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ジャズを愛するすべての人へ。こだわりのジャズ情報を富士通テンがお届けします。

ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

砂原弘治さんのお洒落なイラスト&エッセイでジャズスポットをご紹介する『ジャズ探訪記』。
2006年6月、神戸の名店『SONE』からスタートして以来、な〜んと今回で100回目を迎えちゃいました。Congratulations!
51回目からは関東首都圏情報もプラスしてますます充実!これからも『ジャズ探訪記』、ぜひ読んでくださいね〜。

vol.100
Blue Note Tokyo

世界のトップアーティストが連夜出演、最前線の音楽シーンをリードするジャズクラブ
@東京・港区南青山

表参道、南青山といえば、ファッションビルが立ち並ぶ東京の中でもとりわけ洗練されたクールなエリア。ブルーノート東京はその真っただ中に位置する。入り口の重厚な扉の両脇には、'88年の旧店舗と'98年の現店舗それぞれのオープニングを飾ったアーティスト、トニー・べネットとミルト・ジャクソン/ケニー・バレル&ディー・ディー・ブリッジウォーターの名が刻まれたエンブレムが掲げられている。最近ではこの扉の前で記念撮影をする内外の観光客の姿もよく見かけるようになった。
このジャズクラブでプレイした大物アーティストは枚挙にいとまがない。扉をあけるとエントランスにぎっしりと貼られた彼らのポートレートが出迎えてくれる。大きな階段をワクワクしながら下ると、地下一階はフロント&ウェイティングルーム。カウンターで受付を済ませてクロークにコートを。ゆったりしたソファーに身をゆだねているとホテルにいるよう。さらに一昨年にはこのスペースに瀟洒なバー『Bar BACKYARD』も併設された。やがて正装したスタッフが全300席の地下二階ライブ・フロアへとエスコート。高い天井とオリエンタルなシャンデリア。食事とお酒と楽しい会話。ライブが始まるまでの華やかでゆたかな時間を満喫できる。

入り口からは想像もできなかった巨大な空間が、音楽を聴く気分をいっそう盛り上げてくれる。ここでしか味わえない贅沢な演出だ。
「たまにはライブでも、と急にお客様が来訪されても、ハズレることなく世界の一流アーティストの演奏に触れることができる。それがブルーノート東京です。コアなジャズファンだけでなく、ジャズに接する機会の少ないお客様も、出演者の優れたパフォーマンスによって会場と一体となる喜びを体験をしていただけるのでは。充実したひとときをお過ごしいただくために、軽いお食事から本格的なコース料理まで、またソムリエも常駐し、お酒も取り揃えております。最近では記念日やご接待、海外からのお客様のご利用も確実に増えてきました」。
と、ブルーノート・ジャパン マーケティング部マネージャーの原澤美穂さん。原澤さんとは何度かお目にかかっているが、爽やかで知的、笑顔がチャーミングな広報ウーマン。入社13年目という彼女は「ライブとはまさに生きもの」と語る。観客の熱気や会場の空気、また何日も続けて演奏することによって、その質がどんどん変化するのを目の当たりにしてきた。プライベートでは海外のフェスやクラブを巡り、ジャズに限らずあらゆる音楽を見聴きしてその想いをいっそう強くしたという。
「アーティストはハードなスケジュールであらゆる場所で演奏し、お客様のためにベストを尽くします。海外へ足を運んだことによって、その当たり前の事実を体感し、『東京のジャズクラブの魅力は何か』を改めて考えるきっかけになりました。東京のお客様の素晴らしさは、アーティストへのリスペクトの高さと真摯に音楽を聴こうとする姿勢。それが結果的に演奏の質を上げている。先頃来日した85歳になるヘレン・メリルは、もうこれが最後と思って来日したものの、ステージを終えると『ぜひまた来たい』とスタッフに伝えたくらいですから」。

原澤さんはオーネット・コールマンの音楽が好きで、昨年ブルックリンで行われたお祝いイベントも観覧。そこに参加したミュージシャンの顔ぶれはレッチリのフリー、パティ・スミス、サーストン・ムーアにローリー・アンダーソンと、オーネットはさながらオルタナティブ・ミュージックのゴッドファーザーという様相だったそうだ。「今の若い世代にとって、ジャズというカテゴリーは特に意識されていないのかもしれません。なぜなら彼らの向き合うどの音楽にも、すでにジャズ的な要素が含まれていますから。だからジャズはなくならない、というより、なくなりようがないんです」。
そしてこう続ける。
「ロックフェスで、尖ったファッションに身を包み最新のテクノロジーを多用して演奏しているバンドに、保守的な印象を受けることもある。その一方、ジャズクラブでスーツ姿でスタンダード・ナンバーをやっても、突き抜けた、革新的な精神を感じることもあります。見た目やジャンルに捕らわれることなく、よりよい音楽を幅広く、たくさんのお客様にご紹介できたら」。
近年のブルーノート東京は、中南米やアフリカ、J-POPの旗手などさまざまなブッキングを試みている。またエリック・ミヤシロ率いるブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラのような新しい企画も生み出した。
「動画サイトが充実し、ここ5年ほどでありとあらゆる音楽を簡単に見聴きできるようになりました。こうした環境の中でどのようなアーティストが登場してくるのか、私自身、すごく楽しみなんです」と原澤さん。
ううむ。共感しすぎて、言うことないなァ。
アーティスト、オーディエンス、そしてジャズクラブの努力とパワーに支えられ、世界の音楽シーンはこれからも切り拓かれていくことだろう。