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コンサートレポート

VOYAGE編集長Presents 「YOUNG BLOOD」!!
■2018年4月22日(日) 神戸三宮グッドマン

レポート

ジャズシーンの若き才能が勇躍!

 東京のシーンに負けず劣らず関西にも有望な若手ジャズミュージシャンが沢山存在します。それなのに、その才能と実力はまだまだ地元ですら浸透していないように感じていました。そこで僭越ながら筆者が注目する若手ミュージシャンに熟練のベテランミュージシャンとの競演をセッティング。

 若手ミュージシャンの才能と実力をより幅広い世代に広め、さらなる飛躍の機会にしてほしいという想いで「YOUNG BLOOD」というライブシリーズを立ち上げました。記念すべき第1回にフィーチャーしたのは、曽我部泰紀さん(テナーサックス)と小林沙桜里さん(ピアノ)。共に日々様々なステージで既に引っ張りダコ!

 しかし正式なグッドマン出演は初との事でライブ前のリハーサルから二人の緊張感がひしひしと伝わってきました。今回、お二人に叱咤激励くださるベテランミュージシャンとして、荒玉哲郎さん(ベース)と石川潤二さん(ドラムス)という円熟のリズムセクションにご依頼いたしました。当日までリハーサルもない状態、果たして本番はどうなるのだろうか…。企画した筆者でさえ、いざ当日になると心中穏やかではありませんでした。

 客席はおかげさまで満員御礼!グッドマンの常連客の方々はもちろん、この日初めて本格的なジャズライブに来たという方も!そうそう、このライブの狙いはそういったジャズに触れる機会の少ない人にも、聴きに行くキッカケにしたいという想いも強くあったのです。

 さていよいよライブスタート!
 想像していた通り、最初はやや固さがある演奏、二人が何か模索しているように感じました。しかし、それは最初だけで曽我部さんが熱気漲る演奏でバンドを引っ張っていくと、徐々にバンド全体にその熱が伝播していったかのように活気づいてきました。小林さんもそれに刺激されて、ピアノの瑞々しさが曲毎に増していきます。

 クリフォード・ジョーダンへのオマージュをたっぷり込めた“Lush Life”のチョイスはジャズファンには嬉しいポイント。こうやって、良いものは受け継がれていくんだなぁとしみじみ。ファーストセットは良い意味で緊張感が持続する演奏となり、あっという間に終了しました。

 セカンドセットはのっけからファーストの熱気を悠々と越える展開に。主催者たっての希望に快く応えてくれた、2曲目の“Voyage”では曽我部さんと石川さんのソロバトルで興奮も最高潮!小林さんも鮮やかなソロで華を添えてくれました。そして全体をしっかりまとめ上げる荒玉さんの絶対的安心感。それぞれの個性が交錯して、企画者としても理想的なサウンドが表現されたテイクだったと思います。

 アップテンポ、バラード、ミドルテンポと緩急ある曲調でダレずに一気に駆け抜けていき、名残惜しくもライブは終了。お客様からもお世辞ではなく、好評の声を多数いただき、とても嬉しい企画の船出となりました。

 豪快なブロウで来場くださった方々の度肝を抜いた曽我部さん。繊細な叙情性を端正なピアノタッチに織り込む小林さん。共にこれからのジャズシーンで更なる活躍をするに違いない!と改めて確信しました。是非注目のミュージシャンです!

 そして、来年もまた有望な若手ミュージシャンをフィーチャーして開催いたします!次回も乞うご期待!!

「YOUNG BLOOD」セットリスト
〈1st〉曲名の後の()内は作曲者
1.I Hear A Rhapsody(George Fragos etc…)
2.Lush Life(Billy Strayhorn)
3.Recoda me(Joe Henderson)
4.You Don't Know What Love is(Gene De Paul)
5.Lazy Bird(John Coltrane)

〈2nd〉
1.Someday My Prince Will Come(Frank Churcill)
2.Voyage(Kenny Barron)
3.Like Someone in Love(Jimmy Van Hausen)
4.Soul Eyes(Mal Waldron)
5.Bolivia(Ceder Walton)

〈アンコール〉
Smile(Charles Chaplin)

取材・文
小島良太(ジャズライター、ジャズフリーペーパーVOYAGE 編集長)
写真撮影:永山幸一郎