スタジオfの録音レポート

Momo Kimura

木村モモ

no.26

木村モモさん愛用楽器紹介 — ギター

●メーカー、型番
TAKASHI MIURA *Libra*
●選定理由、入手経緯、思い入れ
学生当時使用していた楽器の表面板が割れていたため、良い楽器を探していたところ、この楽器をギターの師匠が勧めてくれました。 弾いてみた所、一目惚れならぬ一弾き惚れでした。 私にとって、両親に買ってもらった、一生の宝物です。
●好きなところ(もし嫌なところもあれば・・・)
好きな所は、非常に明るい音色が出ること。微妙なタッチの変化にも反応してくれること。音量がしっかり出る事。です。嫌いな所は、高音がもう少し柔らかい音が出ると良いな...と思います。
●メンテナンス法、練習法
メンテナンスは、今まで10年間使用してますが、大きな調整はしていません。でも特に異変はなく、非常に安定しています。ですから、自宅で指板の汚れを拭き取ったり、表面板を磨く程度です。練習法は、基礎練習が中心です。曲を弾く時は歌いながら弾く事を心がけています。メトロノームの利用法も工夫して練習しています。
●今後手に入れたい楽器、理想の楽器は?
今後手に入れたい楽器は、具体的にもう決まっていて、ドイツの楽器なのですが、その楽器を欲しいと思った第一の理由は、音色が美しいのも当然ありましたが、なにより、〝疲れない〟ということ。です。
●お客様に届けたい音、聴いてほしいポイント
常に「心をこめた音、魂を込めた演奏」を届けたいと思っています。実体験をもとに、感じた事を自分の中から絞り出すようにしていつも曲をつくっています。

レコーディングの感想

●今回のアルバム制作に対する想い
このアルバムに収録されている「PRAY」「FireDance」は、以前にもレコーディングしたことのある曲です。もう一度レコーディングし直した大きな理由は、この数年間弾き込んできて、ようやく想いとテクニックが合致してきたと感じたからです。具体的には、間の取り方が前回の録音より成長した部分だと思っています。また、「PRAY」は、東日本大震災の発生直後に作曲した曲で、時が経てば経つ程、この曲への思いは強くなっています。東北の復興を祈る思いで、一生大切に弾き続けていくつもりです。
タイトル曲の「Struggle Is Over」を作るきっかけになった出来事を少し説明します。どうしても好きになれない事に向き合い、葛藤している時、心友が私に対してかけてくれた言葉が、「モモちゃん、Struggleやね。わかるよ、きっと乗り越えていつか良い思い出になる時が来るよ。」でした。私はこの言葉をかけてくれたとき、大粒の涙がでました。〝わかってくれる人がいるってありがたいな〟と心の底から感じました。余談ですが、その心友いわく、泣きじゃくる私の頭上にその時、大きな流れ星が流れたそうです。とにもかくにも、このStruggleは、たった一人の励ましの声のおかげで Is Overできたのです。今何かに苦しんでいるひとが居たら、是非聴いていただきたい一曲です。その人に届けとばかり、〝だいじょうぶ!だいじょうぶ!〟と声をかけさせていただくような気持ちで録音しました。
●レコーディング裏話
エンジニアさんに、ミックスの時に音を作るときの参考までに、好きな音源を聴かせて欲しい。と言われたのですが、私の理想の〝感じ〟がギター音楽以外のCDばかりで、困惑させてしまいました。
●ミックス/マスタリング終了後の感想
富士通テンさんのスピーカーは学生時代から尊敬するギタリストが演奏会で使っていたりして、私にとってあこがれの存在です。そのスピーカーに囲まれて録音したり、録った音を聴けたりしたことはとても感慨深いものがありました。エンジニアの長島さんは、本当に良い雰囲気を作り出してくださるので、集中して、没頭して弾けました。

長島直乗さん(レコーディングエンジニア)

クラシックギター一本でのアルバムというのは、このスタジオフォルテでは初でもあったので、逆に色々悩むことが多かったです。
録音に際しては、楽器の近くに立てるマイクと、少しだけ離れた所に立てるステレオマイクと、部屋の響きを拾うアンビエントのマイクとの三段構成で録音してます。
ミックスでは、互いのマイクの距離感を調整しながら基本的な音を作ってますが、、やはりアルバムなので、通して何度も聞いても飽きない仕上がりにしたかったので、曲の雰囲気ごとに、それらを調整したりもしています。自然であり心地の良いサウンドなアルバムに仕上がれば…との思いでミックスしました。
あとはモモさんが、演奏者以上に作曲家さんであったので、ミックス時に曲の一部をラジオっぽくしてみたり、場面によってはアンビエントのマイクをメインの音にしたりと、色々と変化のある作品になっています。

ニューアルバム「STRUGGLE IS OVER」

 スタジオ内にはモモさんと1本のギターだけ。楽曲の中で挿入されるハンドクラップやコーラスパートもギターを構えたままの格好で、録音スタイルはシンプルかつ合理的。スタジオfの自然な響きも十分に活かせるよう、1曲目でじっくりとコンディションを作りこんでスタートした録音は、午前中で一気に4曲までを収録しました。お昼の休憩を挟んで録音再開。夕刻までに残りを全て録り終えることが出来ました。
 収録された楽曲は全曲モモさんのオリジナル。ありきたりの音楽ジャンルにはカテゴライズされないバリエーションに富んだ楽曲のすべてがモモさん自身による書下ろし。「自分は演奏家というより作曲家」とおっしゃるモモさんですが、その演奏表現も素晴らしいものでした。時にはギターのボディーをパーカッションのように叩いたり、時にはエレキベースのスラップ奏法のように弦をヒットしたり、と、同じ1本のギターから本当に多彩な音色、メロディー、そしてリズムを創り出されていました。
 ミックスではエンジニアの長島さんと細かく楽曲のイメージをやりとりされ、収録された楽曲たちはさらに磨きをかけられていきました。
 楽曲も演奏もとても魅力的なモモさんの新譜、ぜひお聴き下さい。

Album Info.

「STRUGGLE IS OVER」木村モモ
[ 2014年5月18日発売 ] CDご注文、Live情報等はこちら

  1. 01.
    シンガポールの朝
    3:34
  2. 02.
    Introduction
    4:28
  3. 03.
    Struggle Is Over
    4:22
  4. 04.
    PRAY
    5:00
  5. 05.
    Rabbit Picnic
    4:27
  6. 06.
    Oliver Twist
    3:16
  7. 07.
    Flow
    3:57
  8. 08.
    Fire Dance
    4:35

Member Info.

木村モモ (ギター)
本名 木村モモ。1986年神戸生まれ。実家が音楽教室をしていたこともあり、音楽自体に抵抗はなく、ピアニストである父親がステージに立つ姿に憧れていた幼少時代。12歳でASKA(CHAGE & ASKA)のソロライブに行ったとき、バックミュージシャンのギタリストが40度の高熱にもかかわらず熱演をしていた姿に感動し、ギタリストを志すようになる。その後、父から「C、F、G、Dのコードを一時間以内に弾けるようになればギターをやらせてやる」と課題を出され必死に練習し、見事クリア。鷹野誠二氏、藤井敬吾氏に師事し、以来ギターを弾き続けている。

「生まれ変わってもミュージシャンになりたい。」

ギターを弾いている時に考えているのは、ただただ、「届け」という想い。「少しでもくつろいでほしい、元気になってほしい。」という想いを届けたいわたしにとって、曲づくりは、楽しくて楽しくて仕方がない。実生活で衝撃が起こる時、心がぐらぐらと揺れる時、自然と曲ができあがっている。1曲ずつにドラマがあり、愛情がある。
一番うれしいのは、演奏を聴いてくれた人に「来てよかった。」と言ってもらえること。涙を流して聴いてくれる人もいれば、悪いものが抜けていったと言ってくれる人もいる。そんな人たちのために、これからもわたしはギターを弾く。
そして、いつかは世界一のギタリストに。

現在「ブレーメンの音楽館ミュージックスクール」でアコースティックギター講師を勤める。aunアルバム発売記念ライブ、関西ツアーを行い好評を得る。 NHK総合テレビ ジャズライブKOBEに生出演。NHK総合テレビ「この人に聞く」に出演。隔月刊誌「ジャズ批評」主催「第六回ジャズオーディオディスク大賞2011」CDアルバム「道」が特別賞を受賞。また、朗読の伴奏・作曲を担当し、数々の講演で評判を博している。

2007年大阪音楽大学短期大学 器楽専攻ギター科卒業後、2008年大阪音楽大学短期大学部専攻科 器楽専攻ギター科修了
第32回日本ギターコンクール 大学生の部 第3位(銅賞)
第14回山陰ギターコンクール 一般部門 優勝
フィンガーピッキングデイ2014 西日本大会最優秀賞受賞、全国大会最優秀賞 、オリジナルアレンジ賞受賞

http://kimuramomo.jp/