スタジオfの録音レポート

Kimura Yuichi & Special Sauce

木村優一&スペシャルソース

no.30

愛用楽器紹介

●メーカー、型番
「和太鼓」と一言で言っても、種類はたくさんあります。今回のレコーディングに使用した和太鼓は、大太鼓、桶胴太鼓(胴が桶で出来たもの)、長胴太鼓(胴は一本の木をくりぬいたもの)、締太鼓です。使用している太鼓のほぼ全てが、石川県白山市の浅野太鼓楽器店のものです。
●選定理由、入手経緯、思い入れ
お祭りの独特な太鼓の響きと、僕のような音楽演奏としての太鼓の音色は、若干異なります。革はすべて牛革で、僕に合わせて職人さんに吟味してもらっていますし、浅野太鼓さんは特に革が強く、見た目も美しいのが特徴で、演奏用として最適だと思います。ほとんどの太鼓が、完成の連絡を受けたら石川県まで自分で取りに行きました。どの太鼓もわが子のよう。可愛くて仕方がありません・・・。
●好きなところ(もし嫌なところもあれば・・・)
新しい革は、パンパンに張っていて、とても硬い音がします。何度も打ち込み、革の状態をチェックしながら、理想の音に近づいていく。愛をもって接していかなくては、なかなか良い音にならないのが、好きなところでもあるし、ややこしくもあるかな?
●メンテナンス法、練習法
鋲で革を打ち付けた長胴太鼓や大太鼓は、どうしようもありませんが、桶胴太鼓や締太鼓は、上下の革をロープで縛り合わせているので、その日の状態にあわせてチューニングが出来ます。また、乾燥がきつい冬場の劇場などでは、わざと革を湿らせて、パリパリになった革を落ち着かせるということもします。打点が2cm違っただけで音も大きく変わるので、練習では大きな振りでも打点を確実にすることを心がけています。
●今後手に入れたい楽器、理想の楽器は?
大太鼓をあと2つ!ケヤキ製だと家を買えてしまうような値段なので、現実的ではないですが…。あとは、多種多様な鳴物が欲しいですね。
●お客様に届けたい音、聴いてほしいポイント
木村優一&スペシャルソースのこだわりは、単に同時に音が鳴っているだけの安易なセッションではなく、和太鼓の良さを残しつつ、その圧倒的な重低音にメロディが乗っかるというところにあります。力強くも懐かしく、楽器のサウンドそのものや、旋律やハーモニーを「和太鼓フュージョン」として聴いて頂けると嬉しいです。

レコーディングの感想


木村優一さん
●今回のアルバム制作に対する想い
今回のアルバムは、僕の演奏生活20周年の記念になるアルバムです。「ひこばえに咲く」というタイトルは、作家・玉岡かおるさんの小説からです。20周年記念曲をどういう曲にするかと模索していた時に、この小説に出逢いました。物語の舞台は、パリ、東京、津軽。これまでの自分の20年の歩みと重ね合わせ、プロデビューを果たしたヨーロッパや、挫折を味わった東京。津軽を神戸に置き換え、沢山の方に出会い、応援してもらっている神戸。それらがオーバーラップし、これだ!と思い、玉岡さんご本人にもお願いし、同名タイトルとして「本に曲をつける」ということになりました。小説の場面を太鼓や鉦の音、あるいは旋律や構成に工夫を凝らした結果、宮川真由美さんのナイスアレンジもあり、玉岡さんにも大変喜んでいただきましたし、自分でも心から納得できる曲に仕上がりました。
●レコーディング裏話
とにかく時間との戦いだったのですが、腹が減っては戦は出来ぬ。社内食堂の今日のメニューは何か!? 何時に食べるか!?ということが、大きなテーマでした(笑)
●ミックス/マスタリング終了後の感想
和太鼓の圧倒的な音圧と、ピアノ、ベース、ドラムス、バイオリン、サックス、フルートが同時に鳴り、なおかつバランスをとるということは、エンジニアにとって至難の業だと思います。和太鼓のパワーや良さを残しつつ、しっかりと旋律が生きるように、エンジニアの万波さんとも幾度となくやり取りをさせてもらいました。ミックスの最終OKを出すときは勇気がいりましたが、これだけやったんだから大丈夫と自分に言い聞かせて…。結果、マスタリングが終わって製品を聴いたときは、よし!と思えました。万波さんはじめ、スタジオフォルテの浜田さんそして、本島さん、このレコーディングに携わってくれたすべての方々に感謝です。
万波幸治さん(三和レコーディングスタジオ チーフエンジニア)

最も難しかった事はとても広いスタジオフォルテのスペースであっても和太鼓群のエネルギーはとても強烈だったという事です。もちろん周波数特性、耐音圧などを考慮してのマイク選びとなるのですが、大切な事は楽器とマイクの距離に加え、それらのスタジオ壁との距離(位置関係)も重要な要素になってきます。スタジオ中に響く空気振動はとても大きく、スタジオの中での楽器位置を上手く考慮し、なるべく音の飽和を避けるテクニックが必要でした。
その様な中での一発録音(メンバー全員が同時に演奏する録音方法)によるライヴ感溢れるテイクを収録する為に、和太鼓3名以外のメンバー(ドラム、ピアノ、フルート、ヴァイオリン、サックス)にはブースに入って頂いての収録としました。本来なら同じスタジオ空間で全員が演奏出来る事が理想なのですが和太鼓のエネルギーからの分離無くしては各楽器の音像の確保が難しかったのです。テンポやリズムがどんどんと展開する様な壮大な楽曲アレンジも多かったのですが、ブース分けで心配していた演奏の分離感も出ず、良い結果が得られたと思います。
皆さんには出来れば少し大きめのスピーカーのシステムで聴いて頂きたい作品です。ライヴステージを想わせる和太鼓の迫力有るエネルギーを聴いて頂けます。

「木村優一&スペシャルソース」の和太鼓フュージョン第二弾!!

2012年のファーストアルバム「空翔る翼」から3年。奇しくも木村優一さんの演奏活動20年を機に録音されたこのセカンドアルバム。その迫力ある音圧感は、3年前より更に磨きがかかったかのようにスタジオ内の空気を揺らしていました。音というより強大な圧力が瞬時に発生したあと、なだらかに消えていく様をCDに収めきり、再生時にその圧力感を伴ったアンサンブルが活き活きと再現されるよう、各メンバーのライブさながらの渾身の演奏が繰り広げられたのもさることながら、マイクのセッティングから録音まで、丹念に刻み込まれていきました。限られた時間と空間の中で、小さくまとまってしまわない迫力の演奏と録音が繰り広げられる様は、まさに息を呑むものがあり、興奮冷めやらぬ心地よい緊張感の中、濃密な3日間の幕が閉じました。
じっくりと吟味されながらミックスが進み完成したCDは、ダイナミックな迫力と繊細な肌理細やかさが共存する、まさに和太鼓フュージョン。エンジニアの万波さんもお勧めされているように、できればいつもより少し大きめの音でお聴き頂くことによりそのダイナミクスをじっくりとお楽しみ頂けるのではないでしょうか。

Album Info.

「ひこばえに咲く」木村優一&スペシャルソース

  1. 01.
    光射す道
    6:52
  2. 02.
    太陽がいっぱい
    3:59
  3. 03.
    ひこばえに咲く
    10:18
  4. 04.
    竹田奏兵衛
    5:33
  5. 05.
    夢の海
    5:23
  6. 06.
    砂塵の丘
    9:59
  7. 07.
    リベルタンゴ&オンファイア
    7:14

Member Info.

木村優一 (和太鼓)
阪神淡路大震災で被害を受けられた方がたへの激励演奏により、演奏活動を開始。和太鼓の第1人者、林英哲のサポートメンバーを務めるほか、神戸を拠点にするグループでは16年間にわたり、中心メンバー及び舞台の構成、演出を手掛け、2011年に独立。ジャズ、ラテンなど他ジャンルとのコラボレーションユニット「スペシャルソース」を率い、和太鼓と他ジャンルとのコラボにおいて関西ではパイオニア的存在となっている。また、クラシックとの共演においては、外山雄三作曲「管弦楽のためのラプソティー」を兵庫県立芸術文化センター管弦楽団と共演。近年は、アメリカへも指導グループを持ち、世界において活躍している。平成22年兵庫県坂井時忠音楽賞、平成24年神戸市文化奨励賞、平成25年兵庫県芸術奨励賞を受賞。和太鼓の潜在された魅力を最大限に引き出せるアーティストとして注目を集めている。 木村優一&スペシャルソース
「音楽に国境はない」を合言葉に、木村優一がプロデュースする、和太鼓とジャズ、ラテンを組み合わせた特別編成のユニット。ピアノ、ラテンパーカッション、管弦楽器を中心とした楽器で構成。和太鼓の重低音とビート、その上に織りなすメロディーラインは多くの音楽ファンを魅了しており、ジャズやラテンのスタンダードナンバーはもとより、オリジナル曲は和太鼓フュージョンとして新しい世界を切り拓いている。

大地の会 (左:橋元恵風、右:溝端健太)
和太鼓奏者、木村優一がプロデュースする本格派和太鼓ユニット。高い打楽器技術と、和太鼓ならではの打ち込みを得意とし、その演奏力は各方面で評価を得ている。また、ワークショップ等を通じ、子供たちへの和太鼓体験型学習を行うなど、和太鼓の普及活動にも精力的に活動している。

宮川真由美 (ピアノ)
大阪音楽大学 器楽科ピアノ専攻卒業。クラシック、ジャズ、ラテン、邦楽や、世界の色々な民族音楽など、幅広いジャンルで、活動する。大阪国際室内楽コンクール、フェスタの部で銀賞受賞。金沢ジャズコンペティションでグランプリ受賞。躍動感ある演奏スタイルは、踊るピアニストと呼ばれる。

荻野哲史 (ベース)
15歳よりBassを始める。その後、ESP/MI JAPAN大阪校 BIT科へ入学。卒業後、同校の講師として迎え入れられる。しばらくして念願の渡米を決意。西海岸の名門「L.A.Music Academy」へ入学。帰国後、ClubJazzBand「jaz'presso」を結成。2007年4月にデビュー。タワーレコードの邦楽jazzチャートで1st,2ndアルバムともにTOP10に入る。その他、ライブサポートレコーディング、TV、ミュージカルなど勢力的に活動中。
主な共演者:星村麻衣、宮崎隆睦(ex.T-square)、森口博子、オルケスタ・デラ・ルス、JB's、ポール・ジャクソン、中路英明 etc…

チーチョ西野 (ドラムス)
西宮市在住。1968年生まれ。studio ritMOnkey(リトモンキー)主宰。関西を代表するラテン系パーカッショニスト&ドラマー。チーチョ西野として多くのラテン系バンドにも所属。

REIKO (バイオリン)
相愛大学音楽学部卒業。三歳よりピアノ、四歳よりバイオリンを始める。17歳でソロリサイタル開催。ワルシャワショパン音学院マスターコース取得。
クラシックに源流を持つ、豊かな表現力とジャンルにとらわれない幅広い音楽、個性的な演奏スタイルで好評を博す。現在、リーダーバンド、レイコカルテット、"sonido majo"(ソーニドマホ)、ライブハウス、スタジオワーク、室内楽で活動する傍ら後進の指導にも力を注いでいる。2014年、金沢ジャズグランプリ受賞。

小林充 (サックス)
大阪音楽大学短期大学部JAZZ科、専攻科JAZZ学科卒。Saxを赤松二郎氏、土岐英史氏に、作・編曲法を田中克彦氏に師事。現在、アロージャズオーケストラ、古谷充ネイバーフットビックバンド、東原力哉(Dr)バンド、円広志、山根康広、大西ユカリ等のレギュラーバンドに在籍し、ジャンルを問わないマルチリードプレイヤーとして国内外問わず数多くのアーティストと共演。自身では関西屈指のJAZZ FUNKバンド「SOLID☆LOVE」を結成し各種メディアに取り上げられる。また、作・編曲も得意とし、アレンジ、音源制作、プロデュースで多くの作品制作に携わり、更にはアーティストの音楽コーディネーター、イベント企画等も行う。指導面でも各種音楽セミナー、ビックバンドアドバイザー、Saxレッスン、作、編曲法などの講師、サックス教本の出版など音楽全般多方面で活躍中。

青木美江 (フルート)
第4回日本フルートコンベンション アンサンブル部門 高校生の部において金賞を受賞。大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コースをフルートで卒業。YAMAHA管楽器新人演奏会等に出演する他、多くのコンサートにソロ、アンサンブルなどで出演。第1回高槻音楽コンクールにおいて奨励賞、第1回長江杯国際音楽コンクールにおいて審査員賞を受賞。アラン・マリオン マスタークラス IN JAPAN を修了。第9回京都フランス音楽アカデミーにおいて、フィリップ・ベルノルド氏のクラスを受講するなど、演奏及び表現力に磨きをかける。
クラシック、ポピュラーのフルート奏者として活動していたが、その後、即興演奏への憧れから自由な表現力をもつジャズに惹かれ、現在に至る。最近では特にジャズ、ラテンなどの分野に力を入れており、2006年5月ラテンジャズをコンセプトにしたCD"Birdielike"(バーディーライク)、2008年5月"Secret Desire"(シークレット・デザイアー)をリリース。フルート、ピッコロの演奏はもちろん、自己のオリジナル作品を含む9曲を収録するなど作曲家としての意欲も覗かせる。現在、後進の指導にあたるほか、各種ライブ活動、コンサートなど、京阪神を中心に積極的に活動を展開。