第28回ジャパンスチューデントジャズフェスティバルが、8月24日（金）・25日（土）・26（日）の3日間、神戸文化ホールで開催されました。出場校は年々増えて、今年は関西を中心に東京、名古屋、広島など、中学17校、高校27校の合計44団体のビッグバンドが参加。神戸の夏を彩るジャズイベントとしてスケールアップし、3日間とも大ホールにはたくさんのジャズファンが詰めかけました。

　1日目は中学生の部でトップバッターのプレッシャーを感じさせず、名曲「マシュ ケ ナダ」で会場の雰囲気を和ませてくれた海南中学の演奏でスタート。開校3年目で初出場の北陽中学をはじめ、名古屋からは小・中学生によるビッグバンド、Little Hills Jazz Orchestra、後半は実力校の甲南中学や本城中学が登場。各校がお揃いの衣裳やTシャツに身を包み、大会に賭ける思いを腕やTシャツに書き込んで、12分間のステージに臨みました。

　2日目からは高校生が登場。「楽しく感じてもらえる音楽」をモットーに地元兵庫の国際高校で始まり、関西ではおなじみの泉陽高校や伊丹高校は、ひときわ高い歓声を背に受けて、ステージを盛り上げました。ラストは実力派の高砂高校が締め、中学生とは違うフレッシュさの中にも、大人の雰囲気を感じさせるレベルの高いパフォーマンスを見せてくれました。

　3日目は石川県全域の学校から集まった小・中・高で編成された、石川ジュニア・ジャズ・アカデミーや、ラテンバンドとして活動する和歌山の粉河高校など、ジャズの枠を超えたユニークなビッグバンドが登場し、華やかなステージを演出します。そして、今年創部30周年を迎えた甲南高校がトリを務め、3日間にわたる中学・高校生たちのジャズの祭典は幕を降ろしました。
　演奏後のステージインタビューでは、「お盆休み返上で頑張りました!」「3年生は最後のステージでやりきりました!」など、熱いコメントが聞かれ、今日のために取り組んできた成果を発揮できた充実感と安堵の表情が印象的でした。

　注目のゲストライブには、1日目は滝川雅弘（クラリネット）&モダンタイムスビッグバンド、2日目はエリック宮城（トランペット）&グローバル・ジャズ・オーケストラ、3日目は中路英明（トロンボーン）&グローバル・ジャズ・オーケストラによる、これぞプロの、円熟味のある演奏を聴かせてくれました。

　表彰式では優秀各賞や、個人賞のナイスプレーヤー賞の名前が読み上げられるたびに、大きな歓声が上がり、会場が沸きました。そして、神戸市長賞は本城中学HONJO JAZZ ORCHESTRAと、高砂高校ビッグ・フレンドリー・ジャズ・オーケストラが受賞しました。
　また、「音に携わる企業として音を通して社会に貢献する」という理念のもと、中学・高校生たちが日頃の練習の成果を発表し、今後の音楽活動への意欲や理解を高めることを期待してベストサウンド賞（富士通テン賞）を設定し、中学の部は若葉中学ジャズアンサンブル部、高校の部は帝京高校SWINGING HONEY BEESが、それぞれ受賞しました。

「難解な楽曲にもトライし、選曲の中身を知ることによってすばらしい演奏につながります。回を重ねるごとにレベルが上がってきてうれしく思います」と、高校の部の指導講師を務めた宗清洋さんの講評です。
　単に参加校が増えて開催規模が大きくなっただけではなく、主催者の長年の努力と学生たちの情熱あふれる演奏で築いてきた28年の歴史が、ジャズの街、神戸にふさわしいイベントとして定着し、ジャズファンに愛され続けてきたことを強く感じました。