第46回 山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト(以下YBBJC)が大宮ソニックシティで開催されました。
今年も全国から50校を超える大学が参加。シード20校を除き、残る15校の本選出場枠を目指す予選も年々激しさを増しています。その結果、学生バンド全体がレベルアップし、YBBJCをより意義あるステージへと引き上げていることは間違いありません。昨年惜しくも出場権を逃した関西学院大学 K.G. スウィング・チャリオティアーズは「パッと音がでたとき泣きそうになった」と前田憲男氏に言わしめ、いきなり13位という好成績。見事ベストランクアップ賞もゲットしました。また昨年不参加だった愛知学院大学 スインギング・オール・スターズも17位でシード権を獲得。予選当日、実は楽器盗難被害に遭い、他校が楽器を貸してくれたという友情ドラマもありました。このように厳しい予選を経たシード外の出場校が着々と力をつけ、いつどのバンドが上位へ転じても不思議ではない状況が、今後もますます続くと予想されます。
そんな中で迎えた本選のトピックスは、17年ぶりに最優秀賞に輝いた慶應義塾大学ライト・ミュージック・ソサエティ。過去にはマリア・シュナイダーの楽曲をはじめ、記憶に残る名演でコンテンポラリー路線を築き、今回は米国の若手サックス奏者に楽曲を依頼。オリジナル曲でとうとう頂点を極めました。そして今回過去最高位の第2位を手中に収め、学バンアワードも受賞した東京工業大学ロス・ガラチェロスの活躍も印象的です。弊社が2010年よりYBBJC協賛企業となって以来、常に会場を沸かせる熱い演奏、また何位であろうとも飛び上がって喜び、壇上をかけあがるその姿はYBBJCの風物詩でさえあります。そんな彼らが学バンアワード*に輝くのは誰もが納得のいく結果だったのでは。最優秀ソリスト賞、優秀ソリスト賞ともこの2つのバンドから選出されたことは今回の演奏のすばらしさを裏付けているといえるでしょう。
プログラムには、メインストリームの4ビートから、ラテン、コンテンポラリーまで、今年も多彩な楽曲が並びました。またベテランから若手まで、日本人音楽家によるオリジナル楽曲・編曲が、上位校を中心に数多く提供されていることも目に止まります。中には昨年の最優秀ソリスト受賞者によるアレンジ楽曲もありました。YBBJCが学生のみならず、日本のジャズ&ビッグバンド音楽界に大いに影響を及ぼしていることを実感せずにはいられません。そして今なお、多くの社会人アマチュアプレイヤーと音楽愛好家を輩出し続けていることも、7月に初開催された『社会人ヤマノ・ビッグ・バンド・フェスティバル』のレベルの高さから見て取れました。
「過去46回続けてこられたのは、協賛企業のご協力をはじめ、多くの方々がコンテストを支え続けてくださった結果。節目である4年後の50回記念を楽しみに続けていきたい」と山野政彦社長。また本年より審査員長に就任した内堀勝氏は「YBBJC開催当初はオリンピックのように『大きく・高く・速いテンポで』演奏できる技術を競っていたが、今やいかに自分たちの個性を生かし、観客の感動を呼ぶかという音楽性の高いコンテストになってきた。大会を支えているすべての人に感謝の意を表したい」と総括。全員の拍手で大会は幕を閉じました。
いよいよ音楽の本質に迫るコンテストへと成長するYBBJC。今後もますます目が離せません。
*学バンアワードとは
審査員による審査とは別に、予選を含む参加バンドが本選出場バンドの中から最も良かったと思うバンドに投票して、自分たちで選ぶ賞。昨年より設けられた。
大歓声のなか、ふんだんなリズムと美しい音色があふれるように会場を満たした。「期待に応える演奏。リズムセクションがすばらしい。各ホーンも効果的。音が詰まっているところにも隙間の空気が感じられる」と守屋純子氏絶賛。
今年も会場を圧倒。シックな楽曲も高評価。「最高です。言うことない!リズム隊のグルーブ感がすばらしく管のキレ味もバッチリ。一人ひとりがリズムを持っている」と本田雅人氏絶賛。
モダンで安定した演奏が会場を魅了。「いつもはイケイケだが今日は端正なバンドに。タイプの違う3曲ともに、自分たちの工夫の仕方がとてもよかった」と守屋純子氏。
アイデア満載の楽曲で勝負。「すばらしかった。よく理解して演奏している。いろいろな要素や場面展開を個人の技とアンサンブルの底力で表現しきった。」と守屋純子氏。
独自の音世界は今年も健在。「本当にすばらしい。コンボ的・ジャズ的な要素を拡大し、自分たちに合うアレンジにしている。リズムと和音のバランスもいい」と守屋純子氏。
クリエイティブな演奏が圧巻。「全部がすばらしい!びっくりした。こんなリズムのいいお医者さん見たことない(笑)。ツボにはまるリズムのポイントが気持ちいい」と本田雅人氏絶賛。
ステージに上がると場内大歓声。「すばらしかった。4曲ともしっかり演奏し、MCまで入れてすごい。ギター・ベース・ドラムのリズム完璧!テナーソロにもビックリ」と守屋純子氏。
高度で複雑なアンサンブルが会場に響く。「すばらしいアレンジ。プロが演奏したらどうなるのかを想像しながら聴いた。アルトのソロもよかった」と本田雅人氏。
今年も気合い・迫力とも充実。「だんだん盛り上がったときのドラムとラテン楽器のあおる感じがいい。興奮した。アンサンブルもよく、言うことがない」と前田憲男氏絶賛。
見事連続ランクイン。「ピッチもよく丁寧な演奏。どの曲も全部スピード感があってよかった。早回しを見ているようで楽しかった」と本田雅人氏。
「ビッグバンドの本物の音がする」と前田憲男氏。富士通テンより、「レコーディング権」が副賞として授与されました。
優秀賞とのW受賞に沸くメンバー。ソリスト賞も受賞し、今年は大活躍。
(出演順)
8月15日(土)
- 01. 名古屋芸術大学[ジャンパ・スウィング・オーケストラ]
- 02. 東京大学[ジャズ・ジャンク・ワークショップ]
- 03. 立命館大学[R.U. スウィンギン・ハード・ジャズ・アンサンブル]
- 04. 洗足学園音楽大学[ゲット・ジャズ・オーケストラ]
- 05. 天理大学[ALS ジャズ・オーケストラ]
- 06. 学習院大学[スカイ・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
- 07. 同志社大学[ザ・サード・ハード・オーケストラ]
- 08. 慶應義塾大学[K.M.P. ニュー・サウンド・オーケストラ]
- 09. 金沢大学[モダン・ジャズ・ソサエティ]
- 10. 上智大学[ニュー・スウィング・ジャズ・オーケストラ
- 11. 日本医科大学[ミッドナイト・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
- 12. 関西学院大学[K.G. スウィング・チャリオティアーズ]
- 13. 獨協大学[スウィンギン・キャッツ・ジャズ・オーケストラ]
- 14. 大阪大学[ザ・ニュー・ウェイヴ・ジャズ・オーケストラ]
- 15. 明治大学[ニュー・ウェーブ・ジャズ・オーケストラ]
- 16. 愛知大学[ブルー・スターズ・ジャズ・オーケストラ]
- 17. 埼玉大学[スウィング・キューブ・ジャズ・オーケストラ・ブルー・バンド]
- 18. 青山学院大学[ロイヤル・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
- 19. 日本大学[リズム・ソサエティ・オーケストラ]
- 20. 洗足学園音楽大学[しわしわーず]
- 21. 明治大学[ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ]
- [GUEST BAND]守屋純子オーケストラ
8月16日(日)
- 01. 甲南大学[ニューポート・スウィング・オーケストラ]
- 02. 愛知学院大学[スインギング・オール・スターズ]
- 03. 日本大学[ホワイト・リズム・エコーズ・オーケストラ]
- 04. 法政大学[ニュー・オレンヂ・スウィング・オーケストラ]
- 05. 昭和大学[メディカル・オール・スターズ・ジャズ・オーケストラ]
- 06. 中央大学[スウィング・クリスタル・オーケストラ]
- 07. 慶應義塾大学[ライト・ミュージック・ソサエティ]
- 08. 専修大学[グリーン・サウンズ・オーケストラ]
- 09. 京都大学[ダーク・ブルー・ニュー・サウンズ・オーケストラ]
- 10. 横浜国立大学[ベイサウンド・ジャズ・オーケストラ]
- 11. 東京工業大学[ロス・ガラチェロス]
- 12. 国際基督教大学[モダン・ミュージック・ソサエティ]
- 13. 東洋大学[グルービー・サウンズ・ジャズ・オーケストラ]
- 14. 早稲田大学[ハイ・ソサエティ・オーケストラ]
- [GUEST BAND]森 寿男とブルーコーツ
取材協力:BIGBAND!編集部