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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.68
FunFULL

アンティークに囲まれ、音楽と時の流れに思いを馳せる
@兵庫・明石

明石。
タコタコジャズみたいな大きなイベントももうおなじみなのだけど、誤解を恐れずに言うなら、大阪人の僕の感覚としては正直なところ遠い街ではある。
朝霧駅の次、新幹線なら西明石のひとつ手前、でもJRなら大阪からでも30分ほど、三ノ宮からならさらに短時間で行けてしまう。市外局番も078、カテゴリーは神戸なんですね。いやあ、その街にこんなほっこりとするお店がありました。

山陽電鉄・林崎松江海岸駅からもほど近いこのお店、Studio FunFULLのエントランスにはたくさんの植物がおだやかな風に緑の葉をゆらしている。
そしてその扉を開けると、そこにはたくさんのアンティーク家具に囲まれた、まさに"cozy"な空間があるのだ。
レセプションルームに鎮座するソファやチェストのゴージャスさ、美しさもうれしい驚き。
家具や床からただよう木のあたたかい香り、そしてリッチな音の響き。いやあ思い出すなあ、湖水地方にあるマナーハウスの居間で、ワーズワース君と詩について語り合ったあの頃を…。

「音楽を通じて人と人とが交流できる空間を明石の街に作りたい」ということで、このStudio FunFULLを作ったとおっしゃるのがオーナーの藤井さんだ。以前は某社の役員だったということなのだけど、「これからは自分の好きなことをやろう」と、このお店を開かれたのが2年前。店内の家具も(あたりまえだけど)藤井さんのご趣味。
穏やかで暖かい…藤井さんのお人柄に惹かれて、今日もたくさんのミュージシャンや音楽ファンがFunFULLを訪れる。

そんな空間が、ライブスペースであると同時に「練習スタジオ」「レッスンスタジオ」でもあるということは驚きだ。だってね、どこを見たって目に映るのはアンティークなんですよ。
テーブルやイスはもちろん、ロイヤル・コペンハーゲンのカップやクリスマス・プレートのコレクション、壁を飾るポスターまで、すべてが上質なアンティーク。
それなのに本格的なミキサーシステムやPA機材、さらに映像機材なんかもそろえられているってすごいじゃあ〜りませんか。いうならば、シャーロック・ホームズがヴァイオリンケースからノートパソコン出してくるようなモンです。木の床にしっくいの壁、この響きがまたいい音を作ってるんですよねえ。

ジャズ・ライブはもちろん、フレンチ・ポップスや、なんとフラ・ダンサーのパーティもあるのだそうだ。もちろんそれも40人は入れるというキャパがあってのことだけど、スタイルにとらわれず、たくさんの人々がここで楽しく交流を深めているということなんですねえ。
残念ながら取材当日は時間の都合でライブを見れなかった。でもこんな空間でのんびりといい音楽を聴き、おいしいお酒と料理を楽しめるというのはホントに贅沢だ。
そうそう、キッチンも見せていただいたのだけど、ハッキリ言ってレストランレベル。「こんなキッチンで仕事をしたい」と思うシェフは少なくないはずだ。そして「左利き」の方にも朗報なのは、風格のある100年以上昔のもの(!)というバーカウンターにも専任のバーテンダーさんがいるのだ。お酒の品揃えだって超一流、カクテルの味だって想像に難くない。

いや、明石恐るべし。
のんびりたたずむ町並み、おいしい魚といい音楽。
おだやかでやさしい人々と、こんな街で暮らすのもいいなあ…。
そんなことを本気で思った。