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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.76
ZattoFour

地域密着・初めてまかれたジャズの種?
@大阪・今里

アテンドのクリスさんも初めてという、ここ今里。かくいう僕も、実は初めて降り立つ駅である。
鶴橋からはほんの一駅という近さながら、ふだんの生活の場所から離れるとちょっと遠く感じるものではある。

もっとも、改札を出たら徒歩1分(笑)。これで遠いなんて言えない距離である。
赤い絨毯が敷かれた入り口を入るとモノトーンで統一された店内、こぢんまりとしたいい感じの広さだ。
お話をうかがったのはオーナーの長尾和彦さん。
脱サラというか、長尾さんの言葉を借りれば「仕事をヤンピ」してこのお店を開いたのが去年の6月。まだ1年にもならない若いお店である。長尾さんの前職は建設関係ということなのだが、エア・シャワーみたいなちょっと特殊な設備のお仕事だったとか。それにしても内装から防音から、すべてご自身が関わって作ったというから驚きだ。
高校時代に友達からジャズの面白さを教わって以来、ずっと育ててきた夢が実現したということですねえ。

ジャズ好きの知人・友人の口コミがだんだんと広がり、初めて来ましたという若いお客さんも増えてきているらしい。
ドリンク類の価格も安く設定されていて、気楽にジャズを楽しみたい人にはとてもありがたい。
なぜか、とかく特別視されがちなジャズという音楽。エンタテイメントには違いないはずなのに、気楽に楽しめる空間が少ないのもまた事実である。この「ジャズ探訪記」ではできるだけそういうお店を紹介しているのだけど、このザット・フォーみたいなお店を発見・紹介できることはうれしい限り。プレーヤーばかり多くても、いいオーディエンスがいないと結局そのジャンルは育たない。見巧者・聴巧者がいないとダメになっちゃうわけですね。

ザット・フォーがこの地にできたとき、近所の人がおっしゃったそうである。
「ああ、今里にこんなお店はなかったねえ」と。ひょっとするとこのお店、近隣のジャズ文化の誕生の地になるかもしれないのだ。
「近所の人にも気楽に寄ってもらいたいですねえ、とにかく来て、聴いてもらわないとジャズやライブの良さもわかってもらえないので…」と長尾さん。
ジャズだけではない、ちょうど取材日には、なんと能面が展示されている。期間限定ということだけど、こんな形でもこの空間が使われ、多くの人が訪れるようになるんだろう。
ミュージシャンによるライブの他、セッションデーもあり、腕自慢のアマチュアミュージシャンがつめかけるそうである。週末にセッションがあるお店は結構あるのだけど、平日にもセッションできる日があるというのもうれしいところ。
ちょこっと出かけて、ジャズのシャワーを浴びてみるのもいいんじゃないかなあ。

あ、そうそう、「ザット・フォーってどういう意味?」とずーっと思っているアナタ。こっそり教えてあげましょう。
「ザットは今里、フォーは4丁目」なのだそうだ。なるほど(笑)。