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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.114
Jazz Records seeed

ちっちゃなちっちゃなジャズの種。
@大阪・北区

さて今回はいわゆる扇町界隈。
大阪は北区といっても、馴染みのない人にはちょっとキャラクターのつかみにくい街。周辺には新しいお店や、ガラス張りの日本酒立ち呑みの店なんかもあって、古くからにぎやかな街なのだけど。

ここに、本当にこじんまりとしたレコード屋さんがあるんである。
なぜそんなところに?というなかれ。近所にはクラシック専門のレコード屋さん、POPS中心のレコード屋さんなんかもあって、それぞれにファンを獲得しているのですね。なにかこう、レコードの持つ磁場でもあるんでしょうかね、不思議なものです。

右に行けば中之島方面、左には大阪環状線が見えるという交差点に立って、進路は左方向(つまり北ですな)へ。建物の二階部分を見ながらほんの少し歩けば、すぐに「seeed」と書かれた窓が見つかる。そう、ここが今回の目的地なのである。

建物自体もけっこうアンティークで、狭い階段を二階へ。ドアをあけると、本当にアルバムジャケットみたいな真っ四角なお店が現れる。

店内はまさに「壁中レコード」。いや、これは楽しい!

オーナーは長門淳也さん。明るい笑顔が印象的なヒトです。(ちょっと意外かな、思い込みかもしれないけど、ジャズ関係の人ってよく笑う人があんまりいないような…)
お話をうかがうと、この道に入ってすでに14年。その前には古着屋さんをされてたこともあるらしく、確かにそんなニオイのする方です(笑)。

そして、ジャズやレコードに興味を持ったのもその頃だったらしく。
「当時の友達がDJやってて、遊びに行った時にレコード聴かせてもらって。それがえらく楽しかったんですよ」
そこからズブズブとハマっていかれたようでありますな。
僕もとっても同感なのだけど、CDとかダウンロードで聴く音楽はなんというか…どこかサプリメントみたいなところがある気がする。レコードはそれと違って「音楽を聴くこと、そしてそのメディアそのものに愛着がわきますよね」とおっしゃる。ね、まったくそうですよねえ。

僕は写真好きなのだけど、デジタルカメラだと「画像データを作っている」感じがする。いまさらガラス乾板で…とは思わないけど、少なくともフィルムであってほしい気がするのですね。そんな感覚ととてもよく似ている気がする。

事実、「レコードの市場というものが確実にある」そうで、レコードの魅力にとりつかれた人はかなりの数いるらしい。もちろん日本だけでなく、世界中にね。

お店にある在庫はおおよそ2500枚ほど。
「個人のコレクターの方なんて、お一人で何千枚持ってるなんてこともあって、僕の方がびっくりしてしまいます」とも。
ただし、まだ荷解きされていない箱もたくさんあり、中にいったいどんな盤が入っているのか、想像するだけでも楽しくなる。

お店に来られるのは50歳代から70歳代の人が多いらしい。通販も受け付けているので、「こんなんありません?」なんて相談もできるそうだ。こういうのがいいですな、南米の大きな河で買うのとは違うところです。

「大阪にも海外のディーラーがよく来るようになりました」とおっしゃる長門さん。
お店でいろんな話をしたりするのがとても楽しそうなご様子だ。
レコードでジャズを聴く、それは友人と話をしたり、本のページをめくったりすることと、どこかとてもよく似ているのかもしれない。
そんな方法でたくさんのミュージシャンと会話するのは、また得難い経験なのかもしれませんね。

お聞きすると、この秋には近所に移転の可能性もあるそうで。個人的には、現在のお店はとても魅力的なんですけどね。
秋以降に行ってみよう、とお考えの方はご確認の上でどうぞ!