レッツスタート!Chapter.1
呼吸法講座編「Brass Breath」
管楽器演奏の呼吸法には、いろんなアプローチがあります。実際の演奏状態に近いものから、身体づくりを目的とした基礎的なものまで。非常に複雑かつメカニカルな方法もあれば、シンプルで奥深いものもあります。
本連載は、主にブラス奏者を対象とした、シンプルな基礎的呼吸法をご紹介したいと思います。まじめに取り組めば、おもしろいように身体が変わっていくのを感じられることでしょう。金管楽器を主としておりますが、木管やリズム奏者が取り組んでも役立つ内容です。
ボトミングを練習しよう バックナンバー
哺乳動物の肛門と生殖器の間の部分を「会陰(えいん)」といいます。ここは体幹部(胴体)の底にあたり、呼吸法を学ぶ上でたいへん重要なポイントとなります。
この体幹部の底(ボトム)を集中的に鍛える会陰のトレーニングが「ボトミング」です。
息を吸いながら会陰を引き上げ、吐きながら会陰を降ろす。これをボトミングの「すいあげ―はきさげ」といいます。といっても、会陰の上げ下げは簡単ではないので、少し練習してみてください。
会陰を上げるのは難しいけれども、降ろすのもの意外にできないものです。
メトロノームを「四分音符=46」に合わせて、一拍目ですいあげ、二拍目ではきさげ、三拍目ですいあげ、四拍目ではきさげ…
と、これを八小節やって休憩です。
会陰を上げ下げする感覚がわかってきたら、同じ要領で「すいさげ―はきあげ」も練習します。吸いながら会陰を降ろし、吐きながら上げる。これを一拍ごとにやります。
最後に、実際の管楽器演奏に使えるボトミング「すいあげ―はきあげ」を練習します。これは、
息を吸いながら会陰を引き上げ、吐きながらも会陰を上げたまま
というものです。つまり、会陰は上がりっぱなし。
これができるようになると、管楽器演奏に必要な「腹部での息の支え」が楽に身につけられます。
ボトミングは呼吸に上達するうえで非常に重要なトレーニングです。最初のうちはピンとこないかもしれませんが、短い時間で構いませんので、かならず毎日練習してください。
三カ月後には身体が変わっているのに気付かれるでしょう。
次回は、四つの腹式呼吸について整理します。
著者Profile
水行末(すいぎょうまつ)
ハイノート講座「タングマジック」プロデューサー。「まま呼息の発見」「楽呼吸法 ~インナー・ウォームアップの方法~」「ウォーター&ブレス」など呼吸法関連の論文多数。雑誌「楽器族。ブラストライブ」では「音楽家のためのメディテーション "ねこ気功" 入門」を連載中。合奏音楽のための国際音楽プロダクション「ワールド・プロジェクト・ジャパン」代表。
http://www.wpjapan.com/
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