ジャズ探訪記 バックナンバー
Jazz LIVE  NEW SUNTORY5
酒と薔薇の日々@お初天神。
さて今回は、大阪最古の、ジャズライブが聴ける店・ニューサントリー5。
曾根崎警察や旭屋書店が並ぶ御堂筋から、みずほ銀行の角を東に入るとそこはもうお初天神通り。たくさんの居酒屋が軒を連ねる繁華街である。そしてニューサントリー5は、そこのビルの5階。実に駅近・通勤至便(笑)。雨の日だって傘はいらないくらいだ。

エレベータの扉が開いてあらわれるのは、なんとなくレトロな雰囲気のエンントランス。いわゆるモダンな、洗練された内装…という印象ではないんですね。レトロというよりむしろクラシックな、昔こんなレストランとかビアホールがあったよなーって感じ。あー、そういえば、喫茶店(カフェじゃなくってね)ってこんなんだったなあ、なんて感じなんである。真紅のカーペットに落ち着いた茶色のシート。テーブルには目にも鮮やかな白いクロスがにかかっている。一方にはぐるりとソファ席、そして反対側には長い長いカウンターが延びている。実にクラシカルで暖かいたたずまいだ。

実はこのお店には、個人的に何度かお邪魔しているんである。 今日あらためてうかがってみて、以前と変わらない雰囲気がなんとも嬉しい。もっとも、取材とはいえこんな明るい時間に来たのは初めてで、「ずいぶん大きな窓だったんだなあ」なんて印象の変化もあったけれど。壁というか柱というか…、店内の何カ所に白い柱(なんだろうなあ、やっぱり)が見える。曲線でデザインされたこの柱は緩やかに天井につながっていて、なんとなく鍾乳洞の中にいるみたいである。オープンでありながら暖かくて安全な場所にこもっているような不思議な感覚で、「仕事も忙しいし、人間関係での悩みもある。麻生内閣にもナットクできないけれど、とりあえず今夜は、ゆったりライブを楽しもう」みたいな気分になるのはとても自然な事かもしれない。
しかし驚くなかれ。 ニューサントリー5は、今年開店39周年。 驚くなかれったって驚きますよね。39年ですよ!開店と同じ年に生まれた赤ちゃんが今や39歳ですよ!もうすぐ不惑とかいわれるんですよ。大阪といわず、日本のジャズの老舗中の老舗といっていい歴史である。いやあ、これはすごいことですねえ。 驚きながらお話をうかがったオーナーの森美典さんなのだけど、いきなり 「僕、あんまりジャズのこと知らへんねん」なんていう森さん。  実に恬淡としたというか飄々としたというか、なんとも構えのない方なんでした。なんでも昔も今もクラシック好き、学生時代はグリークラブに在籍していたとか(笑)。ジャズのお店のオーナーとしてはかなり異色かもしれない。でもきっと、そのクールさとかニュートラルな視点が、このお店が今も活気に溢れていることのヒミツなんだろうなあ。



さて、このお店のそもそもは、森さんのお姉さまにあったらしい。(その美しい横顔は、今でも壁にかけられたモノクロ写真の中で遠くを眺めているように見える) 当時(だから39年前ですね)この近くでニュー・サントリーというお店を持たれていたのがお姉さま。サントリー・バーの草分け的だったお店の支店として、ニューサントリー5をつくる計画だったらしい。そんな時にニュー・オリンズから大阪にやってきたジャズバンドのライブに感激、そして知り合ったのがニュー・オリンズ・ラスカルズのメンバーで、あっというまに意気投合。練習する場所、ライブする場所がほしいというメンバーに、「じゃあ新しい店つくるからそこでやったら?」と、とんとん拍子に話が決まって、毎週土曜日にみんな集まることになって今に至る。 …というとえらくあっさりしてますが。 このあたりのお話はまるで昔の映画を観るようで、とてもおもしろい。実際、「ジャズ放浪記」なんて映画の一本や二本は撮れるんじゃないかって感じで、うかがっていると、昭和の青い夜の中に響くジャズが遠くから聴こえてくるようだ。 そして今夜ライブをするニュー・オリンズ・ラスカルズは結成50周年!!さらに、当時とメンバーが変わっていない!そんなバンド、今やニュー・オリンズ・ラスカルズかローリング・ストーンズ(笑)くらいなものだろう。そしてその演奏は…? いやあ、どちらも熱い熱い。
変わらないといえば、ニュー・サントリー・5のシェフも開店以来ずっと同じ方。 ライブやお酒もさることながら、「このシェフの味」を求めて来店されるお客さまも多いのだとか。例えばパスタ、ナポリタン。ナポリにこのパスタがないことはしばしばお笑いネタになったりもするのだけど、ナポリになくたって美味しいモノは美味しい。若い人にはむしろ新鮮だったりもするらしい。クリスさんのお薦めはビフカツサンドだそうだ。あー、こりゃ確かにビールに合いそうだなあ。厚切りのカツは見るからにジューシーである。 冷たいビールでビフカツサンドをハフハフしながら、にぎやかなジャズのライブに聴き入っていると、いつのまにか週末の夜はとっぷりと暮れていく。いや、実にゼータクな時間の使い方である。 そうそう、『酒と薔薇の日々』なんてタイトルをつけたのにはワケがある。 音楽もお酒も素晴らしいけど、カウンターの中やフロアに佇む『薔薇』がまた素晴らしい。 まあ平たくいうなら『キレイドコロ』、美しくかわいい女性たちですね(笑)。それも、ただかわいいんじゃなくてちゃんと話ができるインテリジェンスがあるってのが嬉しいじゃありませんか。だからこそお客さんの顔ぶれにも女性が多いのだ。

ひとりでふらっと立ち寄っても、いつでも美味しいお酒と料理、楽しい音楽が待っていてくれる。さらに見目麗しい女性と気楽に会話も楽しめるなんて、そんなお店ちょっとないでしょ?

Jazz LIVE NEW SUNTORY5
●大阪市北区曾根崎2-10-15 曾根崎センタービル5F(お初天神通)
●TEL:06-6312-8912
取材日:2009.3.7
●http://www.mmjp.or.jp/
PAGE TOP