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ジャズピープル

ジャズの街神戸で大人のジャズを。

 8月3日に「神戸・真夏の夜のJAZZ The TRIO 神戸公演」が開催されます。メンバーは、"ジャズ・ベースの王者"ロン・カーター、"リズムの申し子"ルイス・ナッシュ、そして、日本を代表する名ギタリスト 山口 武。現代モダンジャズのレジェンドです。このビッグネームを神戸に招致したのは、ジャズを愛し、神戸を愛する一般の方々。公演を前に、会場の神戸ラピスホールに併設する「ラズリカフェ」にて、リーダーの山口武さん、主催の「神戸アート&ミュージックの会」代表の中島三併さんにお話をうかがいました。

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山口 武(やまぐち たけし)

1953年生まれ。京都市出身。15才で初めてギターを手にする。大野エリ、米田正義らのバンドを経て、1988年ニューヨークに移住。1990年「トニー•シロモンNYインターナショナル」に参加。ランディー•ブレッカーらと共演しCDにも参加。自己のカルテットによるブルー•ノート出演をはたした。代表作に「エフワン」「エンジェル•アイズ」など。

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中島 三併(なかじま さんぺい)

1944年生まれ。大阪市出身。兄・姉の影響で小学生の頃からジャズに親しむ。1970年にニューヨークに赴任、ジャズ鑑賞の日々を過ごす。2017年、The TRIO神戸公演開催のために「神戸アート&ミュージックの会」を立ち上げた。

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── ロン・カーターとのそもそもの出会いは?

山口「1983年にCD作成のために、僕がニューヨークに録音に行ったんです。その時のベースがロン・カーター、ドラムがアル・フォスターでした。ご存知の通り、2人ともマイルスと一緒にやっていたメンバーです。それがロンさんとの出会いですね。ピアノがリニー・ロスネスで、キングレコードからCDが出まして。その4人で日本でライヴをしたいなと、でも3人も日本に呼ぶのは予算やスケジュールが難しい。それで、95年にロンさんとのデュオで日本ツアーを行いました。」

── それから24年ですね。

山口「ちょうどそのツアーの直後に、メンズファッション『エフワン』の広告の話が舞い込んできまして。ロンさんと2人でエフワンのスーツ着て、テレビコマーシャルに出演しました。テーマ曲も僕が作って。当時の社長さんがジャズの大ファンやったんです。5年間出演させてもらって、そこでロンさんとすごく仲良くなりましたね。」

── ルイス・ナッシュとの出会いは?

山口「その後、キングレコードでドラムとピアノを入れたカルテットで曲を作ろうということで、ルイス・ナッシュを加えたメンバーでニューヨークで録音しました。当時のロンさんのカルテットでルイスのドラムを聴いていたので、一緒にやりたいと思っていました。それが、今のThe TRIOの始まりですね。1999年から3人で日本ツアーを行ってます。」

── お互いに年を重ねてきたわけですね。

山口「ロンさんは今年81歳ですが、とても元気です。演奏だけでなく、普段の身のこなしも81歳とは思えない。ニューヨークの自宅では規則正しい生活で、すごく健康に気をつけているそうです。食事もなんでも食べますよ。パスタ以外の麺類は食べないですが。そばとかラーメンとか「すする」食べ物が苦手なのかな。お寿司とか懐石料理とか日本食も大好きで、箸の使い方もとても上手できれいです。逆に、ルイスはベジタリアンで、肉はいっさい食べないですね。」

── 同じメンバーで長く続いている理由はなんでしょう?

山口「デュオの4年目くらいかな、もうネタも尽きたし、どうしよっかなあ、って思っていた時に、ロンさんから「今年もやるんやろ」と当然のように言われて。それで続いた感じですね。その後、ルイスが加わってトリオになってから、すっかり恒例になっているので、辞める理由がないというか… 実はマネージャー的業務も全部僕がしてるんです。今年は6カ所でライヴをしますが、各地の主催者が全部違うのでその打ち合せや、アテンドとかホテルの手配とか。ホテルもね、30平米以上の部屋が希望とか、いろいろあるんですよ(笑)。もちろん、ギャラの契約や支払いもきちんとしていますよ。それも続いている理由ですね。」

── 神戸でのライヴは昨年が初めてだそうですが?

中島「私は、エフワンのCMの頃からの友人であり、ファンです。大阪によく聴きに行っていました。昨年、年初めに一緒に飲んでいる時に、今年もトリオのライヴやりますという話になりまして「もう20何年も日本ツアーやってるけど、神戸では一回も演奏したことがない」と言うので、じゃあぜひ神戸でやろう!と。」

山口「ほんまですか?! って感じでした。」

中島「で、そこから準備を始めたんですが、イベント開催に関して素人なのでスポンサー集めに苦労しました。実は「神戸アート&ミュージックの会」は私個人の会なんです。メンバーは家内だけで(笑)。そこそこ大きい企業さんは、担当者は「素晴らしいイベントですね」と言ってくれますが、我々は法人ではないので社内承認が降りなくて全然ダメでした。けっきょく知り合いに広く声をかけて協賛を募りました。中小企業のオーナーさんや、個人店主、弁護士さん、会計士さんなど個人事業主の方、音楽グループの皆さんたちが協力してくれました。一般市民の手作りですね。」

── その初めてのライヴはいかがでしたか?

中島「本当に素晴らしかったです。私自身も、始まるまでは段取りや、挨拶や、お客さんの入りやら、あれこれ気にしていましたが、途中からはノリノリで堪能しました。迫力があって素晴らしい演奏でした。やっばり、ジャズは“ライヴ”が一番ですね。」

── お客様も大満足ですね。

中島「遠方から泊りがけで聴きにいらっしゃった方もいます。長年のファンの方も、初めて生でジャズを聴いたという方も、皆さん感激してくれました。演奏後のサイン会、撮影会の時間も設けて、出演者と交流できたのも喜んでいただけました。今年も「待ってました!」と言ってもらえて、うれしいですね。」

── 山口さんにとって、このトリオでの演奏はどのようなものでしょうか?

山口「唯一、緊張しますね。何年やっても緊張します。セットリストはリーダーの僕が全部決めまてます。僕たちが楽しく演奏できて、カッコよく聞こえる曲をいろいろ考えて選んでます。初日に2人に「はいっ」て渡して、1〜2時間くらいでリハして仕上げます。今年の分もだいたい決めましたよ。有名な曲でいえば「キャラバン」「ラウンドミッドナイト」とか… あまり知られていないスタンダート曲、それに、僕のオリジナル何曲か。同じ曲目ですが、会場によってそれぞれ違う演奏になりますね。ロンさんにわりと主導権があって仕掛けてくるんですよ。それに対するルイスの反応がまた早くて。お互いちらっと顔見て、目と目を見て演奏してますから。」

── まさに、大人のジャズですね。

「僕自身はいろんなメンバーといろんなジャンルのジャズをやっていますが、このグループは、本当に“大人のジャズ”ですね。The TRIOならではの演奏を、一人でも多くの人に楽しんでほしいと思ってます。」

── 8月3日、楽しみにしています!ありがとうございました。

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[ Live Information ]

「神戸・真夏の夜のジャズ」The TRIO 神戸公演
“ジャズ・ベースの王者” ロン・カーター、“リズムの申し子” ルイス・ナッシュ、日本を代表する名ギタリスト 山口 武3人の超一流プレイヤーが織りなすライヴは、毎年、全国のジャズファンが心待ちにしている珠玉のステージです。

公演日:2018年8月3日(金)
開演:18:00開場、19:00開演
会場:神戸ラピスホール(神戸市中央区楠町7-3-2)
料金:8,000円(ワンジリンク付・消費税込)
出演:ロン・カーター(B)、ルイス・ナッシュ(D)、山口武(G)
主催:神戸アート&ミュージックの会
後援:Kiss FM KOBE、K!SPO(ケースポ)
問合せ:MAIL:aandm@kobe.zaq.jp
WEB:https://kobeartandmusic.jimdo.com/