スタジオfの録音レポート

Yuichi Kimura

木村優一

no.19

新感覚和太鼓フュージョン、和楽器と洋楽器の出会い。

管楽器と和太鼓という躍動感溢れる新しい音楽が楽しめる木村優一&スペシャルソース「空翔る翼」のレコーディングを行いました。和太鼓の木村優一さんは阪神淡路大震災以来演奏活動を始めて以来、海外公演や和太鼓松村組で16年間活動されてきた実力派。現在はジャズやクラシック、ラテンなど、さまざまな音楽ジャンルで活躍されています。今回録音したアルバムも、ジャズフュージョンをベースとした和太鼓と洋楽器のセッションがコンセプトとなっています。「単純な、あるいは安易なセッションではなく、和楽器独自の重低音を活かしつつも、洋楽器のメロディとしっかり調和した音づくりを目指しました。それによって、新感覚の和太鼓フュージョンをつくり上げたいと思いました」と木村さん。今までになかった新感覚の音づくり、いったいどのように録音されていったのでしょうか。


和太鼓のとてつもない迫力に終始圧倒されたレコーディング。

「大きな和太鼓が出す低音域のものすごいエネルギーをいかに録音するかが今回のレコーディングでの最大の課題でしたね」と話すのはレコーディングエンジニアの万波さん。演奏に使用された和太鼓のうち一番大きなものはなんと直径三尺三寸(約1m)もありました。その音は「部屋の中の空気が大きくうねるような今までに聴いたことのないような重低音」。今までいろんな場面で「音は空気の振動です」という言葉を繰り返してきた私たちですが、今回の木村さんのアルバム収録はまさにその空気の振動をとことん体感することになりました。
その低音のエネルギーたるや凄まじく、録音中に想定外のアクシデントも。普段はどれだけ大きな音を出しても大丈夫なスタジオfなのですが、木製の天井部分のどこかで大太鼓の低音振動による共振が発生してしまったのです。部屋に対しての大太鼓の向きや置く角度、場所を数センチ単位で移動させるなどして、なんとかその共振を防ぐことに成功しましたが、スタジオf始まって以来のできごとで和太鼓の持つポテンシャルに驚かされました。

ミックス終了後、レコーディングの感想を聞いてみました。

木村優一さん
1/1000秒という、とてつもなく細かいテンポの修正が可能な機材と技術に驚きました。自分自身が改めて音づくりの世界で仕事をしていると認識させられました。
アルバムに関しては、和太鼓の音はCDプレイヤーで再生するとどうしても音量が小さくなってしまいがちなのですが、今回はなるべくそれを避けたくてミキシングの際に調整しました。程よい音量に仕上がっているので、和太鼓の音も聴きやすく、魅力が伝わるアルバムに仕上がったと思います。

万波幸治さん(レコーディングエンジニア)

今回のマイキングは、各和太鼓とも低音を十分に収録できるオフマイクと打面のアタック感や演奏の勢いを収録するためのオンマイクの両方を立てることにしました。また、重低音用のマイクとして、スピーカーユニット(直径約15cm)をマイクとして利用してみました。ダイナミック型マイクロホンとスピーカーユニットは空気振動と電気エネルギーの変換という構造上、同じ原理なのです。
そして、複数の和太鼓の音がスタジオ内で混ざり合った複合的なエネルギーも今回の作品には重要な要素になるので、スタジオ内にアンビエンスマイクも多数用意しました。自然な低音を活かす手法として、DAWに収録された各トラックを5~20msec(1000msec=1秒)ずらすことによって低音域の調整を行うことができます。通常は音域ごとの調整にはイコライザーを使うのですが、低音同士の位相関係を時間軸操作で調整することで、より自然な音域調整が可能となります。
ミックスダウンの作業では和太鼓と他の楽器との組み合わせ、特に低音域のバランス調整が難しく、CDとなった作品をリスナーの皆さんのそれぞれの再生環境で聴いても和太鼓のイメージや全体のアンサンブル感が変わらないよう注意しながら行いました。そのために大きなモニタースピーカーだけではなく、ラジカセやECLIPSE TD307などの比較的小さなフルレンジスピーカーでの確認しながらのミックス作業となりました。

ダイナミックなサウンドに細やかな調整を加えた和太鼓の名盤。

生音での和太鼓の音のインパクトはすさまじく、レコーディング中は思わず息を呑むほどの迫力でした。このダイナミックな音に、極めて細かな調整を施して出来上がった今回のアルバムは、まさに前人未到のサウンド。和太鼓ならではの重低音の魅力を堪能することができます。また、アルバムコンセプトでもある和楽器と洋楽器のバランスも絶妙で、躍動感のあるリズムと心地良いメロディーが耳を楽しませてくれます。
そして奇しくも今回のアルバムリリースのタイミングで、木村さんはこの秋にこれまでの功績が認められ、神戸市文化奨励賞を受賞されました。これからの木村さんの活躍にも是非注目していただきたいと思います。

富士通テン社員への音教育の取り組み。

レコーディング後に富士通テン社員への音教育として「和太鼓の生演奏の試聴と録音体験」を開催、木村優一さんにご参加いただきました。音に携わるエンジニアへの教育として継続しているイベントですが、今回の迫力ある生音の体験に、参加した社員からは「大変ためになった!」「勉強になった」という声が多数聞かれました。ご協力いただきました木村さん、どうもありがとうございました。

Album Information

空翔る翼/木村優一&スペシャルソース

和太鼓奏者、木村優一のファースト・アルバム。和太鼓ならではの重低音に、ピアノ、フルート、トランペット、ベース、ドラムなどの洋楽器が見事に融合した新感覚ジャズ・フュージョン。ドラムとパーカッションが躍動感溢れる表題曲「空翔る翼」をはじめオリジナル曲6曲に加え、チック・コリアの名曲「スペイン」も収録。優しくも力強い和太鼓の魅力溢れるアルバム。
[ステップスアールイーより2012年10月17日全国発売中]

このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

Adobe Flash Player を取得

プレゼント告知!
木村優一さんのご好意により、1stアルバム「空翔る翼」を3名の方にプレゼント! 管楽器と和太鼓という躍動感溢れる新しい音楽が楽しめる一枚です。
プレゼント応募ページはこちら
[ プレゼント概要 ]
賞品:CDアルバム/木村優一&スペシャルソース 「空翔る翼」
当選者数:3名様
当選発表:発表は賞品の発送をもってかえさせて頂きます。
開催期間:2012/12/25~2013/1/9
※ご応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
※応募受付の確認、当選・落選についてのご質問や、電話でのお問い合わせにはお答えいたしかねます。
※お客様のご連絡先・ご住所が不明などで商品がお届けできない場合は、当選を無効とさせていただく場合があります。
※当選者は本権利を他人に譲渡、または金銭や他の物品と交換はできません。
※当選されたお客様からご提供頂いた個人情報につきましては、当選されたお客様への商品発送のみに利用させて頂きます。頂いた個人情報をその他目的で使用する事はありません。
[ お問い合わせ窓口 ]
応募ページで入力された個人情報の照会・変更・削除等のお問い合わせについては、(お問い合わせ窓口:kobejazz@ten.fujitsu.com)までお願いします。

Member Information

木村優一さん (和太鼓)
阪神淡路大震災での激励演奏により、演奏活動を開始。数多くの海外公演を経験するほか、林英哲のサポートメンバーを務め、同氏プロデュース「英哲風雲の会」にて研鑽を積む。神戸を拠点に活動する「和太鼓松村組」で16年間中心メンバー及び演出家として活躍。2011年独立。他ジャンルとのコラボレーションにおいては関西ではパイオニア的存在として活躍するほか、和太鼓の良さを伝えるために日本各地で講師としての活動も行っている。平成22年兵庫県坂井時忠音楽賞受賞。平成24年神戸市文化奨励賞受賞。和太鼓の潜在された魅力を最大限に引き出せるアーティストとして注目を集めている。
http://kimurayuichi.com/

宮川真由美さん (ピアノ)
クラシックでは室内楽やオーケストラ、器楽伴奏など。ロックバンドでも活動、奈良で開催されたロックのコンテスト大仏フェスティバルでグランプリ獲得。
http://www1.kcn.ne.jp/~kei-u/mayumi/

青木美江さん (フルート、ピッコロ)
大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コース卒業。YAMAHA管楽器新人演奏会等に出演する他、数々のコンサートにソロ、アンサンブルなどで出演。クラシック、ポピュラーのフルート奏者として活動していたが、その後、即興演奏への憧れから自由な表現力をもつジャズに惹かれ、現在に至る。
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/7083/

チーチョ西野さん (ドラム、パーカッション)
西宮市在住。1968年生まれ。studio ritMOnkey(リトモンキー)主宰。関西を代表するラテン系パーカッショニスト&ドラマー。チーチョ西野として多くのラテン系バンドにも所属。

喜多健博さん (ベース)
1960年大阪生まれ。1976年、8.8 Rock Dayジュニア大会において最優秀賞に輝き、それをきっかけにライブハウス・イベント等で活躍。大学時代にはスタジオやクラブ等での活動も始める。大学卒業後、アン・ジャズ・スクールに入学、鈴木淳氏に師事し、そのかたわら多数の歌手・タレントのバックバンド等でも活躍。卒業後は数々のジャズのセッションを行う一方、ブラジル音楽やラテン音楽のバンドにも参加するなど様々なジャンルの幅を広げながら活動。

田中洋一さん (トランペット)
1994年関西外国語大学スペイン語学科中退後、米国ボストンに単身渡米し、ジャズを学ぶ。1997年アート・ファーマー・アワードを受賞。卒業後、帰国。1998年EDF、WHAT'S UP? など関西の多数のバンドに参加し演奏活動を開始。2000年、関西の老舗ビッグバンド、北野タダオとアロージャズオーケストラ に入団。日野皓正、TOKU、MALTA、寺井尚子、北村英治、阿川泰子、マリーン、森山良子、岩崎宏美、渡辺真知子、中尾ミエ、夏川りみ など多数共演。2005年NHK朝の連続ドラマ「風のハルカ」でトランペットの吹き替えと、役者の渡辺いっけい、三浦理恵子の演技指導を担当。2011年「第4回なにわジャズ大賞」プロ部門を受賞。
http://www.yohei.info/index.html

小林充さん (サックス)
大阪音楽大学短期大学部専攻科JAZZ学科卒。サックスを赤松二郎、土岐英史両氏に師事、作・編曲法を田中克彦氏に師事。在学中から本格的に演奏活動を始め現在、アロージャズオーケストラ、古谷充ネイバーフットビックバンド、東原力哉BAND、山根康広、円広志、大西ユカリ等、様々なスタイルのバンドに在籍しメジャー、インディーズ問わず国内外のトップアーティストとも多数共演。
http://www.max.hi-ho.ne.jp/kunze/kobayashi.html

橋元恵風さん (和太鼓、写真左) 溝端健太さん (和太鼓、同右)
和太鼓デュオ 桴桴(BACHI-BACHI)。2008年に活動を開始した和太鼓のデュオ。
http://bachibachi.tenkomori.tv/