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Jazz People

Focus on Challengers vol.1 佐藤絵美里 インタビュー
~テナーサックスがとにかく大好き!成長著しい期待の若手サックスプレーヤー~

今後のシーンを担う、また既に活躍中の30歳以下のジャズミュージシャンにスポットを当てたインタビュー企画「Focus on Challengers」!記念すべき第1回目はkobejazz.jpのお膝元である神戸市出身、テナーサックス奏者として着実に活躍の場を広げている佐藤絵美里さんをご紹介。テナーサックスとの出会い、学生時代の演奏活動、そしてプロになってからの事など色々お聞きしました。

Person

佐藤絵美里

1997年生まれ。六甲アイランド高校在学中にジャズ演奏に触れる。
高校卒業後、大阪音楽大学に進学。
サックスを河村英樹氏に師事し、大阪音楽大学短期大学部ジャズコースを優秀な成績で卒業。在学中より阪神間で演奏活動を開始。
2019年よりThe Global Jazz Orchestraに参加。
Mike Der Ferro(Pf)・Eric Marienthal(Sax)・Jiggs Whigham(Tb)・宮崎隆睦(Sax)等と共演。

Blog http://blog.livedoor.jp/emiri_ts_on/
Twitter https://twitter.com/sugar_jz

Interview

取材・文:小島良太(ジャズライター/ジャズフリーペーパー VOYAGE編集長)

最初はピアノから!?音楽経験のスタート

── サックスを始めたキッカケは?

サックスを始めたのは中学校の吹奏楽部からです。吹きたいと思ったのは、小学校2年生くらいから習っていたピアノ教室の2年上の先輩が中学校の吹奏楽部でサックスを吹いているのを見て格好良いなぁと思って。あと小学校高学年の時に映画「スウィングガールズ」を見て、影響を受けたのも大きいです。

── 最初の楽器経験はピアノだったのですね!

たまたま家にいただいた電子ピアノがあって、気に入って遊びで弾いているのを両親が見て、習ってみたらという事で。特に両親は楽器をやっていたというわけではないのですけど。でも、亡くなったおじいちゃんがフランク・シナトラの大ファンだったそうで、もしかしたらそのDNAがあったのかも(笑)。カラオケで「My Way」を歌っていたそうです。ピアノを習っていた時も自分が好きな音楽を弾かせてもらえて。ちょっとだけジャズの曲(Satin Dollなど)も弾いて、楽しいなぁと思いました。でも、ピアノって譜面を見る事が多くて、覚えるのがなかなか大変で。楽しかったけど、のめり込むまでには至らなかったですね。

── テナーサックスとの出会いは?

中学の吹奏楽部の入部時、マウスピースにリードをつけて、メトロノームに合わせて吹いて、誰が一番長く音が伸びるかでアルトサックスかテナーサックスか決まるという「儀式」のような決め方があって。たまたま音が伸びたので、テナーサックスになりました。もともと、本当はアルトサックスが良かったのですが。今思えばリードによって、吹き心地も違うし、それでいいの?と思います(笑)。
吹奏楽部ではポップスとか吹奏楽曲を練習していましたね。たまに「In The Mood」とかジャズの曲も演奏しましたが、その頃はジャズ云々というより、テナーサックスそのものがまず好きになりました。Youtubeでクラシックサックス奏者の田中靖人さんの「白鳥」の演奏動画を見て、「こんな音を出したいなぁー」と憧れましたね〜。中学校時代は情報源も少ないし、演奏会は遠方でしかも夜だし、もちろんお金もないし(笑)、Youtubeからの情報は貴重でしたね。

── Youtubeからの影響っていうのがまさに平成生まれだからこそですね(笑)。
通っていたピアノ教室の先生は今の活動をご存知ですか?

はい、知ってくれていて、たまにライブに聴きに来てくださいます。

── 素敵な関係が続いていますね〜。その教室に通っていなかったら、今の活動はもしかしたらなかったかもしれませんね。


六甲アイランド高校〜大阪音大での想い出

── その後、六甲アイランド高校に入学する事になりますが、高校時代の演奏活動について教えてください。

中学校の頃から、将来は音大に進んでサックスを学びたいなぁという気持ちが芽生えて、六甲アイランド高校には音楽コースがあるので、そこに進学を決めました。高校2年生の時に顧問の先生が変わって、それまではクラシック、吹奏楽曲中心だったのですが、高校3年生からジャズのビッグバンドにも取り組むようになって、最初は戸惑う事もありましたが、どんどんジャズの魅力に惹かれていきました。

── スチューデントジャズフェティバルには六甲アイランド高校の初出場の時に出演しましたよね?その時の想い出は?

高3の時に出演しました。私達の代だけ唯一何も賞を取れなくって。ステージでめちゃくちゃ緊張したのを覚えています。その時の他校にはサックスのうまい子が多くて、びっくりしました。高砂高校には大阪音大で共に学んだ池川風哉さんもいて。吹奏楽コンクールの練習が8月10日くらいまであって、コンクールの練習した後のお盆休み4日間くらいでスチューデントジャズフェスに向けて詰め込んで練習するので、なかなかうまくいかず…。あと吹奏楽コンクールと同じ神戸文化ホールでの開催なのに会場の雰囲気が全然違う所もびっくりしましたね。アクセサリーつけたり、Tシャツに書き込みを沢山していたり。みんな楽しそうにしていたのが新鮮でした。お祭りですね、ほんと。高校卒業後もスチューデントジャズフェティバルのリユニオンバンドやグローバルジャズオーケストラでのゲスト出演などで会場には毎年足を運んでいます。

── 貴重な経験となっていますね。そして大阪音大に進学!

高2の終わりくらいに大阪音大を進む事を考えた時に、音大のクラシックサックスに進学するにはアルトサックスでの試験が基本ということを知って、「テナーサックスを吹きたいのにどうしよう!」と悩んでいて、顧問の先生に相談したら「じゃあジャズやれば?」と助言してくださって。クラシックではテナーサックスのための曲は少ないのですが、確かにジャズならテナーサックスは花形でずっと吹けるやん!と。その頃から後に大阪音大で師事するテナーサックスプレイヤーの河村英樹さんのレッスンを受け始めました。顧問の先生が紹介してくださいました。

── 大阪音大でのレッスンではどういう事をやっていたのですか?

決められたプログラム、というよりも自分がレッスンまでに何をしてきたかを河村先生に伝えて、その曲の練習や音源に合わせての演奏、アドリブの演奏などしてアドバイスをいただいていました。とてものびのびと学ぶ事ができましたね。「学科についてはジャズだけでなくクラシックの実技も履修しました。バロック時代の無伴奏曲の演奏練習も楽しかったですね〜。ジャズを実際に取り組んでからクラシックの曲を演奏すると、こういう仕組みになっているのかぁと新たな発見もありました。

── そういえばジャズサックスプレイヤーで最初に憧れたレジェンドは?

スタン・ゲッツですね。「Stan Getz Plays」というアルバムに収録の「Lover Come Back to Me」をたまたまどこかで聴いて、これは格好良い!と思いました。デクスター・ゴードンとかは後々に好きになるけど、最初クラシックサックスからの影響も大きかったので、流麗な音で吹くゲッツは入りやすかったというのもあるかもしれませんね。


プロとしての活動、将来のビジョン

── プロになろうと思ったのはいつ頃ですか?

音大に進む時点でほぼ決めていました。高2で音大に進む事を決めた時点だったかも。音大で演奏していくたびにもっともっと演奏したいという気持ちが大きくなって。あと会社に就職して働いている自分の姿が想像出来なくて(笑)。両親に当初はミュージシャンの道よりも、就職を勧められましたが、今は演奏活動を応援してくれています。

── 大阪音大を卒業して2年経ちましたが、現在のプロ活動の事を教えてください。また今の活動は自分の想像していたイメージ通りでしょうか?

想像以上の活動ができていると思います。とても楽しく充実しています。音大2年生からライブ活動していますが、その頃は月に1回自分で企画してライブできたらいいかなと思っていたけど、その頃からそれよりも多く演奏機会をいただいて。プロ1年目は自分の演奏について悩む事も多く、振り返ってみるとボロボロの一年でしたが、2年目の今年、大阪のロイヤルホースなど憧れ、いつか出演したいと思っていた様々なライブハウスに出演できるようになるとは思ってもいませんでした。ライブハウスのホームページのスケジュールやジャズフリーペーパーの「WAY OUT WEST」の月間スケジュールに名前が初めて載った時は嬉しかったです。
自分の実力以上のオファーがあって、私でいいのかなと思う事がありますし、プレッシャーを感じる事もまだまだ多いです。でも共演者の方のアドバイスなどいただきながら改善、成長していきたいです。

── 今後挑戦したい事や夢を教えてください。

自分がリーダーのコードレストリオ(ベース梅本慈丹さん、ドラムス坪田英徳さん)を今年始めたのですが、来年はさらにその活動に力を入れたいですね。あと、このコードレストリオにもう一人管楽器を加えての演奏や、ジャズに限らない形でサックス4本+ボーカルやドラムを加えたアンサンブルも挑戦してみたいです。最近自分のやってみたい事が少しずつ見えてきた感じがします。

── 徐々にプロとしての自覚、意識が芽生えてきていますね。アルバムなどの音源制作は考えていますか?

どんな形、編成になるかはともかく、20代のうちに何か形に残しておきたいなと思っています!

── リリースされた時はぜひ応援致します!

力強さに加えて、表現力も日に日に増している佐藤さん。今後はリーダーとしてのライブ活動も活発になりそうです。全国のジャズファンの皆様、どうぞお見知り置きを!

Live Information

佐藤絵美里 Live Informationはこちら
http://blog.livedoor.jp/emiri_ts_on