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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.127
ジャズ喫茶 bird/56

ジャズも善哉、法善寺
@大阪・難波

実ににぎやかな心斎橋筋。
たくさんの観光客でごったがえしていて、平日でもちょっと歩きにくく感じるくらい。
もうすぐ難波だけどちょっとしんどいなあ…って感じで東にエスケープすると、そこは法善寺にもほど近い、その名も「こいさん通り」。その真ん中あたりに今回の突撃先、bird/56がある。

いつか見たような…と思ってもデジャビュに否ズ。このサイトで以前にご紹介した、Toprankさん(vol.92)と同じビルの3階なのだ。

まずは螺旋階段をトントンと昇り、ドアを開けると、おお、ここは古き良きジャズ喫茶の世界。

入ってすぐに見えるレコード棚の存在感が圧倒的。いいたい何枚のレコードがここに…と思っていると「2000枚とちょっとくらいかな?」と教えてくださったのはオーナーの名取峰男さん。中心になるのはハードバップ系(ジャズファンなら店名を聞けばわかるかな)、お客さんに「こんなレコードもないんか」なんて教えられながら少しずつ集めたものも多いらしい。

このお店は1972年、名取さんが24歳の時からというから筋金入り。
なんでも昔、ジャズ喫茶でアルバイトしていた奥様と一緒にこの店を始め、店を奥様にまかせて大学へ通うような生活だったということだ。
世代から言うと僕は少し下、体験はしていないけれど人から聞いた昔話のような、生き生きした当時の空気が感じられる。

ずっとこの店を続けて45年、すごいですね、人間国宝ですねえと言うと「いやいや、人間国宝なんてとんでもない。他に何もでけへんからやってきただけ」なんておっしゃる。いや、おっしゃる通り、そうなんですよねえ、人間なんて不器用なもんですね。きっと数多くのミュージシャン達もそうだったんだろうな、なんて思う。

お話をうかがっていると、徐々にコアなお話も出てくる(まあそりゃそうですけどね)。
曰く、「日本のミュージシャンはまだまだヘタクソ、もっと勉強しなあかん」
また曰く「信念なんていらんこと。幅広くたくさん聴かな」とも。

ジャズのお店、あるいはジャズ界について「東京は専門店、関西は百貨店」だとも。

このごろは、なぜか欧米人のお客様が多いというこのお店。
ウイスキーやカクテルのバリエーションも嬉しいところ。日本語がわかる我々は、名取さんのこんな話を聞きに行くのも楽しいかもしれない。

チャーリー・パーカーなんか聴きながら、ね。