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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.70
Blues Alley Japan

ジャンルを超え、アーティストとともに「音楽のいま」を伝える
@東京・目黒

1990年、マイルス・デイビスの4デイズ・ライブでオープンを飾ったというゴージャズな「伝説」。シックな店内には、当時の彼の写真、また店内の至るところに彼の描いた絵画が印象的に飾られている。
厨房には有名店でシェフとして修行を積んだスタッフに加え、パティシエまでもが常駐。季節ごとに新しい料理を開発し、試食会をしながら毎年メニューをリニューアル。またワインも充実。ワインセラーを持ち、通常のメニューに加え、ワインリストを別に用意しているほどだ。食のクオリティの高さもこの店の特長のひとつ。
目黒というオトナの街にふさわしい洗練されたライブハウス。それがBlues Alley Japanだ。

「現在ではジャズだけでなく、ブルース、ロック、クラシック、J-popと、多岐にわたるジャンルのアーティストが出演しています。お客さまと出演者との絶妙な距離感が、このライブハウスの大きな魅力だと思います」と語るのはBlues Alley Japan広報の金森弘行さん。
来場者にとっては、普段はホールコンサートをこなすミュージシャンを身近に感じながら音楽を堪能できる楽しみがあり、その一方で出演者側には、実験的なサウンドやステージづくりに挑戦できる最適な規模のライブハウスとして重宝がられている。

かつてドラマーの村上ポンタ秀一マンスリーライブに、たまたま遊びに来ていたピンクレディーの未唯mieが飛び入り出演。これがきっかけで翌年は彼女自身が、後藤次利、日野賢二、斎藤ネコ、仙波清彦ら個性的なプロデューサーのもと、ユニークな定期ライブを開催。中でも仙波清彦と鼓隊との共演は、お正月の名物ライブとして発展した。
他にも平井堅、秋川雅史らのビッグ・アーティストが、ブレイク直前までマンスリーライブを行っていたり、JUJUの日本でのファースト・ライブを店がサポートするなど、その実績はBlues Alley Japanのライブハウスとしての姿勢を物語っている。
「Blues Alley Japanだからこそ、こんなことをやってみたい、というアーティストの想いに寄り添い、ともに成長していくことに面白さを感じています」と金森さん。

金森さんは、高校時代、徹夜してチケットを入手するほどのTHE SQUAREファンだった。CDショップの広報マン時代には、好きな音楽を盛り上げたい一心でJAZZコーナーにフュージョンのアルバムを取り揃えた。噂を聞きつけた当時のT-SQUAREのマネージャが来店し「これだけ置いてくれるところは他にない」と喜んでくれ、それが縁となってT-SQUAREの事務所に転職。レコード部門の営業を担当した後、なんと金森さんご自身がT-SQUAREのマネージャに抜擢され、以後5年間、彼らと行動をともにした。
音楽業界やアーティストに精通していることが、現在のBlues Alley Japan広報という仕事に、おおいに反映しているのは言うまでもない。
「楽器周りや音作りには充分なサポート体制が整っています。音響も音楽のジャンルによってお願いするスタッフを変えるようにしています。鍵盤奏者にとっては特に魅力的な環境でしょう。フルコンのスタンウェイ、ハモンドB3に、A100、そしてレスリースピーカー。フェンダーローズも何種類か選ぶことが可能です」。

金森さんは今の音楽を取り巻く状況をどうみていらっしゃいますか、とたずねてみた。
「長い間音楽の世界に身を置きながら、僕の中でライブで生の音を聴くということと、家でCDを聴くということが、もうひとつつながっていなかった。買ったまま聴かないでいた多くのCDに再度向き合い、その魅力を再発見しているのが今の僕。ライブであろうが録音であろうが、優れた音楽の本質や価値に変わりはないってことを実感しています。もしかしたら店にいらっしゃるお客さまは、とっくにそのことをご存じだったのかもしれません。本物の音楽をやっていれば、お客さまは変わりなくここへ来てくださる。そう感じています」。
テーブルにセットされた美しいキャンドルの灯りとともに、金森さんの想いがキラリと光った。