CDレビュー
バックナンバー
楽譜の出版されてる曲が収録されているCDを愉しむ
ビッグバンドで演奏されているプレイヤーの多くは、自分たちが演奏する曲の参考演奏として、また、演奏する曲を捜すための素材としてビッグバンドのCDを活用しています。例えば、カウント・ベイシーのCDは、単に聞いて楽しむだけではなく、このような目的で演奏のベンチマークとして使われているのは紛れもない事実です。

カウント・ベイシーのCDのように、初めに音があり後から楽譜が出版される場合はよいのですが、参考演奏が無く楽譜だけが出版されると、その参考演奏を捜し出すのはかなり難しいのが現実です。楽譜出版社のデモCDがあればまだマシですが、これも部分的に収録されているだけですし、いつまでも入手できるものではありません。

今回ご紹介するのは、Hal Leonard社のような有名な出版社から多くの楽譜を出版しており、クオリティが高い楽譜ながらその参考演奏があまりなかった、Mark Taylorが自分自身でプロデュースしたCDです。
Live at Blues Alley
 作・編曲家のMark TaylorとドラマーのSteve Fidykの双頭Big Bandの、2005年11月に行われたWashington D.C.のBlues Alleyでのライブ盤です。2003年のスタジオ録音による第1作目「A Perfect Match」と3曲程ダブッていますが、逆に両方を聴き較べてみるのも面白いかもしれません。

Mark Taylorは名門ノース・テキサス大の出身で、Hal Leonard社から、たくさんのビッグバンド譜が出版されていて、名前を聞いた事がある方も多いことでしょう。このアルバムでも全10曲中の9曲を書いています。一方のSteve Fidykはアメリカ陸軍バンドの出身で、メリーランド州のいくつかの大学で教える傍ら、フリーのミュージシャンとして活躍しています。Woody Herman Orchestraとも共演した事があり、ビッグバンドのつぼを心得た素晴らしいドラマーです。他のメンバーでは、トロンボーンのMatt Neiss以外はほとんど無名ですが、実力者揃いで、なかなか聞き応えがあるバンドです。

収録曲では、第1作に含まれていた「Full Count」がアップ・テンポのブルースで、エキサイティングなテナー・バトルと歯切れの良いアンサンブルで1曲目にふさわしい佳曲。Herbie Hancockの「Maiden Voyage」では、Jim McFalls(tb)のソロが光る。バリトン・サックスをフィーチュアした「My One and Only Love」は、とても美しく素敵なアレンジです。

「When Johnny Comes Marching Home」がこのアルバムのハイライトです。アメリカ人に古くから親しまれている名曲を3拍子でモダンに仕上げており、Craig Fraedrich(tp), Joseph Henson(ts) が中身の濃いソロを展開します。この曲のみがドラマーのSteve Fidykのアレンジです。そしてそのSteve Fidykのブラッシュ・ワークをフィーチュアした「Brush Taps」が快調。Stevie Wonderの「My Cherie Amour」も3拍子でお洒落に料理されている。

ビッグバンド・アルバムとしても十分に楽しますが、収録曲のほとんどは楽譜が発売されているので、アマチュア・バンドの為の選曲、または楽譜のお手本として、とても役に立つアルバムであることも間違いありません。
収録曲
1. Blues Alley Intro
2. Full Count [Mark Taylor]※
3. Maiden Voyage [Herbie Hancock / arr. Mark Taylor]
4. Bradley's Bop House [Mark Taylor]※
5. My One And Only Love [Mellin / Wood / arr. Mark Taylor]※
6. When Johnny Comes Marching Home [Gillmore / arr. John Fidyk]
7. What’ll I Do [Irving Berlin / arr. Mark Taylor]※
8. Anthropology [Gillespie / Parker / arr. Mark Taylor]
9. Brush Taps [Bellson / Mark Taylor]
10. My Cherie Amour [Stevie Wonder / arr. Mark Taylor]※
11. The Gorillaman Blues [Mark Taylor]※
現時点では、※印の曲の楽譜が入手可能です
著者Profile
DAVE鈴木
1962年生まれ。まっとうな会社員だったが、ビッグバンドの世界にのめり込み楽譜やCDの個人輸入にはまり脱サラ、ミュージックストア・ジェイ・ピー設立。現在に至る。
どこで買えるの?
ここで、ご紹介したCDは、DAVE鈴木の運営するミュージックストア・ジェイ・ピーのホームページ http://www.musicstore.jp/
index.php?afid=kobe
で購入出来るほか、山野楽器銀座本店、ヤマハ銀座店CD売り場、タワーレコード全店、ジュージヤ梅田ハービスENT店などでご購入いただけます。
PAGE TOP