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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.135
カントコトロ

空と海と音楽とがつながる、天空のカフェ
@神戸・東舞子

青い空と海、その間にかかる明石海峡大橋…。そんな素晴らしいロケーションに、まるで天空への入口のように佇むのが、空と音楽と珈琲が楽しめるお店〈カントコトロ〉だ。
JR舞子駅や山陽電鉄舞子公園駅から、神戸の人にはお馴染みの舞子ビラ方面へ5分ほど歩くと、お店のある白いマンションが見えてくる。ちょうど舞子ビラの敷地の北西あたりかな。
エレベーターで最上階に上がれば、まるで白いマンションに溶け込むようなお洒落なエントランス。そして入口のドアの上には、なんと雲をイメージさせる庇(ひさし)が…。一見すると、えっ!ここでJAZZ?(失礼)と思うほどのかわいさだ。
雲の中に入るようにドアを開けると、まず目に入ってくるのが、白を基調にした店内と、南向きの広~~~い窓。そして窓の向こうに広がるのが、青い海と明石海峡大橋だ。しばしその絶景に見とれてしまう。…ほんとうに気分は天空にいるようだ。
正気に戻って目を店内に戻すと、奥に置かれたウッディなグランドピアノ以外は白で統一されている。店内のカウンターやバルコニーへ向かう階段など、各所に、雲をモチーフにしたやさしいカーブが。そのカウンターの脇でやさしく微笑む店主の中村かんなさんと、カウンター内で手際よく珈琲を点てるマスターの中村彰浩さんが迎えてくれた。お店はオープンしてもうすぐ2年目を迎える。

まず絶対気になる〈カントコトロ〉という店名についてうかがうと、なんと!アイヌ語だそう。〈カン〉=上の方、天、〈ト〉=湖、〈コトロ〉=こちら側というのが本来の意味。それを拡大解釈して〈カント〉=自然(空、海、山…)と〈コトロ〉=人間やその暮らし(家や街並み、造形物…)との心地よい関係(つながり)を取り持つのがテーマ。つまりこのお店は、お洒落なカフェ&バーというだけじゃなくて人と人、人と自然、人と音楽、もっと言えば中村さんと縁のある神戸と静岡を〈つなぐ場〉で、香り高い珈琲や美味しいフード、ドリンクなどは、それを盛り上げ、演出するための素敵な小道具なのだ。
学生時代を神戸や西宮で過ごされたかんなさんは、中学、高校時代からブラスバンド部や軽音楽部で打楽器を担当、学校以外でもエレクトーンを習われるなど、若い頃から音楽に親しんで来られた。エレクトーンではお仕事もされていたが、演奏するだけでなく、素晴らしいミュージシャンの演奏を聴く楽しさにハマっていった。そんななかで、その世界観に心打たれ、気に入ったのが元THE SQUARE(現T-SQUARE)のキーボーディスト、和泉宏隆のピアノだ。平たく言えば「追っかけてました(笑)」とのことだが、そこでいろんなライブハウスと出会い、「女性がふつうに来れるJAZZライブのお店ができたら良いな…」と考えるようになったという。

その後も様々なミュージシャンのライブを楽しみながらも、ご結婚されてからは御主人のお仕事の関係で静岡県へ。静岡では関東圏のライブを楽しみつつ、約20年間、子育てに主婦業にと忙しい日々を過ごすなか「音楽をできるカフェを…」の夢が膨らんできたそうだ。そして3年前、御主人のリタイを機に神戸へ戻られ、お2人で念願のカフェをオープンした。
御主人でマスターの彰浩さんは、見るからにミュージシャンぽいが、楽器の経験はなく、興味の先は星座や天体へ。カウンターの中で美味しい珈琲を淹れながら、JAZZYで自由奔放に動き回るかんなさんを、やさしい眼差しで見守っておられる。「楽しいことは私がやらせてもらって、面倒くさいことは全部押しつけています」と笑うかんなさんを静かに見守る、太陽や月のような存在なのかもしれない。ちなみに彰浩さん主催で毎月行われる〈星空観測会〉は、お店の人気マンスリー企画。天空のカフェらしい素敵な企画だ。
ライブのほうはだいたい月に1~2回、お店の企画するスペシャルライブと、ミュージシャン持込み企画のライブで、かんなさんの大好きなJAZZを中心にクラシックなども。
お店でライブをするミュージシャンには、ひとつは和泉宏隆やakiko、妹尾美穂など、かんなさんご自身がファンで「ぜひウチで演奏してください!」と、ラブコールを送ったミュージシャン達、もうひとつはお店の音響担当で、神戸の甲陽音楽院で学ばれた、ご子息の一麻さん(なんとご自身ベーシストで、演奏もされている)のつながりでお願いしているミュージシャン、そしてこれから増やしていきたいのが、音楽をしていた頃のかんなさんご自身のお友達つながりと、大きく分けて3つの流れがある。ここでもいろんなつながりから、新しい出会いのグルーヴが広がっているようだ。
メニューや食器にもこだわっている。マスターの淹れてくれる珈琲は、沼津市の自家焙煎珈琲『花野子』さんから取り寄せた豆を使い、御殿場市『そめいよしの工房』さんで焼いてもらったカップで楽しめる。明石魚の棚で仕入れた蛸をつかったタコピラフ、インスタ映え必至!(笑)雲の乗っかったノンアルコールカクテル〈カントコトロ〉などなど。カフェ&バーとしてもしっかり使える。ちなみにパンは地元、西舞子の『ベーカリーそら』さんと、ここでも静岡と神戸がつながりを大切にされている。あと、ライブの時だけに楽しめるミュージシャン・リクエストのスペシャルメニューも注目だ。
「お店主催のスペシャルライブは、選りすぐりのミュージシャンにスペシャルな気持ちで来てもらっています」と、かんなさん。今年の6月には2周年を迎え、周年ライブも企画されているとか。これからもこの素晴らしい景色のなかで良いライブを続けて、人と人、人と自然、人と音楽をつないでいってほしい。