Denso Ten

Concert Report

Swing Jazz Cruise 2019
2019年9月21日(土)・22日(日) 神戸ハーバーランド

Report

学生がつくる、神戸を代表するジャズイベント

Written by Swing Jazz Cruise 2019 実行副委員長 青木寿太

「学生の手で神戸を、Jazzを、盛り上げる」をコンセプトに、神戸を中心とする関西一円のジャズ研究会やビッグバンドサークルに所属する学生によって運営されるSwing Jazz Cruise。毎年2回、春JCことSpring Jazz Cruiseと本祭ことSwing Jazz Cruise(以下SJC)が行われ、ハーバーランド一帯がジャズに包まれます。そして2019年9月21日(土)、22日(日)に今年で12年目となるSJCが開催されました。

21日(土)に行われた前日祭は何とか天気も持ちこたえ全ステージ開催されました。この日の目玉は何と言ってもクルーズ企画。元カウントベイシーオーケストラリードアルトのサックス奏者マーシャルマクドナルド氏が1年ぶりにSJCにカムバック、関西の学生のみで構成されたリズムセクションとセッションをしました。リズムセクションの方々は超大物プレイヤーを前にしても堂々の演奏。観客も赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで幅広く、45分間のファンタジー号クルーズとテナーサックスの甘い響きで素晴らしい時間を過ごしていました。演奏が終わると奏者で記念撮影、マーシャル氏は今回のライブを大変気に入られたようです。

海辺のショッピングモール“モザイク”前の『希望の広場』で聞こえてくるギターの音、「jbナムカルテット」の演奏です。ピアノを演奏しているのはSJCスタッフでもある小牧慎治さん。設営に運営に演奏に大忙しです。

同じモザイクにあり神戸港を一望できる『光の広場』では、神戸大学OBにより結成された「フレンズ」が演奏中。和気あいあいとした演奏に同窓会のような雰囲気を感じました。現在は社会人であるテナーサックスの武智正洋さんは「卒業してもこうやって集まってライブができるのは幸せですね。」と話してくださいました。

また、場所を移し大通りに面する野外ステージが盛況の“カルメニ”前では、コンボの演奏が行われていました。中でも注目したのは「Sophomore Jazz Quintet」。昨年も同名バンドに出演していただきましたが、そこから襲名した2回生だけで構成されたバンドです。今年はトランペットとテナーサックスの二管編成。様々な大学から集まったとは思えない息のあったプレイに観客も大盛り上がりでした。

翌日22日(日)。秋雨前線による風雨でスペースシアター以外のステージが中止に。SJC実行委員長の渡邊愛理嵯さんは「大変苦しい決断でしたが天候はどうしようもありません。ですが出演できなかった方々のためにできることを考えます。」と、委員長挨拶を早めに切り上げ急遽セッションを行うことに。『Oleo』には大学生に混じって神戸ユースジャズオーケストラの小学生トランぺッターも参加し、迫真の演奏に拍手喝采。「突然のことにも対応してくださりみなさんに感謝です」と渡邊さんも安堵していました。

18時40分、SJC2019の大トリは関西中の学バンから集められた選りすぐりのビッグバンドである関西セレクションとマーシャルマクドナルド氏の合同バンドです。実は前日祭が全ステージ終了した後スペースシアターではリハーサルが行われていましたが、マーシャル氏の指導にも熱が入り、さながら公開クリニックのようでした。そして迎えた最後のステージ。各階に立ち見が出るほどの超満員には驚きましたが、期待以上の圧巻の演奏にはさすがの一言。この特別なバンドでリードアルトを務めたKOBE MUSSOC JAZZ ORCHESTRAの大西佑佳さんは「大変光栄な機会をいただき本当に感謝です。マーシャルさんとの共演が決まったときから緊張しっぱなしでしたが、それ以上に楽しかったです。今回得られた多くの学びをこれからの演奏に活かしていきます。」と笑顔で語ってくれました。マーシャル氏も「クルーズもビッグバンドも前回以上に楽しむことができた。ビルボードやブルーノートと同じくらい素晴らしいステージで、また機会があれば出演したいよ。」と満足そうでした。

雨天中止というハプニングを乗り越えて大盛況のまま終えたSwing Jazz Cruise 2019でしたが、観客・プレイヤー全員の笑顔であふれていたことが印象的でした。来年に向けて年末ごろから動き始めるそうですが、どんなSJCになるのか楽しみです。

Comment

Swing Jazz Cruise 2019 実行委員長
渡邊愛理嵯さん

「雨天中止というハプニングもありましたが、みなさんに支えられ素晴らしいイベントになりました。来年は後輩たちがこれまで以上のSJCを作り上げてくれるので、今から楽しみにしていてください。」