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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.101
Piano Bar Kiyomi

小バコにあふれるジャズの呼吸。
@大阪・朝潮橋

今回、ちょっと変わったロケーション。聞き慣れない人には遠く思えるけど、地下鉄、あるいは環状線と地下鉄を乗り継げば、ほんの数駅。ちなみに大阪駅からなら4駅から5駅。そして訪れたのは朝潮橋駅から5分ほどの、ホントに小さな小さなお店で。以前に紹介した、東京・高田馬場、HOT HOUSEに並ぶ小バコの双璧である。

オーナーは店名そのままのキヨミさん。このお店を開いてもう16年というからすばらしい。音楽好きは小さな頃からだけど、出会ったダンナ様がジャズ好き、いろんなジャズ雑誌を読み漁るような方で、すっかりジャズにのめり込んだということらしい。とはいえ、音楽との出会いはクラシック、お店を始めるにあたってはピアノは絶対!だったというキヨミママ。でもこのスペースにベイビーグランド、「どうやって入れたのか?が謎なんですよ」とはお客様の弁(笑)。おもしろいのは、クラシックを愛し、またジャズにも踏み込んでいる人が、あのヤザワの大ファンでもあるということで。ウイスキーやブランデーが並ぶ棚にもヤザワのDVDがさりげなく鎮座していることである。ライブ版と肩を並べているのは彼の著書「アー・ユー・ハッピー?」。お聞きすると、「このお店が16年続いたのも、この考え方のおかげです」。たしかに経済的なことが成り立たないとお店も存続しないわけだけど、お客さんの立場で、その楽しさを考えないと絶対に続かない。ま、関西的に言うなら「三方よし」というわけですね。そんなママのお店は今日もワイワイ、楽しい空気が満ちている。

今夜はセッションデーとあって、早くから愛器をかかえた常連さんが訪れる。みなさん顔なじみとあって、キヨミママともツーカーのご挨拶。今夜の進行役はベーシストの中本まゆこさんとピアノの中林藍子さん。とはいうもの、お客さん同士、阿吽の呼吸でセッションが始まる。取材中、僕は楽譜も見えるポジションにいたのだけど、「ここからソロ回し」とか書いてないわけですよ。それなのになんとなく音楽が出来上がっていくのはちょっと不思議な気分。いやしかし、ジャズってのはこんなふうに生まれてきたんでしょうね。

練習を重ねて完成度を高めるジャズもあり、「出会いもの」とも言うべきジャズもあり。ジャズという音楽の幅広さを感じた夜でもありました。