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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.81
Buddy

芸術家の集う街で引き継がれるビッグバンドの系譜
@東京・練馬

池袋から西武池袋線で6分。今日ご紹介するライブハウス『Buddy』は、江古田(えこだ)駅の駅前にある。この街には日大藝術学部、武蔵野音楽大学、武蔵大学があり、学生が多いことはもちろん、昔から音楽家やデザイナー、俳優や声優、漫画家、写真家といった多くのアーティストが在住しているという。周辺に軒を連ねる酒房は、こういった人々で連日賑わっている。

『Buddy』は、昭和の匂いのするちょっとレトロなビルの階段を下りた地下二階にある。ドアを開けると正面には重厚で美しいレンガの壁面。そこには印象的なロゴマークのプレートがはめ込まれている。凝ったディテールに囲まれ、広々とした店内は、駅前の猥雑な雰囲気とはかなり異なる洒脱な空間だ。

「以前は地下一階がサウナ、ここはゲームセンターでした。時代に見合った面白いことができないか、というオーナーの依頼から、当時の店長のアイデアでライブハウスを始めることになりました。江古田では『音出し可』という住居物件が数多くあるくらいですから音楽関係者が少なくない。でも当時はジャズのライブハウスが一軒もなかったんです。内装には、今では入手できない手焼きのレンガを取り寄せたり、かなりお金をかけたようでした。ロゴは彼の友人、東京工芸大学の現学長・若尾真一郎氏のデザインです」と教えてくれたのは店長の高木宣夫さん。23年前のオープン当初からマネージャーとして関わり、7年前に店長に。

「音楽は何でも好きですし、ここの音響には自信があります。店として出演者のジャンルは問いませんが、ステージのキャパがあることや店内の雰囲気に似合うせいか、ジャズが約半数、プロとアマチュアを併せるとビッグバンドのライブが全体の3割を占めていますね」。

そうそう。私もビッグバンドの演奏を聴きに、『Buddy』にはすでに何度か足を運んでいる。ジャガーノート・ビッグバンド、Tokyo Big Band、三塚知貴ビッグバンド、渋さ知ラズ、江古田勉強会などプロのバンドはもちろん、アマチュアバンドが出演できるライブハウスとしてビッグバンドファンにはよく知られている。

「オープンして2年目くらいから,青山学院、東大、日大、獨協大、国際基督教大学などの学生ビッグバンドのライブが開かれるようになりました。以後約20年、その流れで先輩から後輩、そして社会人になった彼らが率いるバンドのライブスポットとして脈々と続いてきました。プロになった方も大勢いる。ビッグバンドだけでもここで演奏した人たちの数は万単位になるかもしれません」と高木さん。そんな彼らを高木さんはどのようにみていたのだろうか。

「ビッグバンドという形態は、学生にとってとっかかりとしてつかみやすい音楽なのかもしれませんね。人数が多く、自然発生的な横のつながりがある。継続しやすい環境があるから積み重ねていける。その状況も音楽も20年間ほとんど変わっていないように思います。プロのビッグバンドでも、他にはないクラブ活動っぽい和気あいあいとした一体感を感じますね。もちろん音はアマチュアのそれとはまったく違いますが(笑)」。

ホントですね〜。よいアレンジ譜面プラス濃い人間関係、コレ、ビッグバンドの基本ですね。

「元気な30〜50代に比べ、若いひとたちのパワーが足りないと感じるのはちょっと淋しい。ぜひ音楽を続けて欲しい。僕としては毎日ここでライブができることを楽しみにしていますから」。

ところで『Buddy』って他のライブハウスに比べると、酔っ払って賑やかなお客さん、かなり多い気がするんですが……気のせいかしらん?

「飲酒率、高いですねえ(笑)。音楽を聴きながら気軽にリラックスして呑めるってことなんでしょうか」。

高木さんの脇で、カウンターに綺麗に並べられた酒瓶が、魅惑的にキラキラ輝いていた。