KOBEjazz.jp

ジャズを愛するすべての人へ。こだわりのジャズ情報を富士通テンがお届けします。

ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.94
YAKATA de Voce

喧噪のジャンクションからちょいと逃れて。
@大阪・難波

さてさて、われわれ取材陣は再び難波、道頓堀までやってきた。
法善寺横丁辺りは昔ながらの情緒ある街といいたいところではあるのだけど、今や観光地でありますねえ。いたるところで外国語が聞こえ、たくさんのお店が軒を連ねるなんともにぎやかな通りになっている。

それはともかく。
今回お邪魔するのは、そんな界隈のとあるビルの4階。
ぐるぐる回りながら階段を昇ると、すでにドアの外にもボサノバやジャズを感じるポスターやチラシが飾られている。
しかしその前に驚くなかれ。このビル、二階から四階まで、それぞれにジャズのお店が入っているのである(タテ並びなので「軒を連ねる」とは言わないんでしょうね)。へええ〜なんて思いながらドアを開けると落ち着いたボサノバの響き。
お、ここは巨大なスピーカーで大音量でというお店じゃないんだなあ。

ここYAKATA de Voceのオーナーは深井利一さん。
前オーナー時代にアルバイトとして入ったのがそもそもの最初。開店は1969年、そのときは大劇(おお、なつかしい!とおっしゃるオールドジャズファンもいらっしゃっることでしょうね)、歌ありショーあり映画ありのエンタテインメントビルの地下にあったのだとか。その後お店をひきつぎ、爾来三十年以上ずっとジャズに関わってこられた。でもジャズにボサノバを加えたお店はここが初めてということだ。

当時深井さんはミュージシャンとしても活動されていたのだけど、そのきっかけになったのがジャズとボサノバ。「テイク5」とか「イパネマの娘」が大好きで、ジャズだけのお店の時代にもずっとボサノバはお好きだったそうだ。たしか、ボサノバの誕生とジャズには深い深い関わりがあって、深井さんの耳もその共通点に気づいていたのかもしれませんね。

逆コの字型のお店は、お世辞にも広いとは言いにくい。
奥のライブスペースのすぐ横がカウンター席、続いてテーブルが3つほど。ボサノバはこれくらいのスペースがかえっていいのかもしれない。そういえばボサノバの創世記、マンション住まいの人たちがあまり大きな音を出さずに楽しめる音楽というところも人気だったらしいんですよね。

ジャズにかぎらずボサノバも、どういうわけか、ボーカルの人って女性が多いんですよね。ほとんど女性と言っていいくらい。
彼女たちのライブ時の写真もびっしり飾ってあるんですが、そんな女性が、ですよ。もう息もかかろうかという距離感で、ですよ。ささやくように歌ってくれたりするわけですよ。
いいじゃありませんかー、これは。

そんなライブは毎日、ジャズとボサノバの比率はだいたい7:3くらいとのこと。セッションタイムもアリ。
スケジュールはホームページで確認できる。

ボサノバのごとく静かに語る深井さん。
ありがとうございましたーと言ってお店を出、下に降りるとそこはまたにぎやかに、楽しそうに語りあう人々が交錯する別世界のような通り。東に行けば法善寺横丁、西に向かえば心斎橋。北上すれば道頓堀。
そんな喧噪に疲れたら、ちょっとしたおつまみとお酒で一息ついて。やさしい歌と音楽に聴き入るのもいいかもしれない。
ちなみに、お店の名前は「あなたの家」という意味だそうです。