いわゆる港町・神戸というイメージとはちょいと違う、坂道の多い町並み。 ひょいとガレージを眺めると、お、なんだあの黒いクルマは? フツーのタクシーに混じって、明らかに違うシルエットの、かなりカサ高いクルマが鎮座している。高い屋根、威風堂々のフロントグリル、おお、こりゃ、いわゆるロンドンタクシーじゃあーりませんか。すると、これが?今回のお目当てのジャズタクシーなんですか! へええー、こりゃカッコイイなあ。なんででしょうねえ、ちょいと古めのメカものって妙にカッコイイですよねえ。質感が違うというか、とても丁寧に作られ、また使われているような気がします。現在、最先端のモノも、例えば100年後には同じように「昔のモノは良かったよなあ…」なーんてことになるんでしょうかねえ。そんなことを思いながら、森崎清登社長にお話をうかがうことに。
さて、最初に向かったのはポートアイランド。 移動途中の車窓からも、大型客船が見えたりしていかにも港町・神戸である。でもポーアイってなんかあったっけ? 「数年前から、いろんな大学のキャンパスが移転してきましてね、ずいぶん変わったんですよ。大学の建築も凝っていて面白いですよ」 なるほど、敷地には長い長い回廊を持つ建物が見えている。かわいい女子大生も見えている(笑)。 「ここにね、よくご案内をするんですよ」 …と、クルマを降り立ったところは広々とした遊歩道が伸びる海沿いの広場だった!神戸の夜景を遠くに望み、ポートタワーや観覧車も見える。ゆったり動く船のシルエットも…。 しばしボーゼン・陶然、風景に見入ってしまう。
次に向かったのがビーナスブリッジ。 あの南京錠のおまじない?で有名なあそこですが、僕は場所をよく知らないんですね。まあ今回は座っていればいいので、お気楽に風景を眺めていることに。 しかしクルマはどんどん山の奥(←印象としてはね)に。夜景どころか街そのものが木に隠れて見えないんである。おいおいダイジョウブかいな…なんて思ってると、突然視界が開ける。 「ほら、ここがビーナスブリッジですよ」 クルマを駐車場に停めて階段を昇ってみると…、おおー、こりゃ大阪まで一望ですね!そして確かに一隅には南京錠だらけのジャングルジムみたいなモニュメントが。 あー、これがウワサの、ねー。 ここではよくドラマの撮影とかもされてるそうだ。距離的にはたいしたことないけど、ちょっと来づらいポイントではある。でも、いやあ、こりゃわざわざ来る(つれてきてもらう)値打ちはあるなあ。 「このタクシーのツアーを使ってプロポーズされた方も何組かいらっしぃますよ。もちろん大成功でしたけどね」 うーむ、なるほどこれは、地元に強いタクシーならではのツアーだ。
「さーて、じゃあいよいよジャズスポットといきますか。どんなお店がいいですか?」 森崎さんは軽くおっしゃるのであるが。 でも、こうなったらあれこれ注文しなくていいんじゃないか?なんて気になるんですよねえ。事情通の人にオマカセってのがいちばん気楽で安心というか。 「まあそう言わずに(笑)。どこでもご案内しますよ」 えー、そうですか、それじゃあ… なんてんで、神戸の夜は更けていくんでありました。