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ジャズピープル

常に自分を打破したい。ジャズバイオリニスト・maiko

クラシック畑からジャズミュージシャンを目指し、神戸から東京へと飛び出し、毎月20本以上のライブを重ねて19年。確かな技術と熱い演奏で人気のジャズバイオリニストのmaikoさん。3年ほど前からはライフワークとしてソロ活動も始め、今年の秋にはソロアルバムもリリース予定。今回はソロミニツアーの最中、「神戸のライブは毎回、帰ってきたという気持ちでほっとします」というmaikoさんにお話をうかがいました。

person

maiko

神戸市御影出身。3歳からバイオリンを始め、京都市立芸術大学音楽学部卒業。1999年に上京し、ジャズバイオリニスト寺井尚子氏のライブに通いつめ、アドバイスを受けながらジャズバイオリンを独学で習得。現在は首都圏のライブハウスを中心に自身がリーダーのライブ活動をするとともに、Trump、じゃず撫子、SJS、Melody Cascade他、多くのバンドやセッションに参加。ビバップ、スウィング、ECM、フュージョン、ラテンと幅広いジャンルにおいて、音色の美しさと熱い演奏が身上。歌心あふれるオリジナルナンバーも好評を博している。洗足学園音楽大学・ジャズコース 非常勤講師。




interview

「自分にとってはライブが柱」。月20本を超えるライブ活動で得られたもの。

── maikoさんは東京に行かれるまでクラシックだったんですよね。

maiko「そうですね。ずっとクラシックです。でも大学生のときに神戸淡路大震災を経験して、人生観を覆されたんです。音楽人生についても考えさせられて、いろいろ模索していた頃です。そんなときに、大阪のCDショップで寺井尚子さんのインストアライブを偶然耳にして、『これだ!』って思ったんです。当時、ヤマハで教えたりもしてたんですけど、それも辞めて3か月後には東京に行きました。」

── 行動力がすごい!寺井さんのジャズバイオリンはそれほど衝撃的だったんですね。

maiko「震災をきっかけに自分が本当は何をやりたいのかと考えていたことがベースにあって、寺井さんの音楽との出会いが本当に大きいですね。すごくかっこよかったんです。」

── クラシックからジャズへの転身は難しかったですか?

maiko「すごく難しかったです。今となってはどちらの考え方も体に染み込んでいますが、クラシックは作曲家の音楽を深く追求するものに対して、ジャズは自分でクリエイトしていくもので、発想そのものが全然違っていて難しかったですね。特に東京に行くときにクラシックはやらないと決めて出たので大変でした。」

── クラシックの方は技術が高いので、リスナー目線だとスムーズにジャズにも移行できるのかなと思っていました。

maiko「今となってはそうなんですけど、東京に出てきたばかりの頃はクラシックをやっていたことが逆に大きな壁と感じることが多かったですね。『なんでもいい』『間違ってもいいから弾いてみて』って言われても、クラシックでは間違えることはご法度だと教わってきたので間違えることがすごく怖くて。そういったメンタル面が特に大変でしたね。楽しくなってきたのは本当にここ10年くらいです。」

── やっぱり一朝一夕にはいかないものなんですね。

maiko「いかないですね。アドリブやるうえで知っておかないといけないこともいっぱいあるので、やっぱりいろんな音楽をたくさん聴いて、たくさんライブをして、日常的に好きになることが大切なので、一年ちょっととかでできることではなかったですね。私もジャズを始めるまでは、わりとすぐにできると思ってたんですけど(笑)。飛び込んでみて始めて知ることがたくさんあって、こんなにできないものかと思いました。なので東京に行ってしばらくは結構辛かったですね。」

── クラシックに戻ろう、神戸に帰ろうとはなりませんでした?

maiko「何回かはありましたね(笑)。でも当時は寺井さんへの憧れが強くて、こういうプレイヤー、存在になりたいという想いもすごくあって、あと張り切って東京に出てきたので、できないから帰るってやっぱり嫌だなと思っていました。とは言え帰りたいなと思うことはたくさんありましたね」

── そんな辛い時期を乗り越えて今のmaikoさんがあるんですね。

maiko「今年の4月で19年目になるのですが、私はそれに尽きますね。あの頃からずっとライブをコンスタントに続けていることが自信につながっています。ライブはこれでも最近は減らしたのですが、それでも月に20本くらいが普通です。」

── ライブメインで、それも毎回違うメンバーで、という音楽活動はジャズならではですよね。それでも月20本はすごい!

maiko「そうですね。ジャズミュージシャンの信条として、ライブをどれだけ長くやっていけるかというのはずっと変わらなくて、自分にとってはライブが柱です。これだけ長い間活動していても、毎回、一緒にやるミュージシャン、お客さまからエネルギーをいただけて、ライブをやっている最中が一番生きてるという実感があります。」

「アンサンブルのための自分の現状打破」。バイオリン一挺の完全ソロライブ。

── 東京での活動が中心ですが、東京と遠征ではライブの手応えや空気感は変わりますか?

maiko「全然違いますよ。ぐっときてくれるんだけどダイレクトには表現しない地域性とか空気感ではわかるんですけど、ツアーで回るとやっぱり全然違うと感じます。それぞれの場所で違って面白いなと思います。」

── maikoさんにとって神戸はホームのひとつだと思いますが、神戸のお客さんはどうですか?

maiko「やっぱりまず自分が帰ってきたという感じがあるので、神戸でのライブはあたたかい気持ちになりますね。やっぱり生まれ育った街のパワーって特別で、神戸で演奏するとすごくほっとします。年々故郷の存在って大きいなと感じています。」

── 今回のミニツアーはなんと、バイオリンのソロライブということで。初めて聞きました。

maiko「そうなんですよ。自分の18年のキャリアの中で、最初は寺井さんを追い求めて続けていました。でもやっぱりそれは自分のカラーではないし、それではダメだと思い、曲をいっぱい書き始めて自分のスタイルを見つけました。今よく一緒に演奏している仲間を見つけていくなかで、いつかソロをやってみたいなとは思っていました。そんなときに、すごくお世話になっているお店からソロをやってみませんかとお声がけいただいて。10人くらいで満席になるような小さなお店だったんですけど、いいきっかけだなと思って始めたのがソロ活動の始まりです。」

── やってみていかがでしたか?

maiko「それがすっごく難しいんですよ!自分ひとりでやることなので、一番自由なはずなんですけどそれが却って難しい。自分で制限をかけてしまうんですよ。それにすごく疲れるんです。でも逆に、そこを脱皮できたら人とプレイをするときにも大きなエネルギーになるんじゃないかと思い、ライフワークにしようと。これまで関東ではちょこちょこやってたんですけど、今回のミニツアーでは、初めてのお客さんの前で、しかも一人で2時間、2ステージ。超マニアックな内容で、お客さんの反応も怖いなって(笑)。でもそれを一回やってみたらまた一歩前進できるんじゃないかと思いました。」

── 既に東京、名古屋、大阪と回られて、神戸でのライブがラストです。どうですか?

maiko「いやもう本当にぐったりですよ。緊張することはもうないと思ってましたけど、めっちゃ緊張するし、お客さんもすごく集中して聴いてくれますしね。私もすごく集中するので…翌日とか本当にもう…(笑)。でもそのぶんやり甲斐を感じますし、楽しいです。」

── ソロは本当に逃げ場がないですもんね。鍛えられそうです。お話をうかがっていて、東京に行かれた経緯も、ソロライブも、maikoさんのチャレンジ精神がすごいなと思いました。

maiko「そうですね。ソロはずっと一人でやりたいわけではなくて、アンサンブルに戻るためにやる自分の現状打破という感じですね。自分と今を超えたいという意識が常にあるかもしれません。周りのミュージシャンの友達には『なんでそんな変なことやってんの』って言われたりもしますけど(笑)。」

── 秋にはソロでのアルバムリリースも予定されているそうですね。

maiko「そうなんです。5月にレコーディングして、秋にリリース予定です。ジャズバイオリンの完全ソロアルバム、誰もやってないので自分の新しい証になるなと思ってます。あとはレギュラーメンバーと長くやってきてるものがあるので、それをどれだけ長く続けられるかというのが今一番興味があることです」

── 楽しみです。5月には神戸でのライブが既に決まっていますし、今年のmaikoさんのご活躍に期待しています。今日はどうもありがとうございました!

information

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The Duo / maiko : ジャズバイオリンライブ


Indigo Waltz / maiko : ジャズバイオリンライブ



[ Live Information ]

北浪良佳 SPECIAL LIVE feat.maiko(from東京)@神戸
日時:2018年5月26日(土)20:00~
場所:GREAT BLUE(神戸市中央区琴ノ緒町5-5-29 三経ビル地下1階) http://www.livehousegreatblue.com/
料金:¥3,500
出演:北浪 良佳 (Vo) 神戸ジャズヴォーカルクィーングランプリ、maiko (Vln) from東京、越山 満美子 (P)、木村 知之 (B)、佐藤 英宜 (Dr)




[ Release ]

ジャズ・バイオリニト・マイコ・トリオ・ライヴ! スリー
maikoトリオライブ「Three」。日本フュージョン界の黎明期からそのトップを走り続けるギタリスト、宮野弘紀。多方面からの共演オファーで息つく間もない人気ピアニスト、伊藤志宏。二人の鉄人が支えるmaikoのバイオリンはあたたかい音色とリリカルなプレイで、聴く者の心をとらえ、瞬時に虚空の高みへ引き上げる。そんな極上のライブがついにハイレゾ化。このトリオでのレコーディングは4年ぶり。前作“Hope"以来ライブを重ね、磨き抜かれたそのサウンド、3人の感性が紡ぎ出す荘厳な物語を、ハイレゾレコーディングにより音の向こう側までを余すことなく収録。maikoの未発表曲を含む珠玉のオリジナルと、厳選したスタンダードナンバーで構成。魂の息遣いが聴こえる。

【Member】
maiko(Vl)
宮野弘紀(Gt)
伊藤志宏(Pf)

【Tracks】
1.Voyager / maiko
2.You And The Night And The Music / Arthur Schwartz
3.Under The Moon / maiko
4.風音 / maiko
5.月影 / maiko
6.We Will Meet Again / Bill Evans
7.Eternally / maiko
8.Three / maiko

maikoトリオ
2011年~
バイオリンmaiko、ギター宮野弘紀、ピアノ伊藤志宏。通称てっぱんトリオ。三人三様の音楽性が見事に融合し、流麗深遠な唯一無二のサウンドを紡ぐ。このトリオでの録音は、maikoの4thアルバム「Hope」以来4年ぶりとなる。

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