びやかな音で、軽い力で遠くまで良く響きます。色や木目も鮮やかで美しくて気に入っています。レコーディングに合わせて、2人共全く同じガット弦に張り変えました。ガット弦の音色と、2本の楽器それぞれの個性も聴いて頂きたいポイントの一つです。そして、Green Noteオリジナルのフェイズスタビライザーという機材をレコーディングに使用させて頂いたので、そのお陰でさらに良い音で収録する事ができました。』

引き続いて、レコーディング~ミキシング~マスタリングについてのお話をお伺いします。

●今回のアルバム製作のきっかけは何でしょうか?
『こちらKOBE jazz.jpのイラストを描かれていて、今回僕たちのCDジャケットも担当して頂いた砂原さんに、スタジオフォルテさんを紹介して頂いたのがきっかけです。』
●このアルバムの製作に対する想い、意気込み、狙いの音などを教えて下さい。
『ちょうどバンド結成から2年経ち、ギター、コントラバス、コントラバスという珍しい編成での音楽がまとまりつつあって、音源化してもっと沢山の方に聴いて貰いたいという気持ちと、レコーディングする事でバンドサウンドをさらに深く追究したいという想いでレコーディングさせて頂きました。 ギターはアンプに加えて楽器本体に向けたマイクの生音をミックス、コントラバスは完全にマイクだけで集音する事で、ボディの鳴りと弦の質感をそのまま録音しています。弦楽器といえば、クラシカルな美しさも魅力のひとつですが、我々Tricotismは完全にSwingする事をコンセプトにしたJazzバンドなので、全編ピチカートで演奏しています。 この編成でしか生まれないハーモニーを是非楽しんで頂きたいです。そしてジャケットデザイン!こんなに可愛い絵からは想像つかない様な生々しい音楽が流れます(笑)』
●レコーディングに向けてリハーサルはどの程度されましたか?
『『CD1枚通して聴いて貰いやすい作品にしたかったので、曲の長さやアレンジ等の準備は入念にしました。2か月前ぐらいから打ち合わせを何回か重ねながら曲構成や全体のバランスを調整して臨みました。』
●レコーディングはどんな風に進みましたか?感想やエピソードなどを教えて下さい。
『エンジニアの万波さん、アシスタントの草野さんの的確なサポートのおかげで、トラブルも全く起こらずミックス、マスタリングを含めてサクサク進める事が出来ました。』



Tricotismさんのファーストアルバム レコーディングを終えて

他に類を見ないツインベースとギターのトリオ、Tricotismさん。初日の前半でおおかたの音作りを終え、午後から2日目に掛けて一気に収録を進められました。楽器の編成や楽曲に合わせた絶妙なアレンジにくわえ、レコーディングの随所で垣間見る楽器や音作りへのこだわりとにより、小編成にもかかわらずバラエティーに富んだ見事なアルバムに仕上がりました。

Album Info.

Tricotism/Two Bass Hit

  1. 01.
    Don't Get Around Much Anymore
     Duke Ellington / Arr 高田亮介
  2. 02.
    Two Bass Hit
     高田亮介オリジナル曲
  3. 03.
    Triste
     Antonio Carlos Jobim / Arr 加藤哲平
  4. 04.
    Sister Sadie
     Horace Silver / Arr 高田亮介
  5. 05.
    Polka Dots And Moonbeams
     Jimmy Van Heusen / Arr 中本まゆこ
  6. 06.
    A Time For Love
     Johny Mandel / Arr 加藤哲平
  7. 07.
    I Mean You
     Thelonious Monk / Arr 中本まゆこ

Member Info.

  • 高田亮介
    甲陽音楽院卒業。在学中 ロック、ブルース、ジャズ、ファンク、フュージョンと多岐に渡る音楽を学ぶ。土野裕司氏、竹田一彦氏に師事。関西を中心に活動中。ピアノ ギター クラリネットベースによるドラムレスバンドclap stomp swingin'で4枚のアルバムをリリース。国内外のツアーにも参加 他バンドのサポートで、フジロックフェスティバル'14にも出演。2017年4月 弦楽器トリオ TricotismでCDリリース。

  • 加藤哲平
    ジャズコントラバス、エレクトリックベースプレイヤー。関西一円のライブスポットでの演奏や、レコーディング、舞台、演劇公演にも出演している。2013年 金沢JAZZ コンペティションにてグランプリを獲得(Apple Jack)。大阪で行われた、セロニアスモンクJr氏によるアジア・ボーカルコンペティションの受賞式にゲスト出演。2014年 韓国の仁川で行われたJAZZフェスティバルに出演。2017年4月 自身のバンドTricotismで1st CD“Two Bass Hit”リリース。

  • 中本まゆこ
    奈良市出身。大学卒業後、初めて間近でジャズライブを聴き感動し、ウッドベースを始める。荒玉哲郎氏 北川潔氏に師事。現在、関西を中心にライブハウス・ジャズクラブ等で演奏活動を続けている。ウッドベース2台とギターの変則ジャズトリオ「Tricotism」として2017年春にアルバムリリース。


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