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コンサートレポート



第12回富士山の森ジャズフェスタ2017
■2017/7/1(土) 山梨ふじさんホール

レポート

富士山にこだます学生ビッグバンドのサウンド

 梅雨真っ只中で蒸し暑い日が続いていますが、7月1日に山梨県富士山ホールにてジャズフェスティバルが行われました。毎年恒例である東京都を代表する大学生ビッグバンドや関東圏でも有数の中高生ビッグバンドが集い、熱いジャズステージを繰り広げるイベント。今回は早稲田大学ハイソサエティオーケストラ(以下ハイソ)にスポットを当ててこのイベントの模様をお届けします。

 ハイソがお届けした1曲目は、Treachery。オープナーにふさわしい華やかさと軽快なリズムのメロディーが印象的な曲です。言わずと知れた名ドラマーEric Harlandが作曲し、Dave HollandがThe Montery Quartetで演奏したことでも有名ですが、今回はビッグバンドのアレンジでお届けしました。トランペットのハイトーンやサックセクションの華麗なソリが特徴的なこの曲ですが、中でもお客様を圧倒したのがトロンボーンソロ。ハイソのリードトロンボーンを務める竹下由記が繰り出す力強いサウンドと華麗なフレーズで多くの人を魅了しました。

 そして次の曲がハイソの最後の曲となります。最後にお届けした曲はDevelopment。こちらもEric Harlandが手掛けた曲。現在ニューヨークでジャズピアニスト、また作曲・編曲でもご活躍されてる宇関陽一さんのアレンジでお送りしました。冒頭のサックスソリのメロディーが曲中に何度も繰り返されるのが特徴的なこの曲。多くの人の耳にも残ったのではないでしょうか。普段あまり聞くことのない七拍子で進行していくこの曲の最後に素晴らしいソロを披露してくれたのは、ハイソが誇るドラマー金野遼太郎。ピアノのメロディーの裏で見事なソロを繰り広げてくれました。

 そして、今回はハイソのコンサートマスターでもある濱田曜祐さんにインタビューをしました。なぜ今回のようなセットリストにしたのかを尋ねたところ、「山野を意識したステージにしたかったからです。特に今回はソリストを重視しました。山野までに本番が少ないので、緊張感を持たせるためにもこのような曲を選びました。また、今回の審査員には実際に山野でも審査員をされる内堀さんもいらっしゃったので、率直な感想を頂き、山野に向けて調整していくという意味でも、山野を意識したセットリストにしました。」とのことでした。また、この2曲に関しては「名ドラマーが作曲したこの2曲を演奏することで、ハイソのドラマー金野遼太郎を活かすステージにしたかった。」とのことでした。

 昨年は惜しくも優勝を逃したハイソでしたが、今回の富士ジャズを経て、どのような音楽に仕上げてくるでしょうか。楽しみです。

Written by Yuto Kawata


お知らせ

[早稲田大学 High Society Orchestra]


About us
 ハイソサエティ・オーケストラは早稲田大学唯一のビッグバンド(大学公認サークル)として1955年に創立しました。ハイソの名で親しまれ、学生ビッグバンドジャズ界を代表する存在としてその名を広く知られています。その60年に渡る歴史の中で、プロミュージシャンや放送および音楽業界へ数多くの人材を輩出してきました。
 ハイソが取り組む楽曲はCount Basie,Glenn Miller,Duke Ellingtonといった古き良き名曲を重視しながらも、コンテンポラリーなものではMingus Big BandやVanguard Jazz Orchestra、Buddy Rich、UNT one o'clock lab band、西欧のJazz Orchestra of the ConcertgebouwやBohuslan Big Bandなど幅広く、レパートリーは60曲を超えます。またハイソ出身のミュージシャンによるオリジナル譜面も多数存在し様々な場面で好評を得ています。
​ 近年はフラメンコやアラブ諸国の音楽、ゴスペルなどジャズの枠を超えたジャンルを取り入れることに挑戦しており、2016年度山野ビッグバンドジャズコンテストでは大会史上初であるタップダンスとの共演を実現させました(Blue Rondo a la Turk/comp.Dave Brubeck/arr.Yoichi Uzeki)。伝統に根ざしながらも新しさを追究するスタイルは創立当時から今日まで変わらず、その独自の世界観が多くの音楽ファンを魅了しています。

Performance
・過去LP2作、CDアルバム5作を発表。(2014年最新作Sweet'n'Hotは現在発売中)
・1960年代からアメリカ、インド、中国への演奏旅行を数回に渡り実現させるなど、国内に留まらず精力的に活動。TVやラジオ,雑誌などのマスメディアにも多数登場。
・YBBJC全日本山野ビッグバンドジャズコンテスト最優秀賞10回(最多受賞)、2016年大会では第2位優秀賞を受賞。
・早稲田大学学生褒賞の中で最も名誉ある賞、小野梓記念賞の芸術賞を受賞(2012年、2014年)。
・2017年1月1日、ABC朝日放送「芸能人格付けチェック」にアマチュアのジャズバンド代表として出演(プロのジャズバンド=角田健一ビッグバンドと聞き比べのクイズを出題する企画)、全国放送される。
・2017年3月4日民放BS5局共同特別番組「ハレブタイ!ゆずとハタチでつくる"ありがとうコンサート"」にてフォークユニットゆずと共演(3月20日放送)。

近年主な出演は山野ビッグバンドジャズコンテスト(YBBJC 8月)、川越ジャズフェスティバル(9月)、3大学浅草ジャズフェスティバル(10月)、太田市大学ジャズフェスティバル(10月)、早稲田祭(11月)、定期リサイタル(3月)..その他企業パーティーや地域イベントなど。

​近年の主な共演者はDuke Ellingtonオーケストラ在籍Mr.Stafford Hunter(tb)、宇関陽一氏(pf)との共演ライブ("Yoichi Uzeki meets High Society Orchestra")を定期開催、昨年度はさらに吉田治氏(T.sax)をゲストに迎える。
2016年度9月より新宿Jazz Spot Jにてライブ「ハイソ+スペシャルゲストシリーズ」を開催、vol.1で池田篤氏(A.sax)と共演、vol.2で片岡雄三氏(Tb)と共演。国内では他に梶原まり子氏(vo)、寺井尚子氏(violin)、海外ではMr.Steve Wilson(As)、Mr.Eric Marienthal(As)、Mr.Randy Brecker(Tp)、Mr.Wayne Bergeron(Tp)、Mr.Gordon Goodwin(Big Phat Band leader)、Jazz Orchestra of the Concertgebouwなど。


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