FUMI ABE / Student Player Enjoys Jazz
ジャズを楽しむ学生プレイヤー。
毎年、関西学生ジャズバンドが集結する春のジャズフェスティバル、大阪城JazzFestival。2日間のイベントで延べ約3000人の観客を動員するこのイベント、企画運営から出演まですべての作業を学生が行っています。今年の大阪城ジャズフェスティバルを運営する実行委員会委員長の阿部文美さんも現役の大学生。学業に励むかたわら、迫るフェスティバル当日のために準備を行う忙しい日々を過ごしています。「苦労もたくさんありますが、それよりも一人でも楽しみにしてくださってるお客さんのために今年も頑張ってイベントを成功させたい」という阿部さんに、ジャズフェスティバルの舞台裏やジャズの魅力をうかがいました。
person
大阪城ジャズフェスティバル実行委員会
委員長 阿部文美さん
1985年生まれ、関西の女子大学3年生。大阪城JazzFestival実行委員会には1年生の頃から在籍。高校からトロンボーンを始め、その頃からビッグバンドの一員として活動。現在は甲南大学ジャズ研究会のメンバーとともに「ストリートジャズオーケストラ」で活動するほか、さまざまなバンドにも参加しています。
大阪城JazzFestivalって?大阪城JazzFestival
毎年春に二日間、大阪城野外音楽堂で開催される、関西学生ジャズバンドによるジャズフェスティバル。1991年から始まり、今年で17回目を数えます。当初は企業が主催していましたが、第16回目からは出演大学の学生で構成された実行委員会が企画運営を含むすべての作業を行っています。
今年の第17回大阪城JazzFestivalは2007年4月21日(土)22日(日)に開催されます。ゲストにプロミュージシャンを迎えて、大阪大学、大手前大学、関西学院大学、甲南大学、神戸大学、京都大学、天理大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学、佛教大学の11バンドが出演します。
interview
「社会人ってすごいなと思いました」企業主催から学生主催のイベントへ。
一年生の頃から実行委員会に入っている阿部さん。その当時は企業が主催していたイベントだったため、当時は運営のお手伝いという感じだったのだとか。それが、その次の年から学生主催というカタチに変わり、阿部さんは広報を担当。イベント主催はもちろん初めての経験、大変なことが多かったそうです。
「それまでは企業の方が2人ですべての作業をされてたんですよ。でも次の年は学生が20人集まって、やっとイベント当日まで持っていけたって感じだったので、学生と社会人の違いというものを痛感しました。社会人ってすごいな!って(笑)。具体的には、たとえば協賛一つお願いするにしてもどこに話を持っていけばいいのか分からないし、どういうふうにお話しすればいいのかも分からないしで、もう分からないことばかりで。企業の方からいただいたそれまでの資料をもとに、手探りでしたがみんなで頑張りました」
「お客さんの笑顔が一番うれしいです」ジャズフェスティバルの楽しさ、魅力。
右も左も分からない状態ながらも、学生の手で成功させた昨年のジャズフェスティバル。苦労した点も多かったようですが、それよりも喜びが大きかったという阿部さん。ジャズフェスティバルの楽しさについて伺いました。
「私、本番が大好きなんです。楽しんでくれるお客さんの顔をステージから見ていると、今まで苦労してきたことが嘘みたいに思えてきて。見に来てくださった方に『ありがとう』と言っていただけたのが本当に嬉しかったです。確かに大変なこともたくさんありましたが、お客さんに楽しんでもらえるイベントが作れた喜びの方がずっと大きかったです」
観客から「元気をもらえた」「来年もまた来たい」という声を直接聞くことができるのは大きな楽しみ。実際のプレイにも力が入るし、なによりも次のイベント運営の活力に繋がると阿部さんは言います。ほかにも実行委員会ならではの楽しみがあります。
「入場料やチラシのデザイン、協賛、出演バンドのタイムスケジュールや順番など、すべて自分たちが考えて作り上げたもの。なにもない状態から考えて、一つのイベントを完成させていくという楽しみはほかでは味わえません」


「昨年よりも今年、今年よりも来年」今年の大阪城JazzFestival。
今年も4月に開催される大阪城JazzFestival。今回で実行委員会も引退の阿部さん、今年のイベント内容とともに意気込みを尋ねてみました。
「今年は参加大学も11バンドと増え、豪華なゲストもお呼びできてこれまで以上に盛り上がるんじゃないかな?と私たちも期待しています。今までも数多くのお客さんに来ていただきましたが、できればもっと多くの方に私たちの音楽を楽しんで欲しいし、ビッグバンドの魅力を知ってほしいと思います。『今年引退だから』ということではなくベストを尽くして今まで以上のものを作り上げたいと思ってます。昨年より今年、今年より来年というふうに、進化し続けるイベントにしていきたいですね」
「ストリートでビッグバンドをやってます」プレイヤーとしての阿部文美。
普段はトロンボーンプレイヤーとしても活動中。現在は特定バンドには属していないものの、さまざまなバンドに助っ人として参加しているそうです。なかには変わったカタチのビッグバンドもあるんだとか。
「譜面がないと吹けないっていうのもあるんですが(笑)、やっぱり大人数での迫力ある演奏はビッグバンドならではのものだと思います。最近は総勢18人の『ストリートジャズオーケストラ』に参加、京都の三条大橋などで演奏してます。このメンバーで東京にも行ったんですよ。
大学を卒業したら、社会人ビッグバンドに入りたいなあと思ってます。練習はあまり好きじゃないけど、これから先もずっと何らかのカタチでジャズやビッグバンドと関わっていきたいです」
特集「神戸ジャズ文化を彩る人々の魅力」 KOBE Jazz People