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ConcertReport・コンサートレポート

JAZZ MUSICIANS POPULARITY VOTE in YBBJC 2014

ジャズミュージシャン[楽器別]人気投票!! in YBBJC 2014/2014年8月16日(土)・17日(日) 大宮ソニックシティ 大ホール[さいたま市・大宮区]

「やっぱりあの人が1位だよねぇ」「え〜この人がぁ〜?!」
「まさか彼が選外なんて許せんっ!」と、さまざまな意見が聞こえてきそうです。
無難な順位とは言いがたいこの結果、みなさんはナットクですか?

レポート
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 昨年、山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストの会場コンコースで行った「YBBJC来場者投票!! ビッグバンドBEST10」は、大勢の方にご参加いただき、とても興味深い集計結果となりました。あらためてビッグバンドジャズの奥深い魅力を実感できたのではないでしょうか?

 そこで、今年はさらにジャズの深部に分け入り?みなさんがどんなジャズプレイヤーに影響され、魅惑的なこの音楽の虜になっていったのか、熱演で盛り上がるこの会場をお借りして、あらためてアンケートを実施してみました。

 投票は、ビッグバンドを編成する各パートにそって、制限なく好きなミュージシャンを記入するという厳正かつ大ざっぱな方法で実施。コンテストに出場した学生、応援が終わってヒマなお友だち、コワもて音楽通オジさん、こっそり見に来たお父さん、息子のバンドで久々にジャズを聴いたお母さんなど、500票を越えるたくさんの方にご協力いただきました。

 とはいえ、投票していただいた方の大多数はやはり大学生で学バンに所属している楽器プレイヤー。当然ビッグバンドでおなじみの面々が上位に登場しています。ジャズ専門誌などが行う人気投票ではまずありえない、ピアニスト部門1位がカウント・ベイシーという珍事は、ビッグバンドの伯爵にみんなが敬意を示したというところでしょうか。ドラムのバディ・リッチやアルトサックスのフィル・ウッズもそういう意味で納得ですね。ギターのフレディ・グリーンがあのパット・メセニーに次いで2位というのもビッグバンドファンならではの結果で興味深いところです。そしてトロンボーンのアル・グレイが1位、ご本人も天国で驚いているのではないでしょうか?こんなところにもカウント・ベイシー・ビッグバンドの大きな影響力が見て取れます。

 目を転じてトランペットに注目してみます。1位には若い人たちから絶大な支持を得ている実力者、ロイ・ハーグローブが名だたる巨人たちを尻目にランクインしました。ジャズが過去の音楽ではなく、「今」を生きるわれわれの心に響いてきている、という意味において喜ばしい結果だと思います。しかし2位にはなんとルイ・アームストロング、3位にメイナード・ファーガソン、4位にチェット・ベイカーと時代もキャラクターもなんとなくバラバラな印象。みなさんの好みも多様化しているのかもしれません。

 ここでトランペット部門にあの人の名前がないのにお気づきでしょうか? そう、ジャズ界の帝王マイルス・デイビスです。今までの人気投票だとトップの座はマイルスの指定席。今回も当然そうなるのかなと予想していたのですが、なんと驚くなかれ屈辱?の10位。もしかしてビッグバンドを演っている人はマイルスを聴かないの? う〜ん、そんなことはないと思うのですが。ビッグバンドにおいてもギル・エバンスとの偉大な業績を残しているし、なじみがないということはないと思うんだけど……。これは大きな驚きでした。

 ベース部門では比較的新しい人が上位を占めています。その昔、ベースといえばリズムを刻む縁の下の力持ち的な存在で、華やかなイメージがありませんでした。しかし70年代、ジャコ・パストリアスの登場は衝撃的で「目立ってもいいんだ!?」と、ベーシストの役割に変化をもたらしました。若ければビッグバンドの中にいてもやっぱりスポットライトに当たりたいですよね。そんな欲求が今回の投票にも現れているのかもしれません。

 投票結果を見渡してみて感じることは、傾向に偏りはあるにしても、スイングから現在に至るまで、人気プレイヤーが幅広い時代にわたって選ばれているということ。今、ジャズという音楽に接している若い人は、ビバップ、フリー、スイング、フュージョンなどというカテゴリーは関係なく、新鮮な新しい音楽として体感しているのではないでしょうか。

結果発表
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取材協力:BIGBAND!編集部

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