今日は東へ明日は西へ、活動範囲も大きく拡がったジャズ探訪記。今回は「西」編、大阪のジャズスポットを訪ねます。
堺筋と長堀通りの交差点から南西へアバウト5分?心斎橋からでも同じようなモノだろう。
いわゆる『鰻谷』界隈、ジャズのお店としてはナットクのロケーションだけど、それが小学校のお隣ってのがチョイと不思議(笑)。
一階にはフラダンス教室やハワイアンショップのポスターも見えて、静かながら楽しそうな雰囲気がただよっている。さて、とガラス戸を押して地下一階へと足を向けると、この階段の床材が美しい。一段ごとに期待もふくらみ、またなんとなくこう、空中ゴージャス濃度も高くなってくるようだ。
その予感が裏切られることはなくて、お店の中はさらにゴージャス。エントランスの大理石の床は重厚な木のフロアへ伸び、壁にはたくさんの彫像や版画がずらりと並ぶ。おお、ミロ、シャガール、カシニョール!それを照らすのはガレのアトリエもかくやというシャンデリアたち。んー、なんていうのかな、例えるなら小体ながら豪華なホテルっていうイメージですよ(この辺りのボキャブラリーが少ないのが辛いところで、ハハハ)。
ホホウ、こりゃあ素敵なお店ですねえ。
おりしも取材日は「マンディ・ジャズライブ」が開催される月曜日。たくさんのミュージシャンが集まる夜とあって、イスやソファ(またこれが美しい細工のほどこされたものなんですね、猫脚だったりして)は客席として片側に寄せられているけど、それでもこのお店の豊かな空気は変わらない。よく「オーラがある」なんて言うけど、確かにここにはそれがあって、座っているだけで幸せな気持ちがわいてくる。「まあ今日はのんびりおいしいワインでも飲むか」みたいな、ね。
お店の名前を聞いたときからなんとなく「?」と思ってたことがひとつ。なーんとなくね、聞き覚えがあったんですよ。それもずいぶん昔に聞いたような見たような…。
そのギモンは、ボルサリーノがよくお似合いのオーナー・愛内敬子さん(←グラビアアイドルみたいなお名前ですが…たしかに、ソフトながらクールな美人ママです)にうかがったお話の中で解けた。
そもそも「コンテ・ローゼ」は、長堀通り沿いに喫茶店として開店したのだそうだ。そう僕が覚えていたのはそのせいだったみたいで、おそらくその頃、お茶を飲みに立ち寄っているはずなんですね。
喫茶店時代にも、お店には100年以上前のものというアップライトピアノがあって、お客さんの「これ使わないともったいないよ」なんて話からライブを始めることになったようだ。