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ジャズピープル

古き良き70年代の香りが斬新に響く。Jazz virusが提示するのは現代の“クロスオーバー”。

関西を中心に活動するインスト集団(あえて集団と呼ぼう)、“jazz virus”。バンド名にjazzと付くがそれは彼らを形成する中のワンピースであり、決してひと括りにはできない。様々な音楽ジャンルを内包する彼らの音楽に迫る
インタビュー・文
小島良太(ジャズライター/ジャズフリーペーパーVOYAGE編集長)

person

jazz virus

John鈴木のカクテルドラム、まるいじゅんいちろうのアップライトベースが放つ個性を武器に、ノスタルジー(郷愁)をテーマにした楽曲制作、ライブ活動を行っているインストゥルメンタルバンド。2017年7月、1stミニアルバム『retrospective(レトロスペクティブ)』をリリース。

interview

バンド結成の経緯と音楽性


John Suzuki(Dr.)

Nobuyuki Shibata(Gt.)

Junichiro Marui(Ba.)

Yuya Takenaka(Kb)

── バンド結成の経緯は?

John鈴木(以下:鈴木)「そもそもは私とまるいと柴田の三人で京都のRAGに出演したのがスタートです。」

柴田「ライブに空きがあるので出てくれと。」

まるい「その時にRAGの店長の秋葉さんからインスト系というオーダーがありまして。」

鈴木「最初はカバーでファンク系の“Super Bad”や“so what”とか演奏していました。」

まるい「イケイケなフュージョンっぽい音楽もしていました。それが4~5年前ぐらいですね。」

鈴木「そこからしばらくしてカクテルドラム(※注1)を私が買いまして。 1970年代にパブなどの小スペースで演奏できるものとして流行して、その後廃れてしまったのですが笑、グレッチ(ドラムメーカー)によるブルックリンシリーズのラインナップの1つとしてカクテルドラムのセットを作りまして、4台だけ日本に入ってきたんですよ(今はもっとありますが)。 それを買ったからには使わないと!と思いまして。笑」

まるい「私も普段はエレベの演奏が多いのですが、アップライトベースを持っているのにあまり弾く機会がなかったので、このバンドで使ってみようと。 だからまだ恥ずかしい感じです。恐るべき怖い存在です、アップライトは。笑」

── 最初からこの4人での活動だったのでしょうか?

柴田「(鈴木、まるい、柴田の)3人で色々カバーしていったのですが、やっぱりちょっとオルガンとかキーボードの音が欲しいなぁってことで竹中君に声をかけました。」

鈴木「オリジナルをやろうという段階になって70年代のイタリア、ヨーロッパ映画のサントラ的なサウンドを再現したいなぁと思ったんです。」

── ヨーロッパの70年代映画音楽ですか!?

柴田「60~70年代の映画って、今と違ってやっぱり打ち込みも少なかったし。」

鈴木「僕らはフュージョンやロック、ポップスなど聴いて育っているのですが、当時の映画音楽って、“クロスオーバー”というか。なんでそこでシンセ、え、ココからいきなり4ビート!?さらにストリングスが入るの!?ていうのが面白くて。」 「それを具現化するにはギターだけでは難しいということでキーボードに参加してもらったんです。」

竹中「僕だけ30代です。ジャスト30です。正直80年代の音楽はあまりよくわからないのですが、60~70年代の音楽が国内外問わずとても好きなんです。お声がけいただいた時にとてもやってみたいと思いました。今も勉強させていただきながら演奏しています。」

柴田「竹中君以外が40代です。彼(竹中さん)は僕らの世代と違う新鮮な目線なので我々の気持ちも若返ります。笑」

── 特に影響を受けた音楽ジャンルはありますか?

鈴木「この年になって音楽をやっていると好きなジャンルが無くなってくるんですよね。」

柴田「今、このバンドでは自分の中にあるテーマやノスタルジーとか、そういう音を出していきたい、という感じですね。聴いてきた物の集約というか。」 「彼(john鈴木さん)がドラムに限らず、マーティン・デニー(※注)が好きという幅広い音楽性が反映されているんじゃないんですかね。」

鈴木「ジャズというよりも僕らのイメージでは“クロスオーバー”なんですよね。」 「70年代の映画音楽って音を聴いただけで物凄くイメージができる音楽、映画のワンシーンが見えてくる音楽というのが逆に今考えるとすごいなぁって。」

竹中「今のサウンドと違って、例えばフルートを使って“怪しさを出す”といった昔の映画音楽のサウンドイメージがメンバー間の中で共有できていると思います。」

鈴木「だから曲作る時がとっても面白くって。最初に映画のワンシーンの事を言い出して、例えばこれはマフィア映画の事件のシーンとか(笑)。作曲はギターの柴田君がメインでやってくれています。」

柴田「歌があるバンドとかも経験ありますが、音楽のみに集中できるのが楽しいですね。作曲の面白さも特に感じます。」

── まさに皆さんの聴いてこられた音楽の集約という感じですね。

鈴木「ほんまに“クロスオーバー”笑」

柴田「この年になって、割とそれがしやすくなったというか。若い時はジャンルにこだわっていた部分もありましたが。」

鈴木「関西でずっと僕らの年代まで音楽やっていくと全てのジャンルを通らないと仕事ができないんですよ。 もちろんレッスンの仕事もありますので、その生徒さんからの情報も入ってきて。 そうなるとオールジャンルをフォローするようになるんですよね。 それこそまさに“クロスオーバー”(笑)。だから、みんな同じ道を通ってきているので、共通言語みたいになって話が通じるんですよね。」

── バンドの活動がまとまりだしたのはどういうキッカケですか?

鈴木「最初は怪しげな“~風”みたいなカバー動画をUPしていたのですが笑、 オリジナルを作ろうという事になって、みんなでモチーフを持ち合って、全部8小節のワンサイクルみたいな曲、ワンフレーズのみや30秒ほどの曲などをたくさん作ったんです。1曲まるまる作るってわけでなくて。 出来た時に、あ、これも絵になる、あれもなるとなって、これはバンドで面白くなりそうだと実感しだした時ですね。」

柴田「イメージを先に伝えるとみんな具現化してくれるので作りやすいです。」

竹中「ドラムのjohnさんの一貫したイメージに合わせていく、またスタジオ以外でもある年代の映像を見て作っていくとか。」

柴田「レトロな映像や日本のドキュメントなど古い物に対する竹中君の考えや見え方も刺激になりますね。」

竹中「サウンドの入れ方がとても新鮮に聴こえるんです。色気のある雰囲気をヴィヴラフォンで表現するような感じとか。その時代の映像とリンクしている音楽が面白いですね。 でもメインはjohnさんのイメージを合わしつつ、サウンド的にはまとまりが無くなってくるという…笑」

鈴木「でもなんやかんや、この編成でやっているとまとまるんですよね。」

竹中「サウンドを合わすというのももちろんしますが、イメージの共有にも時間を取って大事にしていますね。」

鈴木「こんな動画どう!?とLINEで送るのですが、けっこうみんなノーリアクションで(笑)。」

竹中「曲始める前もモチーフを作られたメンバーに、そのモチーフの場所と時間帯を聞きますね。例えば“南の島の夕方の感じ”とか。それを知ってから、サウンド作りを始めます。」

柴田「真面目にやっている半面、そういうのが楽しいよね」

鈴木「そんなことするバンド、今までなかったから(笑)。」

イメージに対するこだわり、ライブでの魅せ方

── 映画、イメージ等、本当に視覚を大事にされていますよね。

鈴木「だからアートワークもこだわりたいんですよね。」

── CDジャケットやフライヤーも格好良いですね。

鈴木「ありがとうございます。(ギターの)柴田君がデザインしているんですよ!」 「ジャケットがとにかく困って。デザイナーの人にお願いすると“デザイン”になってしまうんですよね。本当は“アート”にしたくて。イラストレーターさんにやってもらうのがいいんだなというのはアルバムを作ってみてとても感じました。

柴田「本当はもっともっとこだわりたいんです。 音楽は“オシャレであってほしい”ですね。」

鈴木「昔のアルバムジャケットてオシャレじゃないですか。集めたい!て思いましたもん。あとステージでも演じてないとあかんなぁって思います。」

まるい「まだまだ、できてないような気がするけど。笑」

竹中「僕の友人ミュージシャンがこのバンドのライブを見に来てくれた時に、見た目的にも面白いと感じてくれました。例えば横一列に並んで演奏したり、ドラムとベースが真ん中でギターとキーボードが端という形だったり。johnさんがいろいろ考えていて、そういう部分もこのバンドの強みなのかなって思います。」

鈴木「どうしてもインストって難解に感じてしまうと思うんですが、僕ら的には“ショー”でありたいですね。」

柴田「あと歌詞がない分、曲の世界観を伝えるためのMCは入れてます。」

まるい「ジャズでオリジナルをしているバンドは少ないと思いますが、スタンダードナンバーをずっとやるバンドならやってなかったかなと。オリジナルを作ってバンドの色を出していくっていうのが大事ですよね。」

今後の活動について

── バンドの引き出しが多いから、コラボレーションできる幅が広いですよね。

鈴木「バンド名に“jazz”という言葉がついていますがジャズ系のイベントでのお声がけはあまりなく笑、去年はなぜかムスリムインバウンド、イスラム系の大阪であったイベントに呼んでいただきました。笑」

柴田「イスラム音階が響き渡る中、僕らの音楽はまだまだ普通だなと思いました。笑」

── 今後の活動については?

鈴木「メンバーそれぞれの音楽活動があるので、スケジュールがなかなか組めなくて。 ライブの合間に動画をUPするなど地道に活動を続けていきます。今後してみたいのは朗読とのコラボ。3分くらいの短い朗読の後に僕らが演奏、ていうのをしてみたいですね。」

柴田「改めて考えると、まだまだ可能性がいっぱいあるバンドですね。笑」

インタビューを終えて
幅広い音楽からの影響をメンバーそれぞれが楽しみながら表現する彼らの音楽は まだまだ可能性が無限大。聴覚だけでなく視覚も刺激するこのバンドの次の一手が気になって仕方がない!!



※注釈
注1…カクテルドラム
1940年代頃から小編成でのバンドや小さなスペースでの演奏の増加によって開発された。 通常ドラムは座っての演奏だが、カクテルドラムでは立って演奏する。

注2…マーティン・デニー(1911〜2005)
アメリカのピアニスト。エキゾチカ(エキゾチックサウンド)の代表的アーティスト。YMOにも多大な影響を与えた事でも知られる。

information

[ RECCOMEND MOVIE ]

jazz virus 1stミニアルバム「retrospective」Trailer



[ Live Information ]

3月29日 大東市 LiveBar ZERO
19:00 open 20:00 start
大東市三箇4-17-17
TEL 070-1788-0666


5月2日 茨木市 JK茨木
18:00 open start: 未定
〒567-0829 大阪府茨木市双葉町2−25



[ RELEASE ]

レトロスペクティブ(retrospective)
ノスタルジーをテーマにした1stミニアルバム。よりリアルなアンサンブルを音源にしたいと、今作ではあえてクリック無しでほとんどの曲を1発録音でレコーディング。多少の修正はあるものの、タイミングのズレなどあえてそのままにして、メンバー同士、お互いの音に反応し合う様子が感じ取れる作品としました。

【収録曲】
 01:tricycle chase
 02:title back
 03:planet of the apes
 04:vertigo
 05:josai

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