FUJIOKA TAKAO / AD That Kansai Jazz Field is Young
関西ジャズ界の若きAD(アートディレクター)
ときにはイラストレーター、ときにはときにはCDジャケットやパンフレットを手掛けるデザイナー、ときにはHP「ジャズやねん関西」の運営者、ときには若手ジャズプレイヤーのライブを企画するイベンターと、多岐にわたって活躍するアートディレクターの藤岡宇央(ふじおか たかお)さん。多面体な活動を結ぶ核は、ずばり「ジャズ」。シンプルな線と色でスタイリッシュに描かれたイラストをはじめ、彼の活動を一言で集約すると「一目で分かる」ということ。オリジナルでありながら、一目でジャズの魅力を伝えることのできる藤岡さんのディレクションは関西ジャズシーンにとどまらず海外でも高い評価を受けています。
person
JAZGRA代表 藤岡宇央さん
1978年大阪出身。大阪総合デザイン専門学校を首席で卒業後、デザイン事務所に在籍。タイ3ヶ月のスケッチ放浪、台湾1年間のデザイン勤務などアジアを中心に海外へ。2002年にジャズと出会うも、情報不足を感じ2004年にWEBサイト「ジャズやねん関西」(当時は「ジャズやねん大阪」)を開設。2006年にジャズ専門のグラフィックデザイン事務所「JAZGRA」を設立。以後、イラスト、デザイン、WEB、イベントなど多方面で活躍。
JAZGRA WebSite ジャズやねん関西 WebSite
interview
「僕が欲しかったから作りました」ジャズやねん関西ができるまで。
初心者からライブ派ジャズファンの心を満たしてくれるポータルサイトとして「ジャズやねん関西」は2004年にスタート。現在では関西一円のジャズスポット70ヵ所、関西で活躍するジャズミュージシャン112人を網羅し、25万以上アクセスを誇る人気サイトに。
「ジャズを聴きだしてしばらくすると『ライブに行ってみたい』と思うのは自然なこと。僕も、ジャズにはまりだしてからジャズライブというものを体験してみたくて、自分でも少しずつ店に足を運ぶようになりました。そうすると、『関西のどこで、どんなジャズが聴けるのかという情報がまとめてあると便利だな』ということを思うようになって。自分のために、ライブ情報やジャズスポットをまとめ始めたのが、現在の『ジャズやねん関西』の基盤になっています。最初は『ジャズやねん大阪』としてオープンしたのですが、反響が大きくなるにつれて、サイトの需要を実感しました。翌年には『ジャズやねん関西』という名前に変えて、範囲を大阪から京阪神にと拡大しました」
自分のために立ち上げたというジャズのポータルサイト。
「50年代のジャズシーンを再現」ジャズ専門デザインJAZGRA設立。
もともとグラフィックデザイナーを生業としていた藤岡さんが昨年立ち上げたのは、ジャズ専門のグラフィックデザイン事務所JAZGRA。タイポグラフィーやフライヤー、CDジャケット、イラストまでジャズらしさが光るスタイリッシュなデザインで注目を集めています。
「現在のジャズシーンに目を向けるようになって気になったのが、職業柄ですが印刷物のチープさでした。ブルーノートレコードのジャケットや、デヴィッド・ストーン・マーチンのイラスト、ウイリアム・クラクストンの写真など50~60年代のアメリカでは、ジャズとアートが強く結びついていました。
その頃の雰囲気を取り戻すために、ジャズに関わる印刷物を積極的に制作するデザイン事務所を設立しました。ニューヨークで描いた絵が、向こうのジャズ関係者に認められて、今年からはイラストレーターとしても本格的に活動しています。」
「若い人にもっとジャズを!」ジャズ実験室「JAZZ LAB.」開催。
「ジャズ=敷居が高い」という印象を持っている人はまだまだ多い。大人の音楽、と言われるようにジャズイベントは確かに年齢層が高いのも事実です。そんなイメージを払拭するのが藤岡さんと若手ミュージシャンの方々で企画するジャズ実験室「JAZZ LAB.」。6月末にはオムニバスCDも発売される予定です。
「ジャズスポットに足を運ぶなかで、若手ミュージシャンとも交流を持つようになり、彼らと一緒に企画したイベントが『JAZZ LAB.』です。昨年は芦屋LEFT ALONEで、今年は元町JAMJAMで行いました。客層の約70%が20代と、ジャズではかなり異例のことだと思います。
若いミュージシャンのエネルギーと、満員のオーディエンスを見るたびに、『関西ジャズシーンの未来は明るいな』と実感します。」
「いろんなことをやっていますが、アートディレクターとして自分ができること、やりたいことでジャズシーンを盛り上げていきたいと考えています。視覚から入るジャズの入り口があっても楽しいと思います。」
ジャズ専門のデザイナーとして数々の作品を手掛ける。
個展の予定も多数なイラスト。ポストカードの販売も。
若手ジャズメンと共同企画のライブイベントも大好評。
特集「神戸ジャズ文化を彩る人々の魅力」 KOBE Jazz People