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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.37
Sophisticated jazz vox Mister Kellly's

本格派のドアは、今夜も開かれている。

いうならば大阪梅田のジャズ銀座?西梅田、桜橋界隈にはたくさんのジャズのお店が集まっているようだ。 今回お邪魔する「ミスター・ケリーズ」もそのひとつで、北新地方面から四つ橋筋を渡り、少し西に入った辺り…と思えば間違いない。ホテルビスタ堂島の一階となればまちがうこともないだろう。 ちょいとお腹も空いてきた夕刻、まだ少しライブには早いってことで、新地で蕎麦なんか手繰ったりなんかしてから腹ごなしついでに歩いて…なんて思ってるうちにもう着いてしまった。近っ!!あっけないほどカンタンである。

さて、ジャズ好きな人にならおなじみの名前だろう。この大阪のミスター・ケリーズも、シカゴのMister Kelly'sも。つまり、この名前のルーツはシカゴのあのライブハウス。サラ・ヴォーンとかアニタ・オデイのライブ盤でも知られる、ある種伝説的といってもいいのかな、あの有名店(…知りませんでした、スミマセン・汗)に敬意を表した名前なのだそうだ。もっとも、気取った名前ではなく、英語感覚では「ケリー」は「太郎さん」みたいな、ごく気楽な親しみのある名前だということだ。 そんなことを、ライブスペースのはす向かい?にあるサイド・バーでお話をうかがったのは、常務執行役の窪田浩之さん。 でも、このカタすぎる役職名から、マジメ一辺倒のオジサンを想像してはいけない。窪田さんはラルフ・ローレンとかヨージ・ヤマモトのスーツが似合いそうな、ヒゲもクールなイケメンである。

さて、窪田さんによると、ミスター・ケリーズはもう開店20年になるという老舗なんである。 数年のブランクがありながらこのギョーカイにもどってきたという窪田さん。クールなルックスに似合わず、音楽の話になると、いや徐々に熱を帯びてくるんですね。「ジャズのことは詳しくないです」といいながらも、演奏を創りあげていく感じの東京のライブスタイルと、それに比べるとセッション色が濃い関西のスタイルの違いなどなど、とても興味深い。ブッキングも担当するという最前線にいればこその言葉はさすがに説得力がある。 ミスター・ケリーズでは、ジャズだけでなく、いろんなスタイルのライブを聴くことができる。スケジュール表をじっくり見ていると、なかにはカントリーなんてのもあるし、シャンソンのライブの日もあるそうだ。僕なんかはジャズシンガーとして認識しているジャネットさんのライブではディープ・パープルのナンバーも聴けるのだとか!中でも窪田さんはフュージョンがお好きだそうで、その方面のブッキングも積極的にしているということだ。このサイトの「What's jazz?」でもおなじみのクリスさんは、よく終電で窪田さんを目撃するらしい。いや、帰宅途中なわけじゃなくて(笑)、その時間からライブを聴きに行くという熱心さ。すばらしいですねー!

さて、そろそろライブ開演も近づいてきた。ライブスペースであるミスター・ケリーズに席を移すと、早くも客席はほぼ埋まっている。 今日の演奏はNEWYORK STANDARDS QUARTET。ベースの井上陽介さんを中心とするカルテットである。リハーサルを終えた井上さんたちも、ボチボチ呑み始めているお客さんと言葉を交わしたりしている。ゆったり呑んだり食べたりしながらライブを待ってるってのはマコトに気分のいいもんですね。メニューを見ると、ま、ビールの類は当然としても、ワインなどの充実度がかなりうれしい。見渡してみると、おっ、ボトルでワインが置かれているテーブルがけっこうある。女性同士の席にも、一人で来られているらしい席にもワインボトルが立っている。いやあ、いい雰囲気ですねえ、落ち着いた、豊かな空気が天井の高い空間全体を包みこんでいる。

ライブは静かに始まった。 あれ?こんなもん?なんて思ったのはちょっと早計に過ぎた。個人的な印象で言うと、リズム職人・ジーン・ジャクソンさん、ピアノの哲学者・デビッド・バークマンさん、日本語もお上手なサックスの親善大使・ティム・アマコストさん、そして、ベースプレイとは正反対?なんともチャーミングな井上陽介さん。さすがにニューヨークの香り…と思う僕は単純すぎるにしても(笑)、演奏はだんだん盛り上がり、最後の曲では白熱ということばがふさわしいソロ回し!さすが!でも、とても響きが自然でうるさくないんですね。 正直なところ、やたら音が大きくて話もできないお店もあるんですがね、こんなに近くで聞いていても充分に話ができるし演奏も楽しめる。そういえば、先程の窪田さんも「ウチの自慢は音響です。音響は技術だけでは限界がありますが、機材はしっかり選んでます」とおっしゃていた。なるほどなあ…。 そういえば、少し前にはあの「ナニワエキスプレス」の!!ライブがあったそうだ。おそらく今日の演奏とは正反対のサウンド(笑)、いったいどんないい音で聴けたのか…。聞き逃したのがとても残念だ。

理想を言うなら。 ライブ前に、サイドバーでまずイッパイ。くつろいだところでミスター・ケリーズで食事とお酒、充分に演奏を楽しんだら、またサイドバーに戻って仕上げのイッパイを。ま、個人的には、となりにかわいい女のコがいてほしいところだけど、もし一人でも、この流れをゆったりくつろいで味わいたい。いや、それこそオトナならではの楽しみだろう。