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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.49
JAZZ CLUB&BAR CRESCENT

今宵、ゆったりと満ちていく三日月@北新地。

この街がいちばん元気なのは、もう少し夜の深い時間である。 とはいえ、近隣のオフィスもそろそろ退社時間、通りにもにぎやかな笑い声と足音が増えてきた。 そう、ここは地の果て・アルジェリア♪(←しかしアルジェリアの人にはずいぶん失礼な歌ですね)…ではない。ここは大阪・北新地、言わずとしれたオトナの街だ。

ま、よんどころない事情というか、いわゆる「フトコロ具合」、世界がそう呼ぶいきさつで。 僕にはあまり縁のないところではあったのだけど、街の敷居もかなり低く感じられるようになったこの頃ではある。 そして今日、ジャズを聴きに行くのは「クレセント」、三日月という名のジャズバーである。 西梅田・四ツ橋方面からならほんの数分、堂島アバンザのすぐ近く。ビルの一階には洒落たイタリアンのデリなんかもできている。エレベーターのドアが開くとすぐに見える洒落たドアは、いかにも北新地のバーに来たという気分にさせてくれる。

ドアを開けると、その気分はさらに満ちてきて。 いや、満たされてきて…と他動詞的にいうべきかな、ママさん(…ったってまだずいぶんお若いんですけどね、なんかこんなお店ではこう呼びたいじゃありませんか)である坂根佳代子さんの笑顔は、一瞬でこちらの気持ちをほどいてしまう。 「こんばんわ、いらっしゃいませ」と迎えてくださる胸元には金色に輝く葡萄のバッジ。あ、坂根さんはソムリエさんなんですね。 おお、さらに店の奥にはワインが並んだカウンターも見える。ドア近くの、スコッチやブランデーが並ぶバーカウンターとは別に、なのだ。こりゃあワイン好きには嬉しいなあ。 坂根さんがソムリエの資格を取ったのも、好きなワイン・美味しいワインを、自信を持ってお客様に奨めたかったから…というのがそもそものきっかけだったとか。資格取得の後でも、坂根さんご自身は「むしろノムリエですけど」と笑っているのだけど。

ソファの、ちょっとグレイッシュなグリーンがシックな「クレセント」はオープンしてちょうど1周年。坂根さんは、以前に長く携わってきたお店がクローズになったのをきっかけに独立、マニアにも初心者にも来てもらえるお店を…というコンセプトでクレセントを作られたそうだ。そんなイメージは確実にお客さんにも伝わっているようで、女性が一人でふらっと立ち寄る…なんてことも多いらしい。なんというか、このお店なら性別や年齢・職業を越えて、美味しいお酒といい音楽が好きな人が気楽に遊びに来れるだろう。 確かに、大きなハコにひとりで行くのはチト辛い。でもこのお店なら、女性一人でもフラリと寄れそうな気易い感じだ。不思議だったのは、トイレがふたつあること。お聞きすると、もともと二軒のお店をひとつにまとめたからなんだそうで、これも「気をつかわなくていい」女性にはとても好評なんだそうだ。いや、それもナットクですね。

そのコンセプトは、ミュージシャンのブッキングにも反映されているようで。 フツーの組み合わせばかりでなく、「え!?この人とこの人が一緒に??」なんてブッキングを、確信犯的にすることも多いらしい。それに驚き、楽しんでいるのはお客さんたちばかりでなく、当のミュージシャンたちでもあるらしい。今日のライブのベーシスト・東ともみさんも「いや、そりゃもうヘトヘトになりますけど(笑)」なんて言いながら楽しんでいるみたいである。まあ、まさにこのあたりが実に「ジャズ」なんでしょうね。

「毎日ライブが聴けて、おいしいワインが飲めて幸せです(笑)」という坂根さん。 お酒と音楽だけでなく、フードも楽しみのひとつ。「ヒアルロン酸入りフルーツカクテル」(←このあたりが女性ならではのチョイスでしょうねえ)とかスペアリブ、カレーも人気メニューだそうだ。 さて、次は何を頼もうかなあ、ワインは赤で、アテにはカプレーゼ? 楽しく迷っているうちに、ライブが始まる。 やさしい歌声とベースの音色につつまれているうち、夜はいつのまにか更けていくのである。