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ORIVER NELSON'S BIG BAND
このコラムも前任の方から数えると結構長くなっていまして、重複はあまりしないように心がけていますが、まだ触っていない大物は何人か残っていますね。そんなわけで今回はオリバー.ネルソンのを少し取り上げましょう。
Live From Los Angels
この人には”Blues and The Abstract Truth”という大有名盤を筆頭にスモールコンボにもいい作品が沢山あります。ア レンジャーとしても屈指の実力者だったのにビッグバンドのアルバムで 泣く子も黙るレコードが見当たらないように見えるのが損な感じがします。が、私としてはこのアルバムがあまり知られていないのが不思議で なりません。
が、私個人的にはこの人のビッグバンドの泣く子も黙るアルバムといえばこれにとどめを刺すと思うものがあります。
それがこの Live From Los Angelsです。録音は1967年、レーベルはインパルスだからコルトレーンの陰に隠れてしまったのでしょうか?メンバーもLAのベテランか ら若手まで白黒問わず揃えた強者軍団ですし、ライブということでソリ スト野放し状態で無条件で盛り上がれるアルバムなのです。アレンジそ のものが黒いので、出てくるサウンドも相当黒いです。

オープニングは彼のミディアムの名曲Miss Fine。のっけから豪快なサウンドでがっちり掴まれてしまいます。ラッパのソロはフレディ.ヒル。そして間髪入れずにアップテンポのMilestones。知名度は低いものの実力硬派なアルトのフランク.ストロージャーと当時 新人だったトム.スコットの長尺で熱いソロが繰り広げられます。手元 にある日本語のライナーによるとトム.スコットはこれで認められてインパルスに契約した、とあります。トム自体はどっちかというとフュージョンなイメージが強いですが、地はこんな感じなのですね。3曲目はストロージャーをフィーチャーした I Remember Bird。この人巧いなぁ。なんでアルバム少ないのか非常に疑問です。冒頭からここまで 徹頭徹尾激アツモードで音楽が展開しますが、ここからがネルソンの本領発揮、というかブルース3連発です。しかもギターにメル.ブラウン が加わるのだから強烈です。4曲目のNight Trainと5曲目の Guitar Bluesではブラウン全面出突っ張りです。だって彼が何にも考え なくていい曲だし、Guitar Bluesに至ってはエンディングのキューを全然見てないからギターのソロが最後こぼれてますもん (笑)。でもこれでいいのだ。だってライブだもん。これくらいやって もらって全然OK(笑)。そして更にDown By The Riversideでダメ押しです。あんだけ煽っておいてソロはラッパセクションのチェイスですもん。しかも豪快に鳴る人ばっかり。もう笑いが止まりません。普通ライブっていうのは緩急織り交ぜたプログラムっていうのが普通ですが、徹頭徹尾押しっ放しですもん。これで最後のJadaでしっとりクールダウンっていう形でアルバムは終わるのですが、 まるで「今日のところはこれくらいにしといたるわ」みたいな感じなのであります。つくづくこのアルバムがあんまり紹介されないのは勿体ないなぁ、と思っています。CDになった時にボーナストラック沢山 出ることを期待していましたが追加トラックがないのがまた残念。あるんだったら全部出して欲しいなぁ、という気分に強くさせられるアルバムです。

収録曲

1. Miss Fine

2. Milestones

3. I Remember Bird

4. Night Train

5. Guitar Blues

6. Down by the Riverside

7. Ja-Da

参加アーティスト

Oliver Nelson(arr, cond, as)

Buddy Childers, Bobby Bryant, Freddy Hill, Conte candoli(tp)

Billy Byers, Pete Myers, Lou Blackburn, Ernie Tuck(tb)

Gabe Baltazar, Tom Scottm Bill Perkins, Jack Nimitz, Frank Strozier

(woodwinds)

Mel Brown(g), Frank Strazzeri(p), Monty Budwig(b), Sherry Man(ds)

Skull Session
せっかくなのでもう一枚。 亡くなる直前のSkull Sessionを。 このレコードではキーボードにコズミック.ジャズファンクの大御所、 ロニー.リストン.スミスを加えて70年代的ソウルフュージョンなサ ウンドも聞かせるのです。オープニングの表題曲からいきなりあのコズミックなキーボードの音で来るので、一瞬リーダー誰よ?という感じに させられます。オスカー.ブレイシュア(カタカナではブラッシャーって書かれるけど違和感があります)のウディ.ショウ的なアドリブライ ンといい、実に70年代の王道な気分です。続くReuben's Ronde はオーソドックスなビッグバンドで前曲とかなり落差があります。ネルソンらしいいい譜面です。続く125th st and 7th aveみたいな作りの音楽にはクインシーがやったソウルとジャズの融合みたいなのとの 親和性を強く感じます。ロニーはファズのバッチリ利いたローズを弾き ます。ローズっていい楽器だなぁとつくづく思うのでありました。続く One for Dukeはエリントンへのトリビュートのミディアム4ビートでで すが、ここでもファズの効いたローズでグイグイ言ってくれます。最晩 年のエリントンだってローズ弾いてるんだからこれも当然オッケー。続くDumpty Mamaはロニーの曲でしょう。ジェローム.リチャード ソンのフルートのソロ、ゴキゲンです。リトナーがカッティングしてます。次のBaja Bossaは雰囲気がガラっと変わります。ロニー.リ ストン.スミスが抜けて、ローリンド.アルメイダが入っています。 Mike Woffordのローズがフィーチャーされます。
続くIn A Japanese Gardenも同じメンバーでの録音。この曲は2本のレコード会社のオファーで当時のステレオシステムのデモ用に複数のドラムを用いた曲だったそうなのですが、メロディが気に入ったのでリアレンジしたようです。シンプルで穏やかなトラックです。 最後のトラックは再びロニー.リストン.スミスとのセッションから。 やっぱりこういうエレピの音がすると時代を感じますね(嫌いじゃないよ)。案外70年代のソウルフュージョンってキャッチーですもんね。

オリバー.ネルソンはとにかく早死にが惜しまれる人でした。世代的にはクインシー.ジョーンズとほぼ同い年で、活躍するフィールドもクイ ンシーと共通していたからです。クインシーみたいな目立ち方はしなかったものの、ジャズだけでなくテレビなどの仕事も多かったので、もし長生きしていたらクインシーと肩を並べるアレンジャーとして燦然と 名前が輝いたのではないかと思えてなりません。クインシーの70年代のA&Mから出てた辺りの音と比較すると更に楽しめると思います。

収録曲

1. Skull Session

2. Reuben's Rondo

3. 125th St. and 7th Avenue

4. One for Duke

5. Dumpy Mama

6. Baja Bossa

7. In a Japanese Garden

8. Flight for Freedom

参加アーティスト

Oliver Nelson(as,arr)

Lonnie Liston Smith(key(1~5,8)), Mike Wofford(arp, piano), Chuck

Domanico(b), Dennis Budmir, Lee Ritnour(g(1,5,8)), Laurindo Almeida(g(6,7))

Sherry Man(ds), Willie Bobo(perc)

Billy Green, Bill Perkins, Jerome Richardson, Buddy Collette, Bud

Shank, John Kelson(woodwinds)

Bobby Bryant, Oscar Brashear, Paul Hubinon, Buddy Childers(tp)

Grover Mitchell, Richard Nash, Chauncey Welsch, Maurice Spears(tb)

 
著者Profile
 
 
 
辰巳哲也( たつみ てつや)
 
DAVE鈴木
 
   
神戸市生まれ。10歳から本格的に楽器を始め、大学入学後ジャズに傾倒。卒業後しばらく会社勤めをしてプロに転向。神戸在住時にAtomic Jazz Orchestra, 西山満氏のHeavy Stuffなどにも参加。98年Global Jazz OrchestraでMonterey jazz Festivalに出演。98年、秋吉台国際芸術村でのアーチスト.イン.レジデンスにAssociate Artistで参加、Dr. Fred Tillis氏の薫陶を受ける。2001,2003年にPersonnage Recordingよりアルバム発表。打込みを含むほとんど全てのトラック制作を行い、クラブジャズのフィールドでロンドンや北欧で反響を呼ぶ。2004年にジャズライフ誌にて「トランペット超初級者コース」連載。50年代ウエストコーストジャズを回顧するオクテット、Bay Area Jazz Ensembleを主宰し、それを母体としたビッグバンドも展開している。一方で2005.6年とThe Five Corners Quintetのトランペット、Jukka Eskolaとジョイントし、2008年にはTom Harrellと東京でセッションを行いラッパ関係者の間で大きな話題となった。Eddie HendersonやCarl Saundersを初め、多くの海外のミュージシャンとも親交が深い。Lincoln Center Jazz OrchestraのEducational Programでの通訳サポートなど、演奏のみならずジャズ教育のフィールドにも関与。『ジャズ』という記号のある音楽であればなんでもやるオールラウンダー。IAJE会員。
 
http://www.myspace.com/
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