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コンサートレポート

Jazztronik  SING・JAZZTRONIK
■2018年7月20日 芦屋・Left Alone

レポート

Jazztronik 20th' Aniversary
SING・JAZZTRONIK

 ピアニスト、作編曲家として国内外で活躍する野崎良太さんが率いる、なにものにもとらわれない自由なミュージックプロジェクト「Jazztronik」。今年から2019年にかけては20周年にあたるアニバーサリーイヤーとして、さまざまなライブイベントが企画されています。7月20日に芦屋Left Aloneで開催された「SING・JAZZTRONIK」もそのうちのひとつ。幅広い音楽性を持つJazztronikの楽曲の中でも歌モノに焦点を当てた今回のライブは、Jazztronikとしても初のことで、多くのファンがLeft Aloneに集まりました。

 一番前のテーブルの人は少し伸ばすだけでミュージシャンに手が届いてしまうという距離の近さはLeft Aloneの魅力のひとつでもあります。そして、しっかりとした料理やお酒を楽しみながら生音が楽しめることも人気の秘密。演奏前から食事を楽しんでいたお客さんたちも、ボーカルのElianaさんと為岡そのみさんのアカペラが始まるとその手がピタリと止みます。1曲目は「Sanctuary」、オリジナルは有坂美香さんが歌っている曲ですが、Jazztronikのビッグバンドアルバム「BB1」ではElianaさんが歌われています。一人でも十分に華やかなボーカルが今回はなんと二人とあって、迫力満点。R&B出身のソウルフルな為岡さんとミュージカルで活躍するElianaさんのダイナミックな歌声はまさにスーパーボーカル。野崎さんのピアノと栗原健さんのサックスが呼応し、中里たかしさんのパーカッションと木田浩卓さんのベースが支えます。インストゥルメンタルもさることながら、Jazztronikの歌モノはやっぱり華があって楽しい気持ちにさせてくれます。

 2曲を終えて、「デビューは1998年なんだけど、フルアルバムではなくコンピレーションアルバムへの参加だった。ファーストアルバムが出たのが1999年なので、どうせなら2年かけて記念の20周年ということにしようということで、いろんなライブをやっていきたいと思っています。これまでのアルバムの中には歌があったりなかったりするので、ボーカルだけにスポットが当たってるライブは今までやったことがなかった。この2年はいろんなライブをやりたいと思います」と野崎さん。3曲目は「Beauty-Flow」、3人目のボーカルと言うべき栗原さんのサックスソロが心地良く響きます。そして、人気曲「Tiger eyes」はお客さんの手拍子とともに。2018年のJazztronikだからこそのアレンジと音色、歌声、そして笑顔が溢れるミュージシャンの表情が楽しめるのもライブの醍醐味です。メンバー紹介をしながらのMCを挟んで、「Deja vu」、ピアノの旋律が美しい「七色」でファーストセットは終了。

 休憩を挟んだセカンドは「Sweet Rain」からスタート。ぴったり息の合った迫力ある二人の歌声に惚れ惚れします。続いて「Voyage」では、テナーサックスを左右に振る栗原さんに合わせて、両手を大きく振るお客さん。まるでスタンディングライブのような盛り上がりを見せます。MCでは「アルバムリリースライブなのにすでに原曲と違うことがよくあるJazztronikなので、原曲に近い演奏はレアです。記念ライブをやることで自分の曲を振り返ることができるのはいいですね」と野崎さん。そして3曲目はジャズバラード「Reminiscing」をElianaさんが表情豊かに歌い上げます。ライブもクライマックス、「Flash Light」ではまさかのコールアンドレスポンス。ラストはお客さんも全員立って踊れる「Love Tribe」。サックスを吹きながら会場の最奥まで歩く栗原さんやアグレッシブなボーカル二人の声に拍手喝采。

 「東京名古屋大阪で終わるライブや呼ばれたら行くという受け身の姿勢ではなく、もっと自分たちで出ていくライブシーンにしたい」と野崎さん。最後はこの季節にぴったりの「アオイアサガオ」。芦屋の夏の夜に熱く、心地よく響くライブでした。

  • Jazztronik-『Spotlight』MV Short Ver./Big Band Arrangement Album「BB1」

インタビュー

Jazztronik 野崎良太さん インタビュー
コンサート終演後にお話をうかがいました。
――ライブお疲れ様でした。すごく楽しかったです。昨日まではビッグバンドでライブされてたんですよね。

野崎「そう、ほんとガラッと変わって(笑)。昨日まではビッグバンドで4日間、さらに言うと2週間前はエストニアの島に行っていて。島の教会で箏とピアノで演奏してきました。エストニアって小さい国なんだけど、すごく文化的なことがさかんで友人もたくさんいて。こんなふうにほんといろいろ全然違う7月でしたね。」

――「SING・JAZZTRONIK」演ってみていかがでしたか?

野崎「ほんと楽しかったです。MCでも話しましたが、Left Aloneみたいなお店の良さってたくさんあるんですよ。ステージと客席ってどうしても一枚どころか何枚も壁ができちゃうんですよ。壁ができてるからいい音楽っていうのもあるし、壁がないほうがお客さんが入ってくるような音楽っていうのもあって、今日は本当にLeft Aloneでライブをやって良かったなとすごく思いました。」

――お客さんが譜面読めてしまう距離ですもんね(笑)。

野崎「僕はもうそういうの全然気にしないので(笑)。若い頃は結構嫌だったんですけどね。昔の大阪のブルーノートとか本当に近かったので、お客さんが結構覗いてくるんですよ。昔は嫌だったけど、最近はなんとも思わなくなりましたね。」

――歌モノライブ、すごく新鮮でした。

野崎「インストゥメンタルと歌モノ好きな人ってすごく分かれるんですよ。僕としては両方僕の曲なので、別にどっちを好きって言われても嬉しいんですけどね。でも『インストが好きです』って言われると『そっかそっか、歌モノはそうでもないんだ』とか『歌が好き』って言われると『インストは…』って思って不思議な気持ちになりますね(笑)。」

――20周年といっても感慨にふける時間もなさそうですね。

野崎「そうなんですよ。活動量が多くて1年じゃ20年を振り返られないので、2年かけてやろうかと。東京では既に過去のアルバム1枚1枚に焦点を当てたライブをやってるんです。でもどう計算しても来年いっぱいでも終わらないんですよね(笑)。だからちょっとどうしようかなと。」

――ライブ以外にも20周年の区切りで企画されていることはありますか?

野崎「準備が間に合えば、Musilogueでも言ってた音楽教育プログラムを始動させたいですよね。教えるプロと演奏するプロは違うと思うので一概には言えないけど、やっぱり現場主導でライブに来て、観て、この人に教わりたい!って思った人から教わることができて、一年なり二年なりやった後、学んだ子たちに対してちゃんと出口があるようなプロジェクトをやりたいんですよね。それはきっちりやりたいなと思うので、今準備中です。」br />
――野崎さんだからこその教育プログラム、すごく楽しみです。20週年を迎えてますますのご活躍を楽しみにしています。今日は素敵なライブ、ありがとうございました。

お知らせ

[ リリース情報 ]

Twenty Years / Taroma Koshida (CD album)
『南米音楽をこよなく愛するギタリストが奏でる心地よいチルアウトサウンド。アントニオ・カルロス・ジョビン、エグベルト・ジスモンチ等をカヴァーした珠玉の名曲集がついに誕生。Musilogueからリリースした『TSUBASA』もいまだ好調なギタリスト越田太郎丸による第2弾アルバム『Twenty Years』。今回はアコースティックギター1本でのソロの作品となります。越田自身全国各地でソロLiveを行なっていますが、そのソロLiveもとても好評を得ています。Liveの度に今回のLiveの演目が収録されたCDはないか?との問い合わせがとても多い事もありこの度音源化となりました。自他共に認める、越田が一番得意としているブラジル音楽からアントニオ・カルロス・ジョビン”イパネマの娘””ワンノートサンバ”をはじめ、エグベルト・ジスモンチ”インファンシア”等のカヴァーを中心に構成されています。中でも、ショーロギターの祖とも言われるGAROTOの名曲”Lamentos do Morro”のカヴァーは国内アーティストの録音物としてはほとんど残されていない事もありもとても貴重なものになります。そのほかに越田の書き下ろしオリジナル曲も2曲収録されています。歴史的名曲の魅力はもちろん、ギターという楽器の魅力も存分に表現されたアルバムです。
【Tracks】
1. Desafinado/Antonio Carlos Jobim
2. Playa del Este/Cacho Tirao
3. Onda Blanca /Taroma Koshida
4. Carinhoso/Pixinguinha
5. Samba de Uma Nota Só (One Note Samba)/Antonio Carlos Jobim
6. Infância /Egberto Gismonti
7. Twenty Years/Taroma Koshida
8. Conversa de Botequim/Noel Rosa
9. Lamentos do Morro /Garoto
10. Garota de Ipanema/Antonio Carlos Jobim
MUSILOGUE WEB SHOP  Apple Music  AWA


MUSILOGUE
Musilogue(ムジログ)とは、野崎良太(Jazztronik)が中心となりスタートした新しい音楽カルチャープロジェクトです。様々なジャンルで現在活躍する音楽家(ミュージシャン、作曲家、クリエイター等)が集まり音楽を研究・制作し、そして音楽を必要としている全ての方々に提供していくという目的のもと始まりました。2017年7月の時点で約60名の音楽家が参加しています。音楽というのはTV、映画、CMといった所ではもちろん、その他にも会社のPR動画やweb site、そしてゲームや結婚式などのイベント事など様々な場面で必要とされています。しかし、いざ自分がイメージしている音楽を作ってもらう際、そのイメージを伝える事がとても難しいという話を頻繁に耳にします。ならば音楽家達の手によりしっかりと作られた音楽をまずは聞いてもらい、その上で自分のイメージに近い音楽があればそれを使用してもらおう、というのがこのMusilogue(ムジログ)です。音楽家というのはそれぞれが卓越した技術を持っている職人です。その職人技術を活かしお互いに協力し合う事で出来上がる良質な音楽があります。その様な音楽を記録として残していく事、そしてこれからの時代を生きる音楽家達が新たなライフスタイルを確立していく事もMusilogue(ムジログ)の目的の一つです。現在はその最初の目的に加え2つのプロジェクトがMusilogueでは企画されています。1つは6月よりスタートしたMusilogueによるLiveプロジェクト(Musilogue Music Showcase)。そしてもう1つはMsuilogue参加音楽家たちによる音楽教育プロジェクトです。世の中には沢山の音楽学校が既に存在していますが、MusilogueではレコーディングやLiveなどの実際の現場を生かした音楽教育を提供していく予定です。2017年より少しずつですが動き始めました。みなさんMusilogueをよろしくお願いいたします。
MUSILOGUE

出演

Jazztronik
 Jazztronikとは野崎良太が率いる特定のメンバーを持たない自由なミュージック・プ ロジェクト。ジャンルに縛られない数々の作品のリリースし、アーティスト、ピアニスト、作編曲家として確固たる地位を築いている。 ’’箱根彫刻の森美術館40周年記念音楽’’に3rdピアノソロアルバム「bird of passage」 の収録曲が、映画「死刑台のエレベーター」の主題歌に「ベットタイムストーリー feat.YUKI」が抜擢された他、2011年1月に発売されたLEXUSのコンパクトハイブリ ットカー’’CT200h’’のナビゲーター’’世界でも活躍する新進気鋭の音楽家’’として WEB、雑誌広告等で大量露出される等、多方面からオファーが絶えない。映画「宮城野」、ドラマ「未来講師めぐる」、「Love Game」、「Real Clothes」、 「逃亡弁護士」、「鴨、京都へ行く」、「First Class」等の映画、ドラマ音楽も数多 く担当し、クラシック、Jazz、クラブミュージックだけにはとどまらない独自の音楽 性は増々進化し続けている。 サウンド・プロデューサー、リミキサー、ミュージシャンとしても数多のアーティス トとコラボレーションを重ねており、葉加瀬太郎、TRF、クリスタル・ケイ、ゴスペ ラーズ、山崎まさよし、椎名林檎、Coming Century、島谷ひとみ、flumpool等 ・・・例を挙げると枚挙に暇がない。海外では12″シングル「Dance with me 12″ver/SAMURAI」がDanny Krivit, Louie Vega 等の多くのトップDJに支持を受け、Chez musicより12inch Single「SAMURAI-侍」 がアメリカ及びヨーロッパ各地でリリースされスマッシュヒット。世界一のダンスミ ュージックレーベルDefectedの大ヒットMix CDシリーズ「In The House」を日本人ア ーティストとして初リリースし、全世界のダンスミュージックファンを魅了。ロンド ン、マンチェスター、NY、パリ、エジンバラ、ローマ、フィンランド、スロバキア、 エストニア、リトアニア、クロアチア、アイルランド、韓国、上海、シンガポール等 でライブ、DJ、Southport Weekender、Kaunas Jazz、Jazzakarr Fess等の海外人気 フェスにも招聘され大好評を得た。DJとしてロングランパーティー”Jazztronica!!”を全国各地で開催する他、音楽カルチャープロジェクトMusilogue(ムジログ)を立ち上げる等活動は多岐に渡る。2013年に自身のレーベル七五三Recordsを立ち上げこれまでに「Jazztronik Studio Live Best」、「Cinematic」をリリース。2016年はオリジナルフルアルバム「Keystone」、セルフRemixアルバム「Private Edits」、2017年はピアノ、ベース、バイオリン、チェロ、アコーディオン編成に新バンド野崎良太 with GOODPEOPLE名義でアルバム「GOODPEOPLE」を葉加瀬太郎氏のレーベルHATSよりリリースした。

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