学生バンド、社会人バンドでビッグバンドを演っている皆さんも、ソロがなくても、つねに自分が演っているのは「ジャズ」だ、ということを意識してほしい。私自身は、ビッグバンドだからとりあえず聴く……みたいなビッグバンドファンではなく、逆に、編成が小さければ小さいほど顔がほころんでくる人間なので(今、いちばん好きなのは、サックスソロとかトロンボーンソロとか……管楽器のソロアルバムですね)、よほどのことがないかぎり、「いつも演ってることにメンバーを足して編成をでかくしました」的な演奏には関心がない。マンハッタン・ジャズ・クインテットがマンハッタン・ジャズ・オーケストラになり、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズがアート・ブレイキー&スペシャルビッグバンドになり、クリフォード・ジョーダン・クインテットがクリフォード・ジョーダン・オーケストラになったとして、それがどうだというのか。マイルスが晩年クインシーのビッグバンドでちょろっと吹いたとしてもさほど意味はない。そんななかでは、先日亡くなったジョー・ザビヌルの「ブラウン・ストリート」という二枚組は、ザビヌルがウェザーで演りたかったのはこういうことだったのか、とあらためて得心するような凄まじいビッグバンド作品で、めっちゃよかった。
紙数が尽きて、壮大なジャムセッションともいえるクラーク~ボーランとか、じつはものすごくいびつなビッグバンドであるトシコ~タバキンとか、リーダーみずから自分のビッグバンドを壊しにかかっているジャコ・パス・ビッグバンドとか、イギリスで気を吐いたマイク・ウエストブルックとか、最近話題のマリー・シュナイダーとか、東京ユニオンとかニュー・ハードとか……私の大好きなバンドに触れることができなかったが、まあそういうことです(どういうことやねん!)。
次回、最終回はいよいよ、私のテリトリーであるフリージャズのビッグバンドということでおつきあいを願います。では。