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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.83
グラン・ブルー

ゴージャスとはなんであるか
@神戸・ハーバーランド

This is Kobe.
窓を開ければ港が見える、というかその窓そのものが港なのだが。
ここは神戸ハーバーランド、海が近いことは風が教えてくれる。

開業して今年で5周年、全室70m²以上の広さでオーシャン・ビューというホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド。
ホテルとしてはむしろこじんまりとした、静かなホテルである。
いや、なにもホテルの紹介をしようというのではない。本題はここからだ。

ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドの中にあるラウンジ&バー『グラン・ブルー』のことだ。
このお店、神戸にあるからこそ意外に神戸のジャズファンが知らないジャズスポットなのである。
ニューヨーカーがエンパイアステート・ビルに行ったことがなかったり、パリジャン・パリジェンヌがエッフェル塔に昇ったことがなかったりするのと事情は似ているかもしれない。
でも、そんなところだからこそぜひ一度、神戸っ子にも行ってみてほしい。
「え、こんな店が…?」と驚くことはまちがいない。

クルマを降りてホテルの中へ。背の高いドアを開けるとシックで落ち着いた内装、「はんなりした」とでも言いたいつややかな空気につつまれる。
その瞬間、すでに日常は忘却の彼方に去っているだろう。
目を奪われるのはやはり、ガーデンテラスの向こうに見えるポートタワー。夜ならライティングでその美しさもいっそう映える。
バー・コーナーに陣取るもよし、ゆったりくつろげるソファに腰を下ろすもよし。ま、早い話、どこにいても居心地は最高なのである。
柔らかい光の中でグラスを傾けるひとときの豊かさよ…。

ライブは毎日だけど、毎月第三金曜日の夜は恒例のジャズナイト。
…といえば、どこにでもありそうなライブイベントに聞こえるけれど、ミュージシャンの顔ぶれも豪華である。
さらに驚くのはそのピアノ。
スタインウェイといえばだれでも知っている名門ピアノブランドだけど、そのラインナップの中に「世界に91台(日本には3台存在)」というモデルがあるのだ。そして、その中の一台がここ、グラン・ブルーに静かにたたずんでいるのである。
ピアニストならそれだけで「えーっ!!」と叫ぶことだろう。

実を言えば、今回お話をうかがった、スーパーバイザーの矢崎達則さん・料飲部マネージャーのシェフソムリエ小前岳志さんも、以前はそれほどジャズに親しんでいたわけではないそうである。
ここでの仕事についてから、なんとなく聞こえてくるジャズ(いや、これがまたちょうどいい加減でドアの外にも流れてくるらしいのだ)が耳になじむようになり、今やジャズのほうが自然に聴ける音楽になったそうだ。
いい環境というものはいい耳を、そしていい人を作るものなのですねえ。お二方ともいかにも洗練された、おだやかなお人柄なのである。

さらに言うなら、あの名門コニャック「ルイ13世」バイ・ザ・グラス。ホテル開業5周年を記念して、期間限定ではあるけれど、マニアならとても信じられない価格でこれが楽しめるのだ。
シングルモルトも常時約100種類、オリジナルカクテルも美しい。
バーのお食事とあなどることなかれ。ここではちょっとした軽食から本格的なアラカルトメニューまでフレンチのシェフの手による料理なのだから。

「お一人でふらっと来られる方も多いですよ」という矢崎さんの言葉どおり、きゃあきゃあ遊ぶところではない。
一人でももちろん、しかし男性ならつい、だれかすてきな女性をエスコートして来たいと思ってしまうところである。
お酒が飲める・飲めない、という話ではない。
ほんとうにすてきな女性と、ともに人生の豊かさを分かち合いたくなる。
そんな空間なのである。
オトナになってよかったねえ、生きているってすばらしいねえ…と。